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19 眠れない ※ オナホ、兜あわせ
しおりを挟む狩り自体は難しくない。
子を優先する獣なら、群れから一頭を引き離せば良い。
好戦的な魔物は、群れの最後の一頭まで向かってくる。
違いはあれども肉として狩る命を、出来る限り無駄にしたくない。
「わしは生きとる魔物に会った事がない、できれば会いたくもない」
「分かった、側で守る」
「お、おう、ありがとな」
「どういたしまして」
森で野営するのは、私が動きやすいからでしかない。
岩山で暮らしてきたドワーフなら、建物の残る街中の方が居心地が良かっただろうに、ブレーは私に合わせてくれている。
魔法道具をばらまけば街でも安全なのに、我慢してくれている。
ブレーが言葉にしない優しさは、いつでも私の胸を締め付ける。
だから、私も出来る限り優しくしたいと思うのだ。
「夕食は?」
「干し野菜を少量の水で蒸して塩を振った、干し海老はいるか?」
「いる、ありがとう」
私の作る料理には肉がないので、いつの間にかブレーが料理係になった。
料理をしてくれている間に偵察や魔法道具の設置ができるので、助かっている。
食材になる植物の採取と、肉を狩るのは私がやるので……適材適所と言って良いだろう。
小鍋ごと受け取って、爪の先ほどの干した川海老をいくつか乗せた。
足りなければ自作の保存食を出す。
ブレーは蒸し野菜を少量、もう一つの鍋に干し肉と穀物の煮物を作っていた。
少し炙ったのか、焼けた海老の殻の香ばしさが野菜の旨味を引き出している。
ブレーの料理は美味しいので、無理に私が作ろうと思う事はない。
父と共に経験した、寒い中で蔦の汁を舐めて食事代わり、外套一枚での野宿より良いので文句もない。
「美味しい」
「そうか」
ブレーが肉を掻き込み、野菜をちょいちょいと摘む姿を見ていたら満腹になった。
明日は洞を探して、荷物が残っていれば良し。
見つけられなかったり、荷物ごと朽ち果てていたら、次の目的地を考えなくてはいけない。
とりあえず、今日はよく眠って明日に備えよう。
今夜は眠ろう、と思っていたのに。
「ブレーまって、……ぁ、……ぁあっ」
「……っく、……っふう、……っう」
擦って勃たせた私と自分の陰茎をまとめて持って、〝エレン君百二十八号、太さ六割り増し〟に突っ込むと、ブレーがぐちゃぐちゃと音を立てながら〝エレン君〟を上下に動かす。
数週間前に素材と工具を出してくれと頼まれ、なにか作っているのは知っていたけれど、まさかこんな事になるなんて。
エレン君百二十五号から百二十七号は、どこにいったとか。
私の陰茎はブレーの陰茎の六割の太さなのか、とか。
気に掛かる事は多いけれど、どれも聞けない。
今日は眠りたい、と拒否することもできない。
ブレーと繁殖行為をしたくないという理由ではないから、言えない。
明日は、早朝から動くつもりだったのに。
仕方ない、諦めよう。
問題はない、洞探しはいつでも大丈夫だ。
旅の初めにグリョン・ロを使い切った数日後、乳油だけでは挿入時に痛い事があると知られた。
以前から時々あった事なので、気にも留めていなかった。
隠していた訳ではないのに「どうしてこれまで言わなかった」、と悲しげに問われて、悪い事をした気分になった。
痛みがあると知られて以来、ブレーは望まなくなった。
私は屋外での行為に慣れたくなくて、自分から望まなかった。
ブレーが我慢しているなんて考えもしなかったし、旅路の途中で性的な行為に耽るのは、安全を確保した状態でも良くないと思っていた。
私が、男同士でも繁殖行為ができると知ったのは、経験したから。
知識を得たのはその後。
入れる場所ではないのだから傷になる事もあるだろう、と当たり前に考えた。
本当に、我慢していたわけではないんだ。
いつも痛かった訳でもないので、伝える必要も感じなかった。
