143 / 161
ただいま
141話 恐怖の言葉
しおりを挟む
アズの部屋に2人、無言で向かい合っている
聞きたいことがあるから来たのに、いざとなって怖くなって声が出ない
「っその………」
なんとか声だけは出せてもその後に聞く言葉が言えない
『なんで僕を避けてるんですか』
『なんで僕にキスをしたんですか』
聞きたいことはハッキリしてるのに……
「カメリア」
「っ!」
「そんなに怯えるならここに来なければ良かったのでは?」
わ…かってる
でも、怖くても聞きたいことに変わり無い
震えてもいいから、声を出さないと
「な、んで…アズ様は、僕を避けてるんですか…?」
「それ、聞く必要あります?」
声が冷たい
強く突き飛ばされてるみたい
「……分かってて、それを聞くんですか?そんな事の為に1人で来たんですか?」
「そんな事…。やっぱり、僕が何かしたからですか……?」
分からないよ
怖いよ、アズ
でも、怒られるような事をしたなら僕が悪いから
だから教えて
「…まさか、本当に分かってないんですか?」
僕は頷いた
申し訳なさで心臓が潰れそうになる
アズは大きな溜息を吐いた
「カメリア、私が怖く無いんですか?」
………え?
僕はこの時ようやくアズの顔をしっかりと見た
その顔は怒りじゃ無い、僕と同じような苦しそうな顔
「どういう事?僕がアズ様を怖いって…」
「だって、あれからずっと怯えてるじゃありませんか」
「あれから…?」
「私が、貴方を襲いかけてからですよ」
どういうこと?
まさか、僕を怖がらせたと思って距離を取ってたって事?
僕が逃げられないから
僕は怯えてなんていないのに
確かに驚いたし困惑した
でも、それはアズへの気持ちに気付いていなかったからもある
「アズ様、こっちに来てくれませんか?」
「…分かりました」
そうか、アズはずっと僕を嫌っているわけじゃ無い
ちょっと前の僕と同じなんだ
怯えさせてしまったから離れる
僕がしたことと同じ
なら僕がどうすればいいのか分かる筈だ
僕の側に来たアズを力一杯抱きしめた
「怖いよ、アズ様に嫌われたのかって思って、すごく怖かった!」
「え…?」
「これでも僕は、アズ様になら何されてもいいと思ってる。だって僕は……僕はアズ様の事が好きだから」
言ってしまった
とうとう伝えてしまった
やっぱり怖くて、何か言われる前にアズを離した
でも、今度はアズが僕を抱きしめた
「その『好き』は、私が考えてるものですか?両想いになれたと、考えてもいいんですか?」
「両想い…え?アズ様も僕を…?」
信じられない
だって、僕は振られると思って言ったのに
「あ、アズ様ってノーマルじゃ……」
「ノーマル?…よく分かりませんけど、私は貴方を愛していますよ。それも…随分と前からね」
嘘…本当に?
どうしよう、驚きと嬉しさで涙が込み上げてくる
「カメリア、これは私に言わせてください。………私の、恋人になってくれませんか?」
「………はい」
聞きたいことがあるから来たのに、いざとなって怖くなって声が出ない
「っその………」
なんとか声だけは出せてもその後に聞く言葉が言えない
『なんで僕を避けてるんですか』
『なんで僕にキスをしたんですか』
聞きたいことはハッキリしてるのに……
「カメリア」
「っ!」
「そんなに怯えるならここに来なければ良かったのでは?」
わ…かってる
でも、怖くても聞きたいことに変わり無い
震えてもいいから、声を出さないと
「な、んで…アズ様は、僕を避けてるんですか…?」
「それ、聞く必要あります?」
声が冷たい
強く突き飛ばされてるみたい
「……分かってて、それを聞くんですか?そんな事の為に1人で来たんですか?」
「そんな事…。やっぱり、僕が何かしたからですか……?」
分からないよ
怖いよ、アズ
でも、怒られるような事をしたなら僕が悪いから
だから教えて
「…まさか、本当に分かってないんですか?」
僕は頷いた
申し訳なさで心臓が潰れそうになる
アズは大きな溜息を吐いた
「カメリア、私が怖く無いんですか?」
………え?
