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第十七話 辟易
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「いらっしゃいませ!!何名様ですか?」
安っぽいボンテージ姿の小太りの女が俺を迎える。
「あ、いや一人なんすけど」
「ふふ!お一人様ご来店でーす!!」
ガヤガヤしている狭い店内に通され、カウンターの端っこに座らされる。
店は、昼間に奥さんを脅した社長のリビングよりも狭いくらいだった。
たばこの煙でモクモクしている店内は壁の至る所に訳が分からないフライヤー。
どこかで見たようなボールギャグ、鞭、手錠などが展示と言う言葉では品が良すぎるくらいに雑多に飾られていた。
何人かの男が上半身を裸にして酒を飲み、中には下着一枚でいる男もいた。
風俗店という認証を受けていない、飲食店だ。
全裸でいれば公然わいせつになるだろう。
だから最大でも下着1枚なのだろうと、俺は考えた。
奥のテーブルには30代くらいの小太りの女が足を組み、下着1枚のオトコに脚を乗せている。
四つん這いのオトコは嬉しそうな表情で紙皿に盛られた安っぽいビーフジャーキーをつまみにたまに小太り女にビールジョッキを近づけてもらい酒を飲んでいた。
そんな素人カップルでも、この店ではパートナーがいるカップル様だ。
周囲にいる単独の男たちからは羨望の眼差しで見られ、男もどこか自慢げだった。
女もそんな羨望がもらえることを分かって来店しているのだろう、わざと煙草をそれっぽく吸い、それっぽい仕草でその場を楽しんでいる様だった。
全然羨ましくもない。
俺が虐めてもらいたいのはああいう安い女じゃない。
知的で心も体も敵わない様な、本当のS女だ。
ま、そんな女がこんな店にくるはずもなければ、万が一来店したところで、俺みたいなやつが話せるはずもなければ、相手にしてもらえるわけもない。
「ふっ…」
思わずいつものくだらない現実に愛想をつかすと、頼んだビールが運ばれてくる。
「お客様はM男さん?」
来店したときに迎えた小太りが質問してくる。
どっちに見える?とでも聞こうと思ったが、そんな下らない会話に何の意味もないと思い直し「M男ですよ」とそっけなく返した。
「へーどんなことが好きなの?」
あーくだらねぇ。
それを言っても大した会話は生まれないし、お前が俺にそれを提供してくれるわけでもない。
そして俺はお前みたいな小太りにしてほしいわけでもない。
「ん-まあ、ふつーですよ。顔面騎乗とか足で踏まれたりとか」
「そーなんだー笑」
「そそ」
何だ終わりか。
顔面騎乗とか踏むとか言っても色々あるだろう。
生なのか、下着なのか、足はどこを踏むのか。
素足なのか、パンストなのか、靴下なのか、ブーツなのか、ヒールなのか。
ヒールであっても、つま先なのかヒールの部分をぶっ刺すように踏んでほしいのか、そしてその箇所は乳首なのかチンコなのか、顔なのか。
キャストと言ってもただの飲食店のバイトだ。
こいつらはSに興味もないし、別に俺の主でもない。
当たり前だが、俺に興味なんてないんだ。
小さくため息をつく。
「田中さん!この人はM男さんなんだって!」
会話を拡げもせず、一個空いた席の隣に座る推定50代の冴えないおっさんに話を振る小太り女。
冴えないオッサンも興味のなさそうに「あーそうなんだ」と応える。
「S男さんですか?」
興味もないの俺は質問をしてやる。
「あーそうだよ。縛りとかやってる。M男だと相手がなかなか見つからずに大変だろう笑」
小バカにしたように田中は答えた。
縛りをやってるからなんなんだ。
なんで緊縛してる男ってすぐ、縛りができる自慢しかしねーんだ。
お前も社会に緊縛されてる冴えないおっさんだろーが。
