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3.最後に

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 ミコトがアラタを閉じ込めて3日目。昨日も徹底的に調教され、早くも終わりが見え始めていた。

「んっ……今、何時………?」

 ベッドの上、片手に手錠をつけられたままのアラタはミコトより先に目が覚めたようだ。時刻は午前5時。ミコトはソファで眠っている。寝返りも打てず、明らかに寝づらそうだ。

(あれ?寝る時もカツラ付けっぱなし?)

 ミコトは一度もアラタの前でウィッグを外した事が無い。常に女装を続けている。ナンパを引っ掛けるだけならし続ける必要は無いはずだ。そんな疑問もあるが、自身のことを全く教えないミコトに聞くだけ無駄かと簡単に諦めた。
 ミコトを起こさないように静かに鎖を伸ばし、トイレで用を足すアラタ。そのついでに自ら準備をした。どうせ今日もするなら、自分で準備した方が恥ずかしくは無いと。


「へぇ?すっごい光景だな。」
「…………」


「なんで!?」


 いつの間にか目の前に立っていたミコト。アラタは鎖のせいでトイレのドアを閉められないため、開閉音がしなかったのだ。気付いたら笑顔で眺めていた。


「はぁ!?見んなよ!ってか、寝てたんじゃ……!」
「鎖の音で目が覚めた。トイレから出てこないから体調崩してんのかと心配して来てやったんだ。……でもまさか、自主的にこんなコトしてるとはな♡」

 ミコトは慣れたようにゴム手袋をつけてアラタのナカに指を入れた。便器に座るアラタは、抵抗しようにも力が入らない。

「……よし、初心者でもしっかり出来てるな。たまにいるんだよなー、俺にされたく無いからって自分でやっても足りて無い奴。」
「っ……や、め………」
「ん?どうした?」

 ミコトはニヤニヤしながら意地悪そうに喋る。が、本当は聞かなくとも分かっていた。準備が出来ているかの確認の為に入れられた、たった一本の指で感じてしまっていること。

「っミコト、さん……。ベッドが、いい。ここ、は…嫌………」
「え?ただの確認だろ?別に移動するような事じゃ……」
「足りない…!確認で、おわりじゃ…ない、よな?」

 ほんの数秒で火がついてしまったアラタ。ミコトに教え込まれた身体はミコトに反応するようになってしまったのだ。
 物足りなさそうに、困ったように、求めるようにミコトを見つめるアラタ。何も知らなければ恋するような甘い顔に、ミコトは嘲笑った。


「へぇ、すっかりメスになったもんだな?なら終わりだ。目的は達成したからな。」
「なにも……しないのか………?」
「しない。」

 そう言い切ってミコトは部屋に戻った。アラタも続いて部屋に戻ると、ミコトは何かを持ってアラタの方へ向かった。

 ミコトは、持ってきた鍵でアラタの錠を外した。


「……本当に、終わりなんだな。」
「なんだよ、もっと嬉しそうにしろよ。解放されるんだぜ?」
「正直、そんな嬉しく無いかも。」


 数日ぶりに自由のなったアラタが1番最初にした事。それは、ミコトを誘う事だった。

「俺の体、こんなにして終わり?」
「何を言って……っ!?」

 アラタはミコトをベッドに押し倒した。


「一回でいいから、ちゃんと、ミコトさんに抱かれたい……」
「そこをどけ。」
「最後、たった一回もダメなのか?」

「っ………!ダメだ、もう終わりだ。」

 ミコトは最大限抵抗したが、アラタに力で敵わない。しつこく懇願するアラタに動揺していた。が、それと同時に………


「でも、ミコトさん、勃ってるよ?」
「………は?」


 ミコトは興奮していた。


「っ…!?ち、ちがっ………」
「どの道、処理しないとミコトさんだって苦しいままだ。なら別にいいよな。」
「おい!やめ………っ!」

 アラタはミコトのスカートに手を入れた。下着からミコトの昂ったものを取り出し、優しく握る。先端から溢れる先走りを広げ、ゆっくりと扱く。


「っ…!や、め……!」
「ミコトさんも気持ちよくなりなよ。本当はミコトさんにいじめて欲しいけど、本人にその気が無いなら俺から動くしか無いかな。」

 アラタは膝でミコトのスカートを退かし、手を動かし続けた。ずっと唸り声のような嬌声を上げ続けるミコトは、段々と内股になって大きく痙攣し始める。
 そして間も無く、ミコトはあっという間に達した。


