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歪な物語の始まり

9.伊織(前)

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 ーーーーーイオリーーーーー

 俺は昔から他人の考えてる事、感じてる事が何となく分かった。
 嘘を吐いている人、苦しいのを我慢している人、幸福感で溢れている人、何も考えていない人。きっとこの人から見たらこうなんだろうな、と言うのが容易く想像できていた。
 それは、他人からすれば心を読まれる様な事。この才能に対して最初に思ったのは、なんて邪魔な才能なんだろう、だった。




「いおりちゃん、またごほんよんでるー。」
「へんなのー。」


 本を読む一人の子供に集まる女の子たち。女の子たちが集まっているのは、肩を越すほどの長い髪と大きく鋭い瞳、左目の泣き黒子が特徴的な当時四歳の俺。しばらく切っていない長い髪の毛で俺を女児だと勘違いしている。
 まだこの保育園に来て間もない頃の事だ。俺は今まで色んなところに行った。とは言っても、家は引っ越していない。俺がどこにも馴染めずにすぐに転園してしまうのだ。


「伊織、変じゃ無いよ。ただ物語が好きなだけだから……。」


 今は変だと分かる。その時大事に抱えていた本は、『光の社』という大人向けの小説だ。発行されてから凄いスピードで有名になり、実写映画化が決まっている。
 ただ、その小説は振り仮名の無い漢字の多い小説。四歳ならば振り仮名の有無に関わらず、難しい言葉を理解することも出来ないだろう。だから変だと言われるんだ。


「ごほんばっかり、つまんないのー。おにんぎょうあそび、いっしょにしよーっていっても、やってくれないし……。」
「それは…お人形遊びつまらないから……。」


 人形だのままごとだの、本に比べればなんの面白みもない。子供のままごとなんてストーリー性はめちゃくちゃだし、みんな勝手で何が楽しいのか分からない。


「ほんと、へんなのー。おんなのこみんな、おにんぎょうすきなのに。」
「……伊織、男の子だよ。」
「えー?じゃあ、なんでかみながいの?」


 この年頃の子供は服や髪型で性別を見分けることしかできない。俺は髪も長く、大きめのTシャツがワンピースのようになっていたから間違われたのだろう。
 なんで髪が長いのかと言う質問に、俺は答えていいのか分からなかった。


「そ、それは………。言わないっ!」


 読みかけの本に素早く栞を挟み、両腕でしっかりと抱えてその場を走り去った。


 この本はこの頃に唯一所有していた本だ。仕事の都合でたまにしか会えない父親が買ってくれた本。
 両親の職場に距離があるため、俺は母と二人で暮らしてした。父とは数ヶ月に一度会う程度。それでも仲は良かった。同じ本が好きで、同じアニメが好きで、同じドラマが好きだった。
 一方で母親は俺を恐れていた。『子供らしく無い』『普通じゃ無い』とほとんど放っていた。だから俺の髪の毛は長かった。



 俺は心のどこかで「ここも駄目だ」と思っていた。また直ぐに移動するだろうと。しかし、この時だけは違った。
 ある日の夜のこと。その日は俺の父が来ていた。俺と本やテレビを見て、一晩泊まったら朝一で帰るのが普段だ。
 だが、俺は声で目が覚めた。時刻は二十三時。子供はグッスリ眠っている時間。俺の部屋とリビングを直接繋ぐ扉からは光が漏れていた。なんの好奇心か、物音を立てないようにそっと扉の前まで向かい、僅かに開いた隙間から部屋を覗いた。


「いい加減にしてッ!」


 怒鳴ったのは母だった。目の前には困った顔の父親。何を話しているのだろうと聞き耳を立てていた。


「アナタのせいであの子は変なのよ!ずっと本の虫で友達も出来ないで……」
「おい、伊織が起きる。」
「そんなこと、どうだっていいでしょう!?」


 成程、俺の話をしていたのか。と、何故か納得するだけだった。しかし、父が来る度にこうも騒がれたら睡眠妨害になる。そう思った俺が出した答えは……


「五月蝿いよ、母さん。」
「っ!伊織……。」


 僕がこの馬鹿馬鹿しい話を終わらせればいい。俺に無関係な事では無いようだから。


「母さんってさ、何で本が嫌いなの?」
「え…?別に本が嫌いな訳じゃ……。」
「なら、何で伊織に友達が出来ないのを本の所為にするの?母さんの所為なのに。」


 そう、本が悪い訳じゃ無い。俺も本を読むなと言われれば読まない。理不尽な理由じゃなければの話だが。普通に男の子達とブロックで遊んだり、パズルをしたり、そう言う事だって嫌な訳では無い。
 でも一人でいるなら本を読んでいたいだけ。相手がいないのだ。相手が出来ない理由は……。


