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15 エレン君124号 ※ オナホ

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 ブレーを甘やかす、激しくしない。
 自分にそう言い聞かせながら、ぐちゅぐちゅ音をたてるそこを見ているブレーから目を離した。

 ぐぷ、くぷ、くちゅ、ぐちゅ、と緩やかな動きに合わせて水音が鳴る。
 ブレーは腰を突き上げたりせずに、私のしたいようにさせてくれた。

 乾燥させ、時間をかけてすり潰して粉にした生薬を、少量の蜜蝋で丁寧に練り上げるように。
 私は、ブレーの陰茎をすりこぎ、自分の腹の中をすり鉢のように使い、じっくりと練った。

 恥ずかしいのに、気持ちいい。

「はぁ、あ、ブれー、わたし、もうっ」
「……ふ、……うっ、わしも、でる」
「あ゛あっっ、ーーーーんんっっ!!」

 ずっと我慢してくれていたブレーが、太い指で私の腰をつかみ、ごつんと骨の鳴る音が聞こえるほど打ち付ける。

 優しく甘えるようにブレーを抱きしめていた中を、遠慮なくこすられる刺激で、わたしは、あっけない程簡単に、あれほど望んでいた二回目にたどり着いた。

 達している、のだ。
 目の前がくらくらする。
 呼吸ができない。

「くうぅう゛っ……」

 ブレーの手に力が入り、握られる私の腰が軋む。

 私は、夢を見ているのかも。
 一緒に達するなんて、物語の中だから可能だと思ってた。


 私が、二人一緒に達する事ができた喜びに浸って、こぼれた涙を拭ってから。

 魔法道具で安全は確保しているけれど、あまりはしゃいで疲れを残すのはよろしくない、とブレーはこれで終わりにしようかと言った。
 私の中に収まったままの陰茎が、固さを取り戻しているのに。

 お互いに動いていなくても、まだ中がじんじんしているから、ここで終わりは私も辛い。
 もう一回、を望んでも良いだろうか。

 言葉にできない私の逡巡に気づいてくれたのか、ブレー自身も一度では足りないのか。

「エレンに〝ブレー君〟を見せてもらったからの、わしのも見せねばならんと思うとった」
「ん?……っ、あ、これ」

 取ってくれと言われた皮革製の背負い鞄を、繋がったまま手を伸ばして床から拾い、驚いた。
 体を捻ったせいで、達した余韻がぶり返したけれど、それ以上の衝撃だ。

「軽い」
「収納魔法の刻まれた魔法道具の鞄だからな」

 倉庫に使用していたものと鞄、両方とも人種族には秘密で、私にも言えなかったと……今は良いのか?

に知られるのがいかんのだ、エレンはわしの恋人だから問題ない」
「……そう言う所」
「なんだ?」
「うううううっ」

 恥ずかしげもなくさらっとそういう事を言うから、慣れられないんだと気づいてほしい。
 直接的な好意の示され方に、いつまでたっても慣れない私もどうなのかと思うけれど。

「ほれ、こいつがわしの旅路と里帰りの間のお供だ、エレンに合わせるなら〝エレン君百二十四号〟とでも名付けるか」

 ほい、と鞄から出されて手渡されたのは、私の二の腕くらいの太さで前腕くらいの長さがある筒?
 触れてみた質感では、外側の素材は白っぽい水棲魔物の皮革のように見える。
 くるりと回してみたら片方が塞がっているので、筒ではなかった。

 水筒……にしては蓋がない。
 〝エレン君百二十四号〟とは?
 なぜ、この変なものに私の愛称をつけたのか。
 ブレーの陰茎に似せた〝ブレー君〟とは全く違うものに見える。