「ちょっとビックリ、ミコトさんって意外と早漏?」
「………」
「…………ミコト、さん…?泣いてるのか?」


 アラタは本気で怯え泣いてしまったミコトに申し訳なさが込み上げた。すぐにミコトの衣服を整え、風呂場でハンカチをお湯に濡らし、ミコトの元に戻る。戻ってくる頃には、ミコトはベッドの端で三角座りで顔を隠していた。


「ごめん、ミコトさん…。そんな、嫌がるとは思わなくて……」


 アラタは温かいハンカチでミコトの目元を拭おうとした。しかし、ミコトは手を叩き払い、ハンカチは床にべしゃと落ちてしまう。

「触んな…」
「ミコトさん?…なんで、こんな事したんだ?オスが嫌いで、メスにして、やり返されるとか考えなかったのか?」

 アラタは本気で心配している。こんな形で手を出せば、やり返されてもおかしくない。ミコトはそれが分かっていなかったのか。ミコトは本当はオスが嫌いなのでは無く、自分を性的に見る人が苦手なのではないか?アラタはそう考えた。


「俺に手ぇ出す奴なんていなかった。暴力はあっても、俺をオスとして求める奴なんていなかった。お前がどうかしてんだよ…。」
「俺が…?でも、俺をメスにしたのはミコトさんだ。俺はそれを受け入れた。別に欲しがっても不思議じゃない。」


 アラタの体はメスと言うよりミコトを求めるように変わってしまった。女側で犯されたいよりも、他の誰でもないミコトにめちゃくちゃにされたいと。


「ミコトさん。これはただの憶測だけど…オス嫌いは自分が襲われたことがあるから?」
「っ!そ、れは………」

 図星のようだ。
 アラタはミコトの体を引き寄せて抱きしめ、優しく頭を撫でた。

「なんの真似だ。」
「…いや、不器用だなって。オスを潰して気は済んだ?本当は、ただ怖いのをがむしゃらに消そうとしてるだけじゃないのか?」
「気が……済むわけ無いだろ。何をしたって怖くて気持ち悪い記憶が無くならない。俺が、あいつらと同じように優位に立てば解消されると思ったのに……。」


『あいつら』
 一人では無かった。ミコトは過去に輪姦された事がある。そのトラウマから復讐の念も込めて『調教』と言うものに手を出したのだ。
 しかし、意味など無かったけど。


「と、とにかく離せって。」
「あ、ごめん、嫌だった?」
「嫌とかじゃ無えけど、お前相手だとどうも拒絶反応が……」
「嫌じゃないかよ。」

 アラタは呆れた様に苦笑した。しかし、ミコトの表情を見たアラタは、『嫌では無いが拒絶反応が出る』を理解した。
 ミコトの顔が赤くなっていたのだ。

(こんなことしておいて初な反応するんだ。……ま、無理もないか。)



「ね、ミコトさん。最後のお願い。玩具でもいいから最後に俺をいじめて欲しい。それで、こんなことは俺で最後にして。」
「お願いが多いな。…まぁ、アラタで最後にするのはさっき自分でも考えたしいいけど。」

 ミコトはうなじに手を掛け悩んだ。大きくため息を吐き、いつも通りでは無いが笑い、「仕方ないな」とこぼした。
 大人の玩具箱から見繕い、ミコトはいくつかの道具を持ってきた。


「そういや、コレはした事無かったよな。」
「…目隠し?」


 ミコトはアラタにアイマスクを付け、手錠では無く柔らかい紐で手首を固定した。そのままどこかへと誘導する。

「あの…これ、怖いんだけど?」
「まーまー、ちゃんと虐めてやるから♡」

 アラタは指示に従って行動する。ミコトに言われた通り、連れて行かれた場所で下半身丸出しで脚を開いて立つアラタ。何か物音がしたと思ったら、前に出したアラタの手に何かが触れた。