僕はこの時ようやくアズの顔をしっかりと見た
その顔は怒りじゃ無い、僕と同じような苦しそうな顔
「どういう事?僕がアズ様を怖いって…」
「だって、あれからずっと怯えてるじゃありませんか」
「あれから…?」
「私が、貴方を襲いかけてからですよ」
どういうこと?
まさか、僕を怖がらせたと思って距離を取ってたって事?
僕が逃げられないから
僕は怯えてなんていないのに
確かに驚いたし困惑した
でも、それはアズへの気持ちに気付いていなかったからもある
「アズ様、こっちに来てくれませんか?」
「…分かりました」
そうか、アズはずっと僕を嫌っているわけじゃ無い
ちょっと前の僕と同じなんだ
怯えさせてしまったから離れる
僕がしたことと同じ
なら僕がどうすればいいのか分かる筈だ
僕の側に来たアズを力一杯抱きしめた
「怖いよ、アズ様に嫌われたのかって思って、すごく怖かった!」
「え…?」
「これでも僕は、アズ様になら何されてもいいと思ってる。だって僕は……僕はアズ様の事が好きだから」
言ってしまった
とうとう伝えてしまった
やっぱり怖くて、何か言われる前にアズを離した
でも、今度はアズが僕を抱きしめた
「その『好き』は、私が考えてるものですか?両想いになれたと、考えてもいいんですか?」
「両想い…え?アズ様も僕を…?」
信じられない
だって、僕は振られると思って言ったのに
「あ、アズ様ってノーマルじゃ……」
「ノーマル?…よく分かりませんけど、私は貴方を愛していますよ。それも…随分と前からね」
嘘…本当に?
どうしよう、驚きと嬉しさで涙が込み上げてくる
「カメリア、これは私に言わせてください。………私の、恋人になってくれませんか?」
「………はい」
11
お気に入りに追加
345
あなたにおすすめの小説
うまく笑えない君へと捧ぐ
西友
BL
本編+おまけ話、完結です。
ありがとうございました!
中学二年の夏、彰太(しょうた)は恋愛を諦めた。でも、一人でも恋は出来るから。そんな想いを秘めたまま、彰太は一翔(かずと)に片想いをする。やがて、ハグから始まった二人の恋愛は、三年で幕を閉じることになる。
一翔の左手の薬指には、微かに光る指輪がある。綺麗な奥さんと、一歳になる娘がいるという一翔。あの三年間は、幻だった。一翔はそんな風に思っているかもしれない。
──でも。おれにとっては、確かに現実だったよ。
もう二度と交差することのない想いを秘め、彰太は遠い場所で笑う一翔に背を向けた。
継母の心得
トール
恋愛
【本編第一部完結済、2023/10〜第二部スタート ☆書籍化 2024/11/22ノベル5巻、コミックス1巻同時刊行予定☆】
※継母というテーマですが、ドロドロではありません。ほっこり可愛いを中心に展開されるお話ですので、ドロドロ重い、が苦手の方にもお読みいただけます。
山崎 美咲(35)は、癌治療で子供の作れない身体となった。生涯独身だと諦めていたが、やはり子供は欲しかったとじわじわ後悔が募っていく。
治療の甲斐なくこの世を去った美咲が目を覚ますと、なんと生前読んでいたマンガの世界に転生していた。
不遇な幼少期を過ごした主人公が、ライバルである皇太子とヒロインを巡り争い、最後は見事ヒロインを射止めるというテンプレもののマンガ。その不遇な幼少期で主人公を虐待する悪辣な継母がまさかの私!?
前世の記憶を取り戻したのは、主人公の父親との結婚式前日だった!
突然3才児の母親になった主人公が、良い継母になれるよう子育てに奮闘していたら、いつの間にか父子に溺愛されて……。
オタクの知識を使って、子育て頑張ります!!