「まーそうっすね。なかなか虐めてくれる女とは巡り合えないっす。ま、奴隷はいるんすけどね」
安っぽいボンテージ姿の小太りの女が俺を迎える。
「あ、いや一人なんすけど」
「ふふ!お一人様ご来店でーす!!」
ガヤガヤしている狭い店内に通され、カウンターの端っこに座らされる。
店は、昼間に奥さんを脅した社長のリビングよりも狭いくらいだった。
たばこの煙でモクモクしている店内は壁の至る所に訳が分からないフライヤー。
どこかで見たようなボールギャグ、鞭、手錠などが展示と言う言葉では品が良すぎるくらいに雑多に飾られていた。
何人かの男が上半身を裸にして酒を飲み、中には下着一枚でいる男もいた。
風俗店という認証を受けていない、飲食店だ。
全裸でいれば公然わいせつになるだろう。
だから最大でも下着1枚なのだろうと、俺は考えた。
奥のテーブルには30代くらいの小太りの女が足を組み、下着1枚のオトコに脚を乗せている。
四つん這いのオトコは嬉しそうな表情で紙皿に盛られた安っぽいビーフジャーキーをつまみにたまに小太り女にビールジョッキを近づけてもらい酒を飲んでいた。
そんな素人カップルでも、この店ではパートナーがいるカップル様だ。
周囲にいる単独の男たちからは羨望の眼差しで見られ、男もどこか自慢げだった。
女もそんな羨望がもらえることを分かって来店しているのだろう、わざと煙草をそれっぽく吸い、それっぽい仕草でその場を楽しんでいる様だった。
全然羨ましくもない。
俺が虐めてもらいたいのはああいう安い女じゃない。
知的で心も体も敵わない様な、本当のS女だ。
ま、そんな女がこんな店にくるはずもなければ、万が一来店したところで、俺みたいなやつが話せるはずもなければ、相手にしてもらえるわけもない。
「ふっ…」
思わずいつものくだらない現実に愛想をつかすと、頼んだビールが運ばれてくる。
「お客様はM男さん?」
来店したときに迎えた小太りが質問してくる。
どっちに見える?とでも聞こうと思ったが、そんな下らない会話に何の意味もないと思い直し「M男ですよ」とそっけなく返した。
「へーどんなことが好きなの?」
あーくだらねぇ。
それを言っても大した会話は生まれないし、お前が俺にそれを提供してくれるわけでもない。
そして俺はお前みたいな小太りにしてほしいわけでもない。
「ん-まあ、ふつーですよ。顔面騎乗とか足で踏まれたりとか」
「そーなんだー笑」
「そそ」
何だ終わりか。
顔面騎乗とか踏むとか言っても色々あるだろう。
生なのか、下着なのか、足はどこを踏むのか。
素足なのか、パンストなのか、靴下なのか、ブーツなのか、ヒールなのか。
ヒールであっても、つま先なのかヒールの部分をぶっ刺すように踏んでほしいのか、そしてその箇所は乳首なのかチンコなのか、顔なのか。
キャストと言ってもただの飲食店のバイトだ。
こいつらはSに興味もないし、別に俺の主でもない。
当たり前だが、俺に興味なんてないんだ。
小さくため息をつく。
「田中さん!この人はM男さんなんだって!」
会話を拡げもせず、一個空いた席の隣に座る推定50代の冴えないおっさんに話を振る小太り女。
冴えないオッサンも興味のなさそうに「あーそうなんだ」と応える。
「S男さんですか?」
興味もないの俺は質問をしてやる。
「あーそうだよ。縛りとかやってる。M男だと相手がなかなか見つからずに大変だろう笑」
小バカにしたように田中は答えた。
縛りをやってるからなんなんだ。
なんで緊縛してる男ってすぐ、縛りができる自慢しかしねーんだ。
お前も社会に緊縛されてる冴えないおっさんだろーが。
「まーそうっすね。なかなか虐めてくれる女とは巡り合えないっす。ま、奴隷はいるんすけどね」
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