「怖かったらそこに捕まってろ。」

 ミコトはシリンジを使い、アラタのナカに生ぬるいローションをたっぷり注入した。それだけでもアラタは身震いさせる。


「よし、そのままゆっくり腰下ろせ。」


 ミコトはアラタの腰に手を添えて誘導した。不安ながらも少しずつ腰を下ろすアラタ。肛門に何かが触れ一瞬動揺する。そのまま下ろし続けると、少しずつ硬い何かが中に侵入してきた。

「っ…、はっ……これっ、て……」
「おー、すんなり飲み込んでくな♡」

 何も見えていないアラタも自身の状況を理解した。ミコトは椅子にディルドを取り付け、そこにアラタを座らせたのだ。アラタが捕まっているのは椅子の背もたれ。縛られた手でしっかりとしがみついている。


「気持ちいトコは教えただろ?このまま自分で動いてみろよ。」
「わか、た……」


 アラタは背もたれにしがみついたまま上下に動いた。最初こそはゆっくりだったが何回か繰り返すと、アラタは自分のペースを掴み始めた。

「んっ…あっ、は…あ、あぁ………っ!」

 何度も深くまで打ち付け、次第に溢れたローションがピチャピチャと音を立て始めた。
 視覚を遮られ、一層敏感なアラタ。得られる快感は大きいが、自身の拙い動きでは満足出来ない。そう思っていると、突然玩具は強い振動を始めた。

「あ゛っ……!?」
「『モノ足りない』って顔がびっくりするほど分かりやすいな♡」


 ミコトは玩具のスイッチを入れると、最初から最大にしてリモコンを手放した。段々と近付く足音。アラタはミコトが何かをする為に近付いてると足音で気付く。

「ちゃんと、満足させてやるからな。」

 その声は優しく、慈悲に満ちていた。しかしやる事は変わらない。ピクピクと痙攣し、口を開きっぱなしにして惚けるアラタに玩具を追加したのだ。


「ひぃっ…!?あっ…、つめた………!」
「なぁ、電動のオナホって使った事あるか?」
「は…?なに、それ……っあ…!」

 ミコトはゆっくりと玩具を上下に動かした。抵抗か本能か、アラタは必死に腰を振っている。

「一回出したらスイッチ入れるか。」
「む、り……」
「ん?あぁ、お前は酷くされた方がいいか♡」
「ぇっ?あっ、やらっ……!」

 ミコトはアラタの腰をしっかりと掴み、出来る限りの速さで扱いた。二つの玩具で敏感な部分を乱暴に刺激され、アラタは脱力し喘ぐ事しか出来なくなった。


「はや、あぁっ…!らめっ…!い、っちゃ…、やっ……ぁっ………!っ……!」
「…今、どっちでイった?」
「ど……、っち、も…。あっ……と、めて………」


 アラタは前後両方で達したが、後ろは玩具の最大の振動が続いている。その為、アラタは絶頂しても強制的に快感が続いてしまっているのだ。


「止める?なんで?虐めてほしいんだろ?まだコレ…本領発揮してねぇよ♡」

 ミコトは恍惚の笑みで本体のスイッチを押した。

「あっ……!?まっ、だめ、だめっ…ぁっ……!」
「おーい、腰ちゃんと動かせって。」
「むり……!ちんこ、おかし…く、っなる……からぁ………っ!」


 アラタは大きく猫背になり、何度も絶頂と射精を繰り返した。それでもなんとかミコトの指示に従おうと、猫背のまま腰を動かそうとする。しかし、地に足を着けて体を持ち上げようとしてもすぐに脱力してしまう為、腰を浮かせては一気に奥深くまで貫かれる状態になってしまっている。


「っは……♡随分といい眺めだな♡」


 段々と興奮が最高潮になり始めたミコト。目の前で快楽に耐えながら腰を振り、嬌声と唾液と精液を垂れ流すアラタに欲を出し始めてしまう。

(俺まで拷問されてるみたいじゃねぇかよ。)

