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第三章
17、王太子と客人と二匹の黒猫①
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冬の初めに行われるサウィン祭りを数日後に控えたその日。
静謐な森の中に佇むゴシック建築の娼館、忘却の館の前に、アストリア国の貴人を乗せた馬車が停まった。
アストリアは、リトリアン王国の東北にある山脈沿いに隣接する国であり、リトリアンの同盟国でもある。
「ようこそおいでくださいました」
馬車から降りて来た壮年の男性に対し、銀狐の仮面で顔の上半分を隠した館主は恭しく腰を折る。その優美な動きに合わせて、少し癖のあるプラチナブロンドの髪がさらりと揺れた。
客はオルバニー太公エドワード・アレグザンダー・リチャード・レスリー。アストリア国王の第二子であり、リトリアン王国王太子アルフレードの、母方の伯父に当たる人物だ。
「前の館主もその仮面を付けていたな。では、今はお前がこの館の主か。娼館の主にしてはずいぶんと若いな。何歳だ?」
出迎えた銀狐の仮面の館主の姿を目に、オルバニー太公エドワードは太く整った眉を訝しげに顰める。エドワードの平均よりも遥かに高い背に、がっしりとした筋肉のついた大柄な体躯は、王子と言われるよりも、歴戦の将軍と言われる方が遥かにしっくりくる。
「もうすぐ十九歳になります。十七歳で先代からこの館を譲り受けました」
「ふん。その年で娼館の主となるなど、酔狂な事だ」
頭を下げたまま答える館主に、エドワードは案内を促した。
館主は客人をこの娼館の中でも一際豪奢な部屋へと案内し、扉をノックする。
数秒後、内側から扉が開かれ、館主は部屋の奥にいる金の髪の青年に来客を告げた。
「お客様をご案内致しました、我が君」
「ようこそ、エディ伯父上。お久しぶりです」
暖炉の前のソファーに腰掛け、この館で一番の高級娼婦とチェスを指しながらエドワードを迎えたのは、この国の王太子アルフレードだ。アルフレードは自身の伯父であり、隣国からの特使でもあるエドワードに対し、立ち上がる事なく笑みを向ける。
そんなアルフレードに、エドワードは「ああ」と一言だけ返し、豪奢な部屋へと足を踏み入れた。
この娼館には、外国の要人との密談の為に用意された部屋がある。この部屋もその手の事に使われる部屋の一室だ。最高級の調度品が並んでいるのは当然の事として、床には毛足の長い柔らかな絨毯が敷かれ、その上には幾人もの美しい女性達が寛いでいた。
彼女達は王太子の前であるというのに、絨毯に直接座り、思い思いに談笑したり、カードを楽しんだりしている。彼女達の振る舞いは、さながら自由気ままな猫のようだ。
「娼婦は邪魔だ」
低音で不機嫌に告げるエドワードに、アルフレードはクスリと笑う。
「お気に召しませんでしたか? せっかくエディ伯父上の為に、我が国でも最上の美女達をご用意いたしましたのに」
「やめろ。本当にあの悪魔に似てきたな、アルフレード。言わずともわかっているだろうが、こんなもてなしは不要だ」
「それは残念」
アルフレードの言葉と共に、室内の女性達は誰に命じられる事もなく立ち上がり、自国の王太子と王太子の客人に淑女の礼をとり、次々と部屋を辞していく。
女性達が去った後、エドワードをここまで案内した館主が室内に残った王太子とその客に恭しく礼をして、部屋の扉を閉めた。
室内には、アルフレードとエドワード、そして、アルフレードの座るソファーの肘置きに横から腰をかけた少年と、アルフレードの背後から抱きつくように首元に細い腕を回している少女が残った。
「ソレは?」
「この子達は私に懐いていて、離れないのです。猫とでも思っていてください」
エドワードはアルフレードの前のソファーに腰かけながら、アルフレードに侍る少年と少女に視線を向けた。
少年と少女は、共に黒髪黒目の美しい見目で、華奢とも言える未成熟な体つきをしている。服装はスラックスとスカートの違いはあれど、仕立ての良い、同じデザインのシンプルな服を着用している。