「母さん髪の毛切ってくれないし、服だって極力買わなくていいようにオーバーサイズだけ買うし、だから育児放棄されてるんじゃ無いかって言われてるんだよ。」
「は……?育児放棄なんてして無いじゃない。ちゃんとご飯も食べさせてあげてるし、家事だってお母さんしてるでしょ?」
「……話にならないね。」


 子供をペットか何かと思っているのだろうか。いや、愛玩動物ですらもっと可愛がられるしもっと良待遇だろう。
 ずっと実の子である俺に怯えてる事、俺が気付いていないと思っていた訳では無いだろうに。


「ただ、伊織に関わりたく無いだけだよね。秘密を暴かれそうで怖いんだもんね。伊織を怯える人は大体がそうだもん。」
「ちがっ……!」
「あ、もしかして…土曜日のこととか?」
「な……んで、」


 この時、ただカマをかけただけだった。
 土曜日も仕事があると言いながら、どこかいつもと違っていた。起きる時間、準備の手順、携帯を見る回数。それに違和感を感じるのはいつも見ている物なら至極当然の事で、何かを隠しているという確信は付いていた。

 父は何の事かと追及した。母さん本人に。恐らくカマをかけただけで細かい事に気付いていないというのを感じ取ったのだろう。
 普段の俺ならもっとギリギリを言うだろうから。……普段から人の弱みを揺さ振るのはして来たからな。言葉の受け取りようによっては何の事か直ぐにわかるように。俺の父は空気の読める人だった。読んで尚色々とするのはどうかと思うが。



 結果として、母の浮気が発覚した。土曜日に浮気相手の元に行っていたという。最初は俺から離れる為に逃げ場所を探していたという。
 発覚してから、俺は父の家に住むことになった。母は離婚後、あっさりと親権を父に譲渡した。父は困ったように笑って、

「良かったよ、お前をあの場所から出せて。これからはもっといい物着せて、髪の毛も切って、色んな本も読ませてやるからな。」

 と、ポンポンと頭を撫でた。その時、ようやく自分の気持ちに気付いた。

「うん、伊織もあの場所から出れて嬉しい!」

 逃げたかったのは俺の方だと。
 好きな物を否定され、怯えられ、裏切られ、窮屈だった。でもこれからは違う。好きな物を話せて、自分の才能を認めてくれる。そんな人と居られる。それだけで心が楽になった。


「はっ…、物語に触れてる時以外でそんな笑顔、初めて見たよ。」


 自分でも分かる。この瞬間、初めて生活の中ノンフィクションで笑えたのだと。
 そして始まった新たな生活。最初に髪を切り、新しいサイズの合う服を着た。髪型も服も初めて自分で決めた。それだけでも楽しかったし、初めてする事・感じるものが新鮮で好奇心と知識欲が抑えを効かなくなりそうだった。

 引っ越してから暫くは、保育園には行かなかった。流石に急だったから仕方ないが。
 昼間は読書で夜は父とテレビを見る日々。父はたまに部屋に篭り仕事をしている。その様子を見た事はなかった。俺は父に直接聞いてみた。


「父さんは何の仕事をしてるの?」
「ん?そう言えば教えてなかったな。実はな……ゲーム開発に携わってるんだ。」
「へぇ、プログラミング?」

 だから普段からパソコンと睨めっこをしていたのかと。しかし予想は違っていた。

「父さんがしているのは、ゲームのシナリオライターだ。」


 これを聞いた時は驚いた。
 俺も父も物語が好きと言う共通点はあった。したし、俺は自分で物語を考えると言う事は考えた事も無かった。だから俺はこの時、『読む』『見る』とは違う物語の触れ方が有ると知ってドキドキした。

