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役目を終えて
100話 眠ったまま
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ドライアドの決戦から一週間が経った
僕は四日前に目覚め、今はエリーの目覚めを待っている
陛下によると、僕達はドライアドを倒した後に倒れたらしい
………複雑な気持ちだ
僕達の標的であったドライアドは、死ぬために世界を敵に回した
そして僕達を神子として転生させたケイリクスは、ドライアドを守ろうとしていた
強すぎる想いは簡単に死へと導いてしまう
そしてそれは僕達にも覚えがある
前世では僕が、今世では姉さんが、事故の時にお互いを守ろうとした
僕は助けきれなかったけど
でももし、また命に関わることが起きたら…
その時はどうなる?
僕達は互いに、大切な人の命にもなった
エリーが命の危険に晒された時、僕が守って代わりに死んだらグドも死んでしまう
エリーが僕を守って死んだら…いや、それは既に起こってしまった
残された選択肢はたった一つ
相方の妖精に守って貰うこと
僕達はもう、死にたいとか死にたくないとか以前に、自分の命を優先しなければいけなくなってしまった
「どうした?カメリア」
「……グド、僕はグドに死んでほしくない。だからグドに僕を守って欲しい。なんて、わがままかな………」
「いいや、それでいいんだぞ。俺の望みはお前を守ることとお前が幸せになることだからな。だから、もっと俺を使っていいんだ!」
……グドは僕のために生きてる
妖精は世界と人間のための道具だと、そう知ってからグドを見る目が変わった
ただ盲目的で狂人的なグドの行動は、妖精からしたら当たり前の本能と愛情表現だ
言わば、グドの行動はそのままグドの望み
僕が彼を正しく使うことでその望みは果たされる
だから、僕はしっかりとした主人にならないと
ここまで来てようやく、グドと僕の関係性ははっきりとした
………それにしても、何でエリーはずっと目覚めないんだろう
命に別状はないし、どこか悪いわけでもない
ジルもエリーは眠ってるだけと言っていたけど、やっぱり心配だ
「……カメリア、貴方に客人のようですよ」
「僕に客?」
「はい。アイリスのことは私達が見てますので、貴方はそちらの方に」
あれ、ジルは分かるけどグドもこの場に留まるんだ
これは…もしかして何かある?
言われるがままにドアを開けると、そこにはノックしようとしていたアズがいた
「アズ様?」
「………少し、私の部屋でお話ししたいことがあります」
「これで満足ですか、アイリス」
「いやぁ…だいぶ長い狸寝入りだなぁ」
そっくりな困り顔でため息を吐くユグドラシル
ミリーが話し声の聞こえないくらいまで離れたことを確認して、私は目を開けた
「悪い悪い。ミリーのことだから私を優先しそうでさ。昔から心配かけてた私が悪いんだけど…それでも今は、もっとミリー個人のことを考えて欲しいんだ」
アスフォデルがミリーのところに来るのを私はずっと待っていた
落ち着いて眠ったフリをしてればまだ不調な事も隠せるし、一時的なら私から離れることもできるだろうと思った
「ところでラシル、何でまだアイリスの体調が悪いんだ?」
「ストレスによる風邪です」
「ただの風邪かよっ!俺も心配したじゃん!」
死んだことは流石にショックだったから仕方ない
こんな事で周りに心配かけて心苦しいけど…ま、いっか
また寝よう
おやすみなさ………ぐー……………
僕は四日前に目覚め、今はエリーの目覚めを待っている
陛下によると、僕達はドライアドを倒した後に倒れたらしい
………複雑な気持ちだ
僕達の標的であったドライアドは、死ぬために世界を敵に回した
そして僕達を神子として転生させたケイリクスは、ドライアドを守ろうとしていた
強すぎる想いは簡単に死へと導いてしまう
そしてそれは僕達にも覚えがある
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僕は助けきれなかったけど
でももし、また命に関わることが起きたら…
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「いいや、それでいいんだぞ。俺の望みはお前を守ることとお前が幸せになることだからな。だから、もっと俺を使っていいんだ!」
……グドは僕のために生きてる
妖精は世界と人間のための道具だと、そう知ってからグドを見る目が変わった
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だから、僕はしっかりとした主人にならないと
ここまで来てようやく、グドと僕の関係性ははっきりとした
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命に別状はないし、どこか悪いわけでもない
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「……カメリア、貴方に客人のようですよ」
「僕に客?」
「はい。アイリスのことは私達が見てますので、貴方はそちらの方に」
あれ、ジルは分かるけどグドもこの場に留まるんだ
これは…もしかして何かある?
言われるがままにドアを開けると、そこにはノックしようとしていたアズがいた
「アズ様?」
「………少し、私の部屋でお話ししたいことがあります」
「これで満足ですか、アイリス」
「いやぁ…だいぶ長い狸寝入りだなぁ」
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「悪い悪い。ミリーのことだから私を優先しそうでさ。昔から心配かけてた私が悪いんだけど…それでも今は、もっとミリー個人のことを考えて欲しいんだ」
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落ち着いて眠ったフリをしてればまだ不調な事も隠せるし、一時的なら私から離れることもできるだろうと思った
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「ストレスによる風邪です」
「ただの風邪かよっ!俺も心配したじゃん!」
死んだことは流石にショックだったから仕方ない
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