双子という程に顔は似てはいないが、二人が纏う雰囲気は同質の物のように思えた。
ただ無礼極まりない行動からして、教育を受けた上位貴族の者とは思えない。王太子が寵愛を与えている為に、この二人は常日頃からこのような態度が許されているのだろうと推測し、エドワードは呆れた。
「愛玩用の情人だとしても、場は弁えさせろ。何より王太子ともあろう者が、自ら首を曝け出すような真似は、どうかと思うぞ?」
図々しくも王太子であるアルフレードの背後から彼の首に腕を回す少女に対し、エドワードは女性であれば竦み上がる程の威圧的な視線を向ける。
だが、敵意を向けられた少女はというと、良くできた人形のように整った顔で、エドワードを睨み返してきた。
予想外の少女の反応に、エドワードは内心驚く。豪胆なのか鈍感なのか。
だが、驚きを悟らせる事なく、心の中で嘆息する。
そんな伯父の姿に、アルフレードは自身に侍る少女を小声で窘め、謝罪する。
「申し訳ありません伯父上。伯父上の腰の剣が、私の首に届く距離にあるせいで、少し気が立っているようです」
アルフレードの言葉に、エドワードは目を眇めた。
どうやら、目の前の少年と少女は、アルフレードを守っているつもりであるらしい。
しかし同盟国とは言え、エドワードにとってここは他国の娼館だ。しかも館の中に入ったのは、特使であるエドワード一人。彼に付き従って来た者の大半は、森の入り口に残してきている。
そんな非公式な場でたまたま出会った王太子の前で帯剣していようと、非難される謂れはない。
そもそも、アルフレードに侍る二人は、野生を忘れ飼い慣らされた家猫のようで、とてもではないが、王太子の護衛どころか、盾としてすらも役立つようにはみえなかった。
「ソレは、役に立つのか?」
思わず口をついた正直な疑問に、僅かな思案と共に返ってきたのは、「それなりには」との答えだった。
そんなアルフレードの返答が不満だったのか、少年と少女は同時に眉間に皺を寄せ、二人して拗ねるように少し細めた目で、アルフレードにじっとりとした視線を向けた。
「ずいぶんと甘やかしているようだが、下々の者は優しくし過ぎると、勘違いしてつけ上がるぞ」
エドワードは淡々と甥に警告する。だが、アルフレードはエドワードの言葉には何も答えず、ただ微笑んだ。
そんな甥の態度に、エドワードはアルフレードにというよりも、彼に侍る二人に警告を与えるつもりで右手を胸元に伸ばす。
だが、胸に忍ばせた暗器に触れようとした瞬間。エドワードの右手の甲に、鋭い痛みが走った。
続いて、視界の隅に音もなくチェスの駒が転がった。
「エディ伯父上。この二人は私に対しとても過保護なので、たとえ単なる脅しでも、私の前で武器を手にするのは控えて頂きたい。咄嗟に伯父上の命を守れる保証はありませんので」
微笑みを浮かべたまま不穏な発言をするアルフレードの右側では、肘置きに腰掛けた少年が、いつのまにかチェス盤の上にあった白いチェスの駒を指先で弄んでいる。
「……私は胸ポケットに入れている物を取り出そうとしただけだ」
「だ、そうだよ?」
アルフレードが黒髪の少年を見ると、少年は僅かに首を傾げた。
「でもぉ、今取り出そうとした煙管、中に短刀が仕込まれてるから~」
「そう。よくわかったね」
「偉い?」
「ああ、偉いぞ。ただ、動いただけで攻撃はしちゃだめだ。私の伯父だからね」
「はーい」
アルフレードと会話する黒髪の少年の口調は、外見の年齢よりもさらに幼くかんじた。
「今ので、この子達については、十分にお分かり頂けたでしょう? そろそろ本題に入りませんか、伯父上。わざわざこんな場での密談を望む位なのだから、余程の事がおありなのでしょう?」
アルフレードの問いに、エドワードは頷いた。
「最近周辺国では、興味深い噂が流れている。リトリアンの国王は病で伏せっており、リトリアンを守護する女神の代理人は、もう余命幾許も無く、この国が女神リネスの守護を失うのは時間の問題だと」
「それはそれは」
アルフレードの笑みが一際深くなる。
「そして、ライリッヒ神聖帝国が、水面下で動き出したそうだ」