 それから一年経ったとある日の事。その日はずっと楽しみにしていた『光の社』の実写映画を見ていた。
 DVDをレンタルし自宅で見ていると、所々違和感を感じた。全て見終わると父は満足そうにしていた。が、俺は違和感がずっと引っかかってどうもそうは行かない。


「いやー、やっぱり面白いな。ここまであれを再現出来るとは……」
「違う。」
「え?」


 時々出て来るCGも違和感なく映像に溶け込んでいた。世界観、キャラのビジュアル、BGMは完璧だった。だが、肝心の役者は……


「終盤のシーンの演技はどこか違った…と思う。」
「そうか?父さんは良いシーンだと思ったけど……。」


 たしかに、あれでも伝わる事には伝わるだろう。でも俺は違うと思った。そもそものキャラクターの情景がそうではないと、感覚的に感じた。自分がこのキャラクターだったらという、置き換えをするとよく分かる違い。


「伊織の解釈だと、あのキャラは恨むより悔やむタイプだと思う。大切な人を殺した人に怒るより、守れなかった自分に後悔するってそんな。だからもし伊織があのシーンを演じるなら……」


『ーーーーー!』


 小説で読んだ時に思い浮かんだ情景を、出来る限り出してみた。何かを演じるのはこの時が初めてだった。
 自分で表に出してみると、思っている以上に共感能力が強く出たのだろうか。自然と薄らだが涙が浮かんだ。流れない程度の。それこそキャラクターから文字列で読み取った感情の様に。


「伊織、お前………。」


 目を見開く父。やはり素人が演じたところでよく分からないで終わるだけだ。と、驚きを隠さないでいる父の顔を真っ直ぐ見れなかった。


「お前、やっぱり天才だよ!」
「え、え!?」


 目を見開き……輝かせて肩を力強く掴んできた父。素人の演技にここまで目を輝かせるとは思いもしなかった。
 キャラクターに似ていない容姿に、世界観の全く違うリビング。それでもあのシーンがハッキリと浮かんだと語る。物語の感想でも無く俺の演技の感想を熱弁する父は、まるで少年のように楽しそうだった。
 この時初めて『自分で形にする』楽しみを知った。父はシナリオライターとして形に、俺は演者として形に。それも案外悪く無いかもなんて思っていた。

 そう、思っていただけなのに、俺は何故か父の職場にいた。
 大きなビルのとあるフロア。そこが父の職場であるゲーム会社だ。まだ小さな会社で、一番人気があるスマホ・タブレットゲームでダウンロード数は十万足らず。今、新たに開発しているゲームが過去最高記録を出さない限りこの会社は潰れてしまう程に崖っぷちらしい。そんな場所に俺を連れてきた父は考えがあったらしい。


「伊織、このゲームの開発を手伝ってくれないかな。」
「なっ、えぇ!?父さん、伊織まだ子供だよ!?」


 父の一言には聞こえていた社員全員が驚いた。目を回す人、顔を真っ青にする人、色々な人がいた。
 まだ小学校に上がってすらいない子供に仕事を任せるだなんて正気の沙汰では無い。絶対に無理だと伝えようとした。しかし……

「伊織、お前なら出来る事……いや、お前にしか出来ない事だ。父さんの書いたシナリオを読んで欲しい。そして、声優達に演技指導をして欲しいんだ。」
「演技指導って……。」

 この会社は小さい為、声優も殆どが未経験の新人らしい。一部録音したが、あまりにもシーンと合わなすぎて何度もリテイクを繰り返しているらしい。だから俺に場面ごとのキャラクターの心情を読み取って欲しいのだろう。
 実際にプロットと台本に目を通してみた。が……

「何これ…ストーリーそのものは面白いのにキャラクターの情景が狂いすぎてる。そりゃあ台本通りに演じてたらおかしくなるよ。」
「ゔゔっ……。その通りだな。ストーリー作るのは好きなんだけど台本はまた難しくてね。演じる時の指示が難しいんだよ。」