「???」
「心配せんでも、こいつは新品だ。
 そういえば、エレンは男としてこちらを使った事は無いのだったな」
「!?!?」

 なんだこれ、と蓋のない水筒のようなそれを覗き込もうとしていたら、体を起こしたブレーに、達した時の体液で汚れた陰茎を握られた。

「使ってみるか?」
「な、なにを!?」
「癖になるかもしれんぞ」
「だから、なにが!?」

 あまり良い予感がしないのは、私の気のせいなのか。

「心配いらん、男はたいてい誰でもこれで気持ちよくなれるもんだ」
「だから、なんの話だ!?」

 ブレーは私の手から〝エレン君百二十四号〟を取ると、穴の部分からグリョン・ロの粘液を注ぎ込んだ。

「使い方は分かるか?……そうか、知らんのか、うん、よし、わしが教えてやろうな」

 首を振ると、妙に嬉しそうに頷いて、〝エレン君百二十四号〟を軽く振りながら外側から揉み始める。

 今のブレーから返事を得るのは、諦めるしかないだろう。
 趣味に夢中になっている時にそっくりだ。
 教えてやるとか言いながら、見習い職人に対する扱いではないと感じるのは、口調も表情も仕事中とは異なっているから。

 なんだろう、この有無を言わせない感じは。
 二百年の間に何度も体験しているはずだけれど、これは、嵐だ。
 嵐の予感がする。

「もう馴染んだろう、これはな、こうして」
「え、あ、わ、な、っえ!?」

 ブレーが粘液まみれの手で私の萎えている陰茎を掴み、しこしこと上下に擦る。
 人種族の本で知って、やってみたけれどたいして気持ちよくもなかった〝自慰〟という行為に似ているのに、ブレーの手だと思うと違った。

 くったりしていたのに、あっという間に勃ち上がる。
 私の陰茎は現金だ。
 ブレーが好きと態度で示しすぎている。

「太さが……少し外から握るか」
「そ、なに、っぅあっ!?」

 不穏すぎる単語になにをするつもりか聞く前に、ブレーは私の陰茎に〝エレン君百二十四号〟をかぶせた。
 ぬるぬるとした粘液の感触が慣れない、変な感じだ。

「こうしてな、使うんだ」
「なにす、や、なんだこれっっ」

 ブレーが〝エレン君百二十四号〟を握って、ぐぽぐぽ音を立てながら上下に動かす。
 水筒もどきの中は凹凸があり、陰茎が包まれて擦られる感覚は自慰に似て、自分の手ではない所に快感を覚えた。

 きっとこれが〝自慰〟の快感なのだろう。
 自分の手では感じられなかったけれど、ブレー相手には感じられるらしい。

「どうだ、悪くなかろう、エレンの腹の中に似せてあるからの」
「……っ、……ん゛っ……ぁっ、……んんっ!」

 手を動かしながら、自分が作ったものを自慢するように得意げな顔をするブレーは可愛いけれど、私は混乱の最中にいた。

 私の腹の中とは、どういう。
 いいや、現実逃避している場合ではない。
 私は繁殖行為に対して決して無知ではない、〝エレン君〟は私にとっての〝ブレー君〟なのだ。

 私はブレーがいない間、どうにももどかしい気持ちを抱えて過ごしていた。
 ブレーも同じだったのか。

 恋人との行為を忘れたくない、と私と同じに作ったのだ。
 〝エレン君〟を。

 ただ思うのは、品番が多すぎないか?、という事だ
 百二十四とは。
 これは使い捨てだったりするのか。
 改修、改造、修理して長く使えるものではないのか。

「気持ちいいか?」
「……うぅうっ、……んぐぅ……ん゛んんっ」

 尻に収まっているブレーが太さと硬さを増し、私の陰茎はブレーに翻弄されている。
 前後同時に与えられる快感が初めてで、うまく反応できない。

 私を追い詰めるように、腰を揺らし始めたブレーにしがみつく。
 ブレーと私の腹に挟まれた〝エレン君百二十四号〟が潰れて、中に収まっている私の陰茎がこすられる。

 助けて。

 胸元に抱え込むようにもじゃもじゃの頭を抱き、首を曲げて顔を押し付けた。
 ブレーの固い髪が鼻先をくすぐる。
 金属と焦げた煤の匂いが鼻の奥を刺す。

 抱かれながら達する事を知った体は、あっという間に二度目の波にさらわれていく。

 だめだ、気持ちいい。
 なにこれ、こんなの知らない。
 やだ、怖い。

「エレン、あまり締めるな」
「ぅう゛ううっっ!」

 快感を自分で制御できないのは、怖い。
 どこで快感を得ているのか分からなくなりながら、私は達していた。

 精を出す快感と、尻の奥を突かれる快感が混ざって、目の前が白くなる。
 呼吸が詰まって、心臓が太鼓を打つように暴れた。

 
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