エドワードの言葉に、アルフレードの首に腕を回した黒髪の少女の肩が、ピクリと揺れた。
「────嘘でしょ……」
僅かに震える唇から零れた言葉は、アルフレードでさえ聞き逃すほどに、小さな呟きだった。
静謐な森の中に佇むゴシック建築の娼館、忘却の館の前に、アストリア国の貴人を乗せた馬車が停まった。
アストリアは、リトリアン王国の東北にある山脈沿いに隣接する国であり、リトリアンの同盟国でもある。
「ようこそおいでくださいました」
馬車から降りて来た壮年の男性に対し、銀狐の仮面で顔の上半分を隠した館主は恭しく腰を折る。その優美な動きに合わせて、少し癖のあるプラチナブロンドの髪がさらりと揺れた。
客はオルバニー太公エドワード・アレグザンダー・リチャード・レスリー。アストリア国王の第二子であり、リトリアン王国王太子アルフレードの、母方の伯父に当たる人物だ。
「前の館主もその仮面を付けていたな。では、今はお前がこの館の主か。娼館の主にしてはずいぶんと若いな。何歳だ?」
出迎えた銀狐の仮面の館主の姿を目に、オルバニー太公エドワードは太く整った眉を訝しげに顰める。エドワードの平均よりも遥かに高い背に、がっしりとした筋肉のついた大柄な体躯は、王子と言われるよりも、歴戦の将軍と言われる方が遥かにしっくりくる。
「もうすぐ十九歳になります。十七歳で先代からこの館を譲り受けました」
「ふん。その年で娼館の主となるなど、酔狂な事だ」
頭を下げたまま答える館主に、エドワードは案内を促した。
館主は客人をこの娼館の中でも一際豪奢な部屋へと案内し、扉をノックする。
数秒後、内側から扉が開かれ、館主は部屋の奥にいる金の髪の青年に来客を告げた。
「お客様をご案内致しました、我が君」
「ようこそ、エディ伯父上。お久しぶりです」
暖炉の前のソファーに腰掛け、この館で一番の高級娼婦とチェスを指しながらエドワードを迎えたのは、この国の王太子アルフレードだ。アルフレードは自身の伯父であり、隣国からの特使でもあるエドワードに対し、立ち上がる事なく笑みを向ける。
そんなアルフレードに、エドワードは「ああ」と一言だけ返し、豪奢な部屋へと足を踏み入れた。
この娼館には、外国の要人との密談の為に用意された部屋がある。この部屋もその手の事に使われる部屋の一室だ。最高級の調度品が並んでいるのは当然の事として、床には毛足の長い柔らかな絨毯が敷かれ、その上には幾人もの美しい女性達が寛いでいた。
彼女達は王太子の前であるというのに、絨毯に直接座り、思い思いに談笑したり、カードを楽しんだりしている。彼女達の振る舞いは、さながら自由気ままな猫のようだ。
「娼婦は邪魔だ」
低音で不機嫌に告げるエドワードに、アルフレードはクスリと笑う。
「お気に召しませんでしたか? せっかくエディ伯父上の為に、我が国でも最上の美女達をご用意いたしましたのに」
「やめろ。本当にあの悪魔に似てきたな、アルフレード。言わずともわかっているだろうが、こんなもてなしは不要だ」
「それは残念」
アルフレードの言葉と共に、室内の女性達は誰に命じられる事もなく立ち上がり、自国の王太子と王太子の客人に淑女の礼をとり、次々と部屋を辞していく。
女性達が去った後、エドワードをここまで案内した館主が室内に残った王太子とその客に恭しく礼をして、部屋の扉を閉めた。
室内には、アルフレードとエドワード、そして、アルフレードの座るソファーの肘置きに横から腰をかけた少年と、アルフレードの背後から抱きつくように首元に細い腕を回している少女が残った。
「ソレは?」
「この子達は私に懐いていて、離れないのです。猫とでも思っていてください」
エドワードはアルフレードの前のソファーに腰かけながら、アルフレードに侍る少年と少女に視線を向けた。
少年と少女は、共に黒髪黒目の美しい見目で、華奢とも言える未成熟な体つきをしている。服装はスラックスとスカートの違いはあれど、仕立ての良い、同じデザインのシンプルな服を着用している。
双子という程に顔は似てはいないが、二人が纏う雰囲気は同質の物のように思えた。