 ゲームの映像はほぼ出来ているが、見てみたらまぁ酷いものだった。シチュエーションとキャラクターの表情や立ち振る舞いが歪過ぎる。
 映像に父は携わっていないが、どちらにせよ俺が動かなければならない程におかしいのは見て取れた。演技指導の前に映像の修正からだろう。2Dゲームだから微調整で何とかなりそうだ。開発期間を延ばし、細かく調整することになった。

 映像の修正は総員で取り掛かり、一週間ほどで終わった。高グラフィックなだけあって大変だっただろうけど、社員はみんな優秀だった。
 最後の頼みと言うこともあってか、このゲームの開発には異様なまでに力を入れている。あとはキャラクターに声を当てるだけ。台本の指示を俺が書き換えて、事前に声優に送ってあった。それをどう演じるか。
 結果としてはだいぶいい。が、やはり新人と言うだけあって棒読みが目立つ。もちろん最初の仕事と言う緊張はあるだろう。それよりもまだ演技に対する羞恥心が残っているようだ。結局またリテイクを繰り返している。

「これじゃ埒が明かない。伊織、指導頼むよ。」
「分かりましたよ、咲良さん。」

 これは仕事だとしっかり認識する為に父を名前呼びにした。親子では無く同業者として。俺はそれなりに覚悟を決めた。
 とはいえ演技指導なんて経験はもちろん無い。何とか言葉にして指示を出したが、あまり変わる気配は無い。だから気乗りはしなかったのにと頭を抱えた。


「伊織、見本を見せた方がいいんじゃないかな?」
「……はぁ?未経験者に見本を任せるなんて、頭大丈夫ですか?」
「酷い…って言うのはいいとして、まぁ自分なりに演じて見せるのはいい方法だと思うよ。俺は伊織の演技がいいと思ったからこの仕事を頼んでいる。」


 確かにそうでも無いと頼まないだろう。あまり気乗りはしなかったけどやるしか無いと、ヘッドフォンを着けてマイクの前に立った。もちろん周りからはいい目で見られない。自分の子だからと過剰評価していると思っているだろう。けど、演れと言われたからには魅せなければ。
 演じるのはいわゆる『光堕ち』のキャラクター。主人公の敵でありながらそれを隠して主人公の手助けをする。そしてこのシーンは、敵だと言うことが不本意に知られてしまうシーン。主人公を守る為に「主人公を騙していた」と振る舞うシーンだ。
 声優が演じた時は、そばに居れない悲しみと主人公の敵に戻ってしまう苦しさが伝わって来た。でも、俺が考えるこのキャラクターの行動は違う。


『俺はお前らをずぅっと騙して来た。こんな所でバラされるとは思わなかったぜ?もっと嘲笑ってたかったんだけどなぁ!』


 誰にも心の内を気付かれないように、本当に狂ったように演じる。少しでも勘づかれたら主人公達が危ないから。だから主人公に嫌われるように悪役になる。俺の中のそのキャラクターはそんな人物だ。
 ヘッドフォンを外してスタジオを出た。その瞬間に感じるたくさんの視線。思ってた以上にたくさんの人に見られていたようだ。全員が口を半開きにしている。
 そんな中で父はニンマリとしていた。まるで思っていた通りだとでも言うように。

「あ、あのっ!」

 俺に一番に声を掛けたのは、俺が演じたキャラクターの声優だ。

「お手本ありがとうございます!凄く惹き込まれました…!参考にさせて貰いますね!」
「え、あ、はい。それなら良かったです…。」

 目を輝かせて俺の手を掴んだその人は、忘れない内にとスタジオに入った。そして録ったボイスは正に俺の想像通り。キャラクターに合った声と心情が一致して、とても良いものになっていた。
 棒読み感もほとんど無くなり、映像と合わせて見るとなんの違和感も無いどころか素晴らしい。自分が力になれたのだと実感した瞬間だった。
 結果的にこのゲームは成功した。数年で百万ダウンロードを達成し、新作を出す度に伸びた結果この会社は一部に有名になった。
『新人声優が成功するゲーム会社』として。
 この会社で仕事をした声優はたちまち有名になり仕事が増えると話題になった。それを知るのは俺が高校生になってからだった。
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