薬師としての技術と知識があるから、必要な時には治療をすれば良い。
愛おしい恋人との行為を断る程の苦痛でもない。
その程度の認識だった。
……まさか、ブレーが色々と考えて、改善策をとろうとする事を思いつかなかった私が愚かだった。
一流の職人であるブレーが、改善できる点を放置しておくはずがないのに。
狭くてぬるぬると温かい筒の中で、私とブレーの陰茎が擦れ合う。
筒の内部の凹凸とぬめり、柔らかく包み込んでくる感触の馴染みのなさに焦りが生まれる。
固いのと柔らかいので同時に擦られる経験が初めてで、混乱しか覚えられない。
「ブレー、まって、こんなの、っうああぁっ」
「またん、何度でも出せばええ、な?」
慣れない前だけでの射精に、体が強張る。
そうじゃない。
何度も達したくないとかではない。
私は陰茎を擦って達する行為は知っている。
ブレーに与えられる陰茎での絶頂に、どう反応したら良いか分からないだけ。
達しているのに、私の中にブレーがいないのが、辛い。
自分の尻穴がひくついているのを感じられるのに、どれだけ締めつけてもブレーを感じられないのが辛い。
「ま、って、たら!」
ぱしんとブレーの頬を両手で押さえた。
手のひらにごわごわとした髭が当たって、ずっと触れていたくなる。
このまま揉み込んで編み込んで、もじゃもじゃに絡ませてほどけなくしてやろうかと思う。
「ブレー、話を聞け」
「なんだ」
「私は……」
「おう」
私は……い、言えるわけなかったーっっ!!
尻の穴を貫かれながら達したい、とかどんな顔して言えとぉっ!?
ブレーの顔を両手で挟んだまま、私は悩む。
人種族の艶本を読んで、こいつらは子孫繁栄に貪欲すぎて恥という言葉の意味を忘れているぞ、と呆れていた頃の私はどこにいった。
いつの間にか、私も毒されているなんて。
愛おしい男と共に上り詰める喜びを知った体が……うずく。
これこそ、安っぽい艶本の文章そのままではないか。
「体がうずくの」、だったか。
単語の意図が分からない。
身体の状態を示す単語が足りない。
登場人物の頭の中に、木屑と繁殖行為の事しか詰まっていない。
随分とふざけた台詞回しだ、とか思っていたのに!
おのれ人種族め、お前らの作った淫乱な文化のせいで、ブレーに私が低俗なエルフだと思われたらどうしてくれようか!
「……なんでもない」
悩んだ結果、誤魔化す事にした。
体がうずく、を表現する適切な言葉が思いつかない。
人種族の艶本の登場人物と同じような言動をためらう日が来るとは、生きるとは深淵の縁を落ちぬように歩く事と同意なのかもしれない。
「そうか、分かった」
さすがブレー、分かってくれた。
懐の深いドワーフだ。
安堵の息をつきながら、文字通りうずく尻をどうしようかと思いつつ、逃げる事にした。
陰茎からであっても、これ以上の快感を得るのは辛い。
さらに尻がうずく事になるのは、考えるまでもなく分かる。
「もう終わりでいい……な、なんだ?」
はぁ、と荒くなった息を吐き、〝エレン君百二十八号、太さ六割り増し〟の中で達して萎えている自分の陰茎を引き抜こうと手を伸ばしたら、捕まえられた。
「分かったが、わしは足りとらん」
「……はわわ」
ぎらぎらと欲に濁ったブレーの目を見た瞬間、自分がなにを考えていたのか分からなくなった。
きゅんきゅん、とどこかで音がする。
狼狽えながら離れようとする体を抱きしめられると、熱くて固い腕の中でぐずぐずに溶けてしまう。
「エレン」
「ふぁい?」
「どうされたい?」
どう?
どうとは。
そんなの一つしかない。
「……しり」
「しりをどうしてほしい?」
おそるおそる見下ろした夜のまぎわいろの目は、やさしくあまくほそめられていて。
なんでものぞみをかなえてやろう、と告げられているのを知った。
「ブレーがほしい」
「おう、ちょうど完成した所だ」
「???」
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