 ミコトは、アラタが目隠しで何も見えていない事をいいことに、こっそりと自慰を始めてしまった。ミコト自身も抵抗はありながら、それでも我慢しきれなかったようだ。それでも欲望に負けアラタを犯そうとはしない。それだけは踏みとどまったようだ。


「ゔっ…まだ、いくの……ぁっ……!っとま、な……!」
「っ気持ちいの、好きだろ?もっと善がってろよ…♡」
「はっ……、あ、れ……?っもしか、して……いま………っ、」


 何かに気付いたらしいアラタは、なんとか前に着けられた玩具のスイッチを止めた。

「は?なにして……?」
「ミコトさん、いま、自分でシてただろ。」
「っ………!なんで、気付いて……!?」
「声と音。……なぁ、見てていい?」


 どうやら形勢逆転。今度はアラタが貪欲になりミコトを困らせ始めた。しばらくの言い合いの後、アラタは勝手に目隠しを外した。

「あ、おい!」
「コレくらいならなんとかなったな。…手のは流石に無理か。」

 ミコトは見られる前にスカートで隠したが、手首以外の拘束が無いアラタはやりようによってミコトに勝る。しかし、アラタは強行突破はせずに言葉で交渉しようとした。


「ミコトさん、手の縄、動きづらいから外して。」
「断る。」
「お願い、ミコトさんには絶対に触らないから。」
「……なんで、いじめろって言ったのアラタの方だろ。」

 虐められたいのなら大人しくミコトに従っていればいい。しかしアラタは一部の主導権を持った。


「なんでって…せっかくだし、ミコトさんの気持ちよさそうな顔見ながらシたい。その方が目隠しより興奮する。」
「なんの面白味もねぇだろ。」
「ある。断言できる。」

 その後もまた言い合い、結局ミコトが押し負けた。
 両手が自由になったアラタは玩具のリモコンを拾い電源を切った。そしてもう一度、今度は背もたれに背を向けて玩具の上に跨る。その目の前にはミコトがベッドの端に座っている。

 そして二人は見せ合うように自慰を始めた。


「っ、なんだこれ、恥ずかしいな。」
「そ……だ、な。はっ…、でも、ミコトさんが、おれ、っを…見て、抜いてるの、すごく……んっ、えろ………」
「喋る暇、あるなら、もっと動け。」
「っお互いさま、な…。」


 形が変わっても命令を続けるミコトと、やり返すように煽りまくるアラタ。しかし、段々と二人とも会話が減り嬌声が飛び交うようになった。


「っ…、これ、本当にアラタとヤってるみたいで……」
「でしょ…っ。…あっ、おれ…ミコト、っさんに…、おかさ、れて…る、って、おもう、と……、も……い、きそ………っ!」

 二人は段々と実際に体を重ねてるように錯覚し始めた。アラタはこうなると分かっていて強引に勧めたのだ。ミコトからも少しずつ罪悪感や背徳感が無くなり、快楽に従順になり始めた。


「っおい…、そんな、ちんたら動いてたら、俺も、お前も、全然イけねぇよ?ほら、もっと頑張れ…♡」
「あっ、ごめっ…、ぁっ……!やっ、はや…おかしくっ、なる……っ!あっ、あっ、あぁっ……!いっ…く…………っ!」
「っ俺も…、で…る……っ…!」


 二人はほぼ同時に達した。勢いよく吐き出された白濁液は、床のほぼ同じ位置にポタポタと落ちた。過去最高の快楽と絶頂を迎えた二人は、暫く余韻に浸っていた。








 後片付けを終え、二人は帰り支度をした。アラタは手首にくっきり残った縄の跡をなんとか隠し、ミコトは軽くメイクをする。
 会計を済ませ、ホテルから出た。


「じゃあな。もう会う事は無いだろうけど、俺は満足だ。」
「ミコトさん、連絡先交換とかは…いや、しないか。」
「あぁ、これで終わりだ。」
「そうだな。……それじゃあ、さよなら。」


 そして二人は猛暑日の中、解散した。
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