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変化とはあまりにも速い
15話 事件の真相
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何故ロックは僕に剣を教えようとしたのだろうか
彼から見れば僕は兄の仇なのに
まさか、僕を殺そうと?
ならここでこんな話題は出さないだろう
何が起きているのかさっぱりわからない
「私は……騎士を殺してない」
「は……?」
「そう言っても信じないでしょう?貴方は間違いなく私が殺したと思っているのだから」
「それはそうでしょう。逆に誰が騎士達を殺したと…」
「そんなこと知らない」
思い出したくも無い
部屋に転がる死体と血
鉄の匂いで充満したあの部屋はもう入りたくも無い
気付いた時には騎士達は死んでいて、1人の騎士が……
騎士が…?
そうだ
僕が目を覚ました時、1人だけ生きていた
18人目、僕にとって最後の護衛騎士
彼は解雇されたばかりで何で部屋にいた?
それに………
「ま……お嬢様!」
「!」
「申し訳ありません。顔が真っ青になっていたので」
「いえ、ありがとうございます。………思い出したく無かったので」
思い出すな
また気が狂う
今は大丈夫だから
深呼吸をして、話を続けた
「私が眠っている間に騎士達はすでに死んでいました。目が覚めた時に生きていた騎士は1人、恐らく彼が他の騎士達を殺したと思われます。しかし、彼は私が目覚めてすぐに自害しました」
「っ……!あまり信じられない話ですね。それが本当なら相当やばいじゃ無いですか」
残念ながらそれが本当だ
ただ、それを証明する方法は無い
他に誰もいなかったのだから何も分かるまい
僕が殺していない証拠は当時の非力さだけだろう
今でこそ剣を振るう事が出来るが、初めて持った本物の剣は持てても振るう事は出来ない
アズが僕を信じてくれたのはただの奇跡に過ぎない
僕が男であると気付いたからこそ理解できたのだろう
しかし、それをあまり他人に言えない
言ってしまえば僕は何も出来ずに死んでしまうだろうから
結婚してから公爵からは一切の連絡も無い
ジルが夜たまに出かけていることから彼女から連絡が行っていると考えていいだろう
だが、僕から公爵のことを探る事は出来ない
「別に、信用して貰わなくても大丈夫です。貴方のお兄さんが亡くなってしまった事に変わりはありませんから」
「………」
「ただ、これだけは伝えておきますね。シャムは人の道からはずれてしまいました。ですから、私は彼の死を悲しむ事が出来ません」
「なっ…!どう言う事ですか!?」
何も知らないようだ
あまり気乗りはしないが、身内のした事くらい教えておくべきだろう
「シャムの解雇理由は、私に手を出そうとしたからです。性的な意味で」
「っ!兄さんがそんな事を………?」
「当時、私はまだ12の子供でした。シャム以外の騎士達からも同じような事をされて、今は護衛騎士がいないのです」
ロックは驚きを隠せずにいる
それもそうだろう
僕だってシャムに初めて会った時、初めて話した時は曲がった事が嫌いな優しい人だと思った
僕が何かを成し遂げたら優しく頭を撫でてくれて褒めてくれた
今度こそはと思った
そんな期待に意味は無く、1番滞在時間の短い騎士となった
気付けば、それから騎士に信頼を置けなくなったのだろう
彼から見れば僕は兄の仇なのに
まさか、僕を殺そうと?
ならここでこんな話題は出さないだろう
何が起きているのかさっぱりわからない
「私は……騎士を殺してない」
「は……?」
「そう言っても信じないでしょう?貴方は間違いなく私が殺したと思っているのだから」
「それはそうでしょう。逆に誰が騎士達を殺したと…」
「そんなこと知らない」
思い出したくも無い
部屋に転がる死体と血
鉄の匂いで充満したあの部屋はもう入りたくも無い
気付いた時には騎士達は死んでいて、1人の騎士が……
騎士が…?
そうだ
僕が目を覚ました時、1人だけ生きていた
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彼は解雇されたばかりで何で部屋にいた?
それに………
「ま……お嬢様!」
「!」
「申し訳ありません。顔が真っ青になっていたので」
「いえ、ありがとうございます。………思い出したく無かったので」
思い出すな
また気が狂う
今は大丈夫だから
深呼吸をして、話を続けた
「私が眠っている間に騎士達はすでに死んでいました。目が覚めた時に生きていた騎士は1人、恐らく彼が他の騎士達を殺したと思われます。しかし、彼は私が目覚めてすぐに自害しました」
「っ……!あまり信じられない話ですね。それが本当なら相当やばいじゃ無いですか」
残念ながらそれが本当だ
ただ、それを証明する方法は無い
他に誰もいなかったのだから何も分かるまい
僕が殺していない証拠は当時の非力さだけだろう
今でこそ剣を振るう事が出来るが、初めて持った本物の剣は持てても振るう事は出来ない
アズが僕を信じてくれたのはただの奇跡に過ぎない
僕が男であると気付いたからこそ理解できたのだろう
しかし、それをあまり他人に言えない
言ってしまえば僕は何も出来ずに死んでしまうだろうから
結婚してから公爵からは一切の連絡も無い
ジルが夜たまに出かけていることから彼女から連絡が行っていると考えていいだろう
だが、僕から公爵のことを探る事は出来ない
「別に、信用して貰わなくても大丈夫です。貴方のお兄さんが亡くなってしまった事に変わりはありませんから」
「………」
「ただ、これだけは伝えておきますね。シャムは人の道からはずれてしまいました。ですから、私は彼の死を悲しむ事が出来ません」
「なっ…!どう言う事ですか!?」
何も知らないようだ
あまり気乗りはしないが、身内のした事くらい教えておくべきだろう
「シャムの解雇理由は、私に手を出そうとしたからです。性的な意味で」
「っ!兄さんがそんな事を………?」
「当時、私はまだ12の子供でした。シャム以外の騎士達からも同じような事をされて、今は護衛騎士がいないのです」
ロックは驚きを隠せずにいる
それもそうだろう
僕だってシャムに初めて会った時、初めて話した時は曲がった事が嫌いな優しい人だと思った
僕が何かを成し遂げたら優しく頭を撫でてくれて褒めてくれた
今度こそはと思った
そんな期待に意味は無く、1番滞在時間の短い騎士となった
気付けば、それから騎士に信頼を置けなくなったのだろう
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