ただ無礼極まりない行動からして、教育を受けた上位貴族の者とは思えない。王太子が寵愛を与えている為に、この二人は常日頃からこのような態度が許されているのだろうと推測し、エドワードは呆れた。
「愛玩用の情人だとしても、場は弁えさせろ。何より王太子ともあろう者が、自ら首を曝け出すような真似は、どうかと思うぞ?」
図々しくも王太子であるアルフレードの背後から彼の首に腕を回す少女に対し、エドワードは女性であれば竦み上がる程の威圧的な視線を向ける。
だが、敵意を向けられた少女はというと、良くできた人形のように整った顔で、エドワードを睨み返してきた。
予想外の少女の反応に、エドワードは内心驚く。豪胆なのか鈍感なのか。
だが、驚きを悟らせる事なく、心の中で嘆息する。
そんな伯父の姿に、アルフレードは自身に侍る少女を小声で窘め、謝罪する。
「申し訳ありません伯父上。伯父上の腰の剣が、私の首に届く距離にあるせいで、少し気が立っているようです」
アルフレードの言葉に、エドワードは目を眇めた。
どうやら、目の前の少年と少女は、アルフレードを守っているつもりであるらしい。
しかし同盟国とは言え、エドワードにとってここは他国の娼館だ。しかも館の中に入ったのは、特使であるエドワード一人。彼に付き従って来た者の大半は、森の入り口に残してきている。
そんな非公式な場でたまたま出会った王太子の前で帯剣していようと、非難される謂れはない。
そもそも、アルフレードに侍る二人は、野生を忘れ飼い慣らされた家猫のようで、とてもではないが、王太子の護衛どころか、盾としてすらも役立つようにはみえなかった。
「ソレは、役に立つのか?」
思わず口をついた正直な疑問に、僅かな思案と共に返ってきたのは、「それなりには」との答えだった。
そんなアルフレードの返答が不満だったのか、少年と少女は同時に眉間に皺を寄せ、二人して拗ねるように少し細めた目で、アルフレードにじっとりとした視線を向けた。
「ずいぶんと甘やかしているようだが、下々の者は優しくし過ぎると、勘違いしてつけ上がるぞ」
エドワードは淡々と甥に警告する。だが、アルフレードはエドワードの言葉には何も答えず、ただ微笑んだ。
そんな甥の態度に、エドワードはアルフレードにというよりも、彼に侍る二人に警告を与えるつもりで右手を胸元に伸ばす。
だが、胸に忍ばせた暗器に触れようとした瞬間。エドワードの右手の甲に、鋭い痛みが走った。
続いて、視界の隅に音もなくチェスの駒が転がった。
「エディ伯父上。この二人は私に対しとても過保護なので、たとえ単なる脅しでも、私の前で武器を手にするのは控えて頂きたい。咄嗟に伯父上の命を守れる保証はありませんので」
微笑みを浮かべたまま不穏な発言をするアルフレードの右側では、肘置きに腰掛けた少年が、いつのまにかチェス盤の上にあった白いチェスの駒を指先で弄んでいる。
「……私は胸ポケットに入れている物を取り出そうとしただけだ」
「だ、そうだよ?」
アルフレードが黒髪の少年を見ると、少年は僅かに首を傾げた。
「でもぉ、今取り出そうとした煙管、中に短刀が仕込まれてるから~」
「そう。よくわかったね」
「偉い?」
「ああ、偉いぞ。ただ、動いただけで攻撃はしちゃだめだ。私の伯父だからね」
「はーい」
アルフレードと会話する黒髪の少年の口調は、外見の年齢よりもさらに幼くかんじた。
「今ので、この子達については、十分にお分かり頂けたでしょう? そろそろ本題に入りませんか、伯父上。わざわざこんな場での密談を望む位なのだから、余程の事がおありなのでしょう?」
アルフレードの問いに、エドワードは頷いた。
「最近周辺国では、興味深い噂が流れている。リトリアンの国王は病で伏せっており、リトリアンを守護する女神の代理人は、もう余命幾許も無く、この国が女神リネスの守護を失うのは時間の問題だと」
「それはそれは」
アルフレードの笑みが一際深くなる。
「そして、ライリッヒ神聖帝国が、水面下で動き出したそうだ」
エドワードの言葉に、アルフレードの首に腕を回した黒髪の少女の肩が、ピクリと揺れた。
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