子育てに関する道具が揃っていない世界で、玩具や食器、子供用品を作り出していく、オタクが行う異世界育児ファンタジー開幕です!
番外編は10/7〜別ページに移動いたしました。
完結【BL】紅き月の宴~Ωの悪役令息は、αの騎士に愛される。
梅花
BL
俺、アーデルハイド伯爵家次男のルーカス・アーデルハイドは悪役令息だった。
悪役令息と気付いたのは、断罪前々日の夜に激しい頭痛に襲われ倒れた後。
目を覚ました俺はこの世界が妹がプレイしていたBL18禁ゲーム『紅き月の宴』の世界に良く似ていると思い出したのだ。
この世界には男性しかいない。それを分ける性別であるα、β、Ωがあり、Ωが子供を孕む。
何処かで聞いた設定だ。
貴族社会では大半をαとβが占める中で、ルーカスは貴族には希なΩでそのせいか王子の婚約者になったのだ。
だが、ある日その王子からゲームの通り婚約破棄をされてしまう。
攻略対象5の俺が攻略対象1の婚約者になってました
白兪
BL
前世で妹がプレイしていた乙女ゲーム「君とユニバース」に転生してしまったアース。
攻略対象者ってことはイケメンだし将来も安泰じゃん!と喜ぶが、アースは人気最下位キャラ。あんまりパッとするところがないアースだが、気がついたら王太子の婚約者になっていた…。
なんとか友達に戻ろうとする主人公と離そうとしない激甘王太子の攻防はいかに!?
ゆっくり書き進めていこうと思います。拙い文章ですが最後まで読んでいただけると嬉しいです。
悪役王子の取り巻きに転生したようですが、破滅は嫌なので全力で足掻いていたら、王子は思いのほか優秀だったようです
魚谷
BL
ジェレミーは自分が転生者であることを思い出す。
ここは、BLマンガ『誓いは星の如くきらめく』の中。
そしてジェレミーは物語の主人公カップルに手を出そうとして破滅する、悪役王子の取り巻き。
このままいけば、王子ともども断罪の未来が待っている。
前世の知識を活かし、破滅確定の未来を回避するため、奮闘する。
※微BL(手を握ったりするくらいで、キス描写はありません)
【完結】異世界転生して美形になれたんだから全力で好きな事するけど
福の島
BL
もうバンドマンは嫌だ…顔だけで選ぶのやめよう…友達に諭されて戻れるうちに戻った寺内陸はその日のうちに車にひかれて死んだ。
生まれ変わったのは多分どこかの悪役令息
悪役になったのはちょっとガッカリだけど、金も権力もあって、その上、顔…髪…身長…せっかく美形に産まれたなら俺は全力で好きな事をしたい!!!!
とりあえず目指すはクソ婚約者との婚約破棄!!そしてとっとと学園卒業して冒険者になる!!!
平民だけど色々強いクーデレ✖️メンタル強のこの世で1番の美人
強い主人公が友達とかと頑張るお話です
短編なのでパッパと進みます
勢いで書いてるので誤字脱字等ありましたら申し訳ないです…
双子は不吉と消された僕が、真の血統魔法の使い手でした‼
HIROTOYUKI
BL
辺境の地で自然に囲まれて母と二人、裕福ではないが幸せに暮らしていたルフェル。森の中で倒れていた冒険者を助けたことで、魔法を使えることが判明して、王都にある魔法学園に無理矢理入学させられることに!貴族ばかりの生徒の中、平民ながら高い魔力を持つルフェルはいじめを受けながらも、卒業できれば母に楽をさせてあげられると信じて、辛い環境に耐え自分を磨いていた。そのような中、あまりにも理不尽な行いに魔力を暴走させたルフェルは、上級貴族の当主のみが使うことのできると言われる血統魔法を発現させ……。
カテゴリをBLに戻しました。まだ、その気配もありませんが……これから少しづつ匂わすべく頑張ります!
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる