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肉食系ヒロインちゃんは、隠しルートの攻略対象である私の婚約者を狙っている
肉食系ヒロインちゃんは…
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結論から言おう。私は死ななかった。というか、アレク様が下さった薬は毒じゃなかった。
目が覚めたら、天使が枕元にいて、私の顔を覗き込んでいた。
「アレク様みたいな天使様がいる…やっぱり私死んじゃったのか…」
「死んでないよ。気絶はしたけどね」
枕元にいたのはなんとアレク様で、私は身体を綺麗にされて、裸のままアレク様の寝台で眠っていたのだ。
アレク様曰く、私がアレク様の供給過多で気絶したり心臓発作を起こさないように、所謂精神安定剤的な物を飲まされたらしい。それと避妊薬。そして、ほんの少しの媚薬。
でも避妊薬も完全とは言いがたいから、外に出したんだとか。
「なんで僕が君に毒を飲ませるなんて思ったの? ものすごく心外なんだけど。ていうか、毒だと思ってなんで飲んだの?」
アレク様は怒りを通り越して呆れていた。
「だって、アレク様はすごく怒ってて…。それに、アレク様から頂いた物だから、本当は大事にしまっておきたかったけど、飲んでって言われたから…」
飲みました。って言うと、「馬鹿なの?」と言われて抱きしめられた。
アレク様が「息して」と言うまで私の息が止まっていたのは言うまでもない。
結局、キセイジジツができたからと、アレク様は婚約破棄して下さらなかった。
そんな訳で、私は方針変換する事にした。アレク様を人殺しにする訳にはいかない。もちろんアレク様の事だから、証拠なんて残さないだろうけど。でも、悪い事はしちゃ駄目って、おばあちゃんもお母さんも言ってたからね。
「あの、それでですね、私はあなたにアレクセイ様の攻略をやめて欲しいんです」
そう、私は今、めちゃくちゃ勇気を出して、ヒロインちゃんに直談判している真っ最中だ。
学園の中庭のベンチに座り、木漏れ日の中1人で本を読んでいたヒロインちゃんを見つけて、言うなら今しかないと思ったのだ。
「攻略?」
「あ、えっと、あのですね。アレク様と恋人?みたいにならないで欲しいんです。あの、あなたが、アレク様を攻略…いえ、恋仲?になっちゃうと、私毒を飲んで死んじゃうんで。それが痛くて苦しいってまるちゃんが…」
「まるちゃん?」
「あ、まるちゃんというのは私の親友で……」
私がそういうと、ヒロインちゃんは眼を見開いた。
「あんた、みなりん?」
「え?!」
ヒロインちゃんは、まるちゃんだった。しかも、まるちゃんは逆ハーを目指していたのではなく、スチルを集めていたらしい。身体をはって。オタクの鑑だね。
「でも、それならなんでアレク様の攻略はしなかったの?」
「は?そんなの、ティアラリア…つまり、あんたがあのサイコパスに殺されるからに決まってるでしょう。いくらスチルが欲しくても、アレクセイのルートは人が死ぬのよ。私のせいで人が死ぬなんて、耐えられる訳ないじゃない。だから、攻略しなくても集められるスチルだけ集めてたの」
それに、攻略に失敗したら、監禁凌辱コースだし。どんまいみなりん……と、まるちゃんは遠い目をして言った。そうか、それでヒロインちゃんとアレク様はよく一緒にいたのか。
「まあ、みなりんがいて良かったよ。もうすぐ、このゲームのセカンドがはじまるから。みなりんも一緒にスチルを集めよーよ。今度のヒロインは転校生なのよ。自分のスチルは集められないけど、セカンドのヒロインなら、この目で見られるじゃない?」
ものすごく嬉しそうに話すまるちゃんに、私はメガネくんとまるちゃんのあれを思い出して、ちょっとだけ、遠い目になった。
その時、私はふわりと後ろから抱きしめられた。アレク様のにおいだ。
そう思った瞬間、息が止まった。
「息してティアラ」
「アレク様…」
アレク様は私を後ろから抱きしめて、まるちゃんをにらんだ。
「ミア、僕のティアラにまで手を出さないでよ?」
「はぁ? あんたのもんじゃないでしょ。女を所有物のように言わないでよ」
「いいんだよ、ティアラは僕だけのティアラなんだから。股の緩いヤリマンの君と一緒にいて、ティアラが貞操観念のゆる~い君の悪影響を受けたらどうしてくれるの」
いまアレク様の美しい唇から、悪役令息とはいえ乙女ゲームの攻略対象にあるまじき言葉が出た!! やだ、アレク様がまるちゃんに毒されてる!!
「はっ、ティアはね、私の大親友なのよ!!私達の関係は切ってもきれないの。あんたが割り込む事なんてできないわよ」
「君とティアラが友達だとか、聞いた事無い」
「本当よ、ね、ティアラリア」
私が頷くと、まるちゃんはまるでヒロインちゃんみたいに、すごく嬉しそうに笑った。
ちなみに、後日まるちゃんから聞いた話では、なんとアレク様は処女厨だった。だから逆ハーの後で開いたアレク様のルートはめちゃくちゃ難しくて、成功率はかなり低いらしい。
それを聞いて前世の私が、ほんの少しだけ、本当にほんの少しだけ、アレク様に白い目を向けたのは、アレク様には一生内緒だ。
─────────
最後まで読んでくださってありがとうございました。
これでティアラ(みなりん)ヒロインのお話は終わりになります。
この後は、まるちゃん(ユーフェミア)ヒロインのお話をアップします。そちらもよろしくお願いします。
目が覚めたら、天使が枕元にいて、私の顔を覗き込んでいた。
「アレク様みたいな天使様がいる…やっぱり私死んじゃったのか…」
「死んでないよ。気絶はしたけどね」
枕元にいたのはなんとアレク様で、私は身体を綺麗にされて、裸のままアレク様の寝台で眠っていたのだ。
アレク様曰く、私がアレク様の供給過多で気絶したり心臓発作を起こさないように、所謂精神安定剤的な物を飲まされたらしい。それと避妊薬。そして、ほんの少しの媚薬。
でも避妊薬も完全とは言いがたいから、外に出したんだとか。
「なんで僕が君に毒を飲ませるなんて思ったの? ものすごく心外なんだけど。ていうか、毒だと思ってなんで飲んだの?」
アレク様は怒りを通り越して呆れていた。
「だって、アレク様はすごく怒ってて…。それに、アレク様から頂いた物だから、本当は大事にしまっておきたかったけど、飲んでって言われたから…」
飲みました。って言うと、「馬鹿なの?」と言われて抱きしめられた。
アレク様が「息して」と言うまで私の息が止まっていたのは言うまでもない。
結局、キセイジジツができたからと、アレク様は婚約破棄して下さらなかった。
そんな訳で、私は方針変換する事にした。アレク様を人殺しにする訳にはいかない。もちろんアレク様の事だから、証拠なんて残さないだろうけど。でも、悪い事はしちゃ駄目って、おばあちゃんもお母さんも言ってたからね。
「あの、それでですね、私はあなたにアレクセイ様の攻略をやめて欲しいんです」
そう、私は今、めちゃくちゃ勇気を出して、ヒロインちゃんに直談判している真っ最中だ。
学園の中庭のベンチに座り、木漏れ日の中1人で本を読んでいたヒロインちゃんを見つけて、言うなら今しかないと思ったのだ。
「攻略?」
「あ、えっと、あのですね。アレク様と恋人?みたいにならないで欲しいんです。あの、あなたが、アレク様を攻略…いえ、恋仲?になっちゃうと、私毒を飲んで死んじゃうんで。それが痛くて苦しいってまるちゃんが…」
「まるちゃん?」
「あ、まるちゃんというのは私の親友で……」
私がそういうと、ヒロインちゃんは眼を見開いた。
「あんた、みなりん?」
「え?!」
ヒロインちゃんは、まるちゃんだった。しかも、まるちゃんは逆ハーを目指していたのではなく、スチルを集めていたらしい。身体をはって。オタクの鑑だね。
「でも、それならなんでアレク様の攻略はしなかったの?」
「は?そんなの、ティアラリア…つまり、あんたがあのサイコパスに殺されるからに決まってるでしょう。いくらスチルが欲しくても、アレクセイのルートは人が死ぬのよ。私のせいで人が死ぬなんて、耐えられる訳ないじゃない。だから、攻略しなくても集められるスチルだけ集めてたの」
それに、攻略に失敗したら、監禁凌辱コースだし。どんまいみなりん……と、まるちゃんは遠い目をして言った。そうか、それでヒロインちゃんとアレク様はよく一緒にいたのか。
「まあ、みなりんがいて良かったよ。もうすぐ、このゲームのセカンドがはじまるから。みなりんも一緒にスチルを集めよーよ。今度のヒロインは転校生なのよ。自分のスチルは集められないけど、セカンドのヒロインなら、この目で見られるじゃない?」
ものすごく嬉しそうに話すまるちゃんに、私はメガネくんとまるちゃんのあれを思い出して、ちょっとだけ、遠い目になった。
その時、私はふわりと後ろから抱きしめられた。アレク様のにおいだ。
そう思った瞬間、息が止まった。
「息してティアラ」
「アレク様…」
アレク様は私を後ろから抱きしめて、まるちゃんをにらんだ。
「ミア、僕のティアラにまで手を出さないでよ?」
「はぁ? あんたのもんじゃないでしょ。女を所有物のように言わないでよ」
「いいんだよ、ティアラは僕だけのティアラなんだから。股の緩いヤリマンの君と一緒にいて、ティアラが貞操観念のゆる~い君の悪影響を受けたらどうしてくれるの」
いまアレク様の美しい唇から、悪役令息とはいえ乙女ゲームの攻略対象にあるまじき言葉が出た!! やだ、アレク様がまるちゃんに毒されてる!!
「はっ、ティアはね、私の大親友なのよ!!私達の関係は切ってもきれないの。あんたが割り込む事なんてできないわよ」
「君とティアラが友達だとか、聞いた事無い」
「本当よ、ね、ティアラリア」
私が頷くと、まるちゃんはまるでヒロインちゃんみたいに、すごく嬉しそうに笑った。
ちなみに、後日まるちゃんから聞いた話では、なんとアレク様は処女厨だった。だから逆ハーの後で開いたアレク様のルートはめちゃくちゃ難しくて、成功率はかなり低いらしい。
それを聞いて前世の私が、ほんの少しだけ、本当にほんの少しだけ、アレク様に白い目を向けたのは、アレク様には一生内緒だ。
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最後まで読んでくださってありがとうございました。
これでティアラ(みなりん)ヒロインのお話は終わりになります。
この後は、まるちゃん(ユーフェミア)ヒロインのお話をアップします。そちらもよろしくお願いします。
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