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100人目の赤ん坊
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私は代理出産を続けさせられ、99人の赤ん坊を産んだ。
それは気が遠くなるような時間の繰り返しであった。
次は100人目だ。赤子を出産する代わりに得た力によって、私は知っていた。
異世界エルドラにおいて、100人目の子どもは特別な意味をもつことを。
100人目の子は特別な子。強い力をもって産まれてくるという。
王も特別に強い力をもった子を期待しているのだ。
私もまた、この時を待っていた。
私のお腹に100人目の子が転移させられると、すぐさまお腹の子に
語りかけた。代理出産によって得た力が役に立つときだ。
100人目の子は私の声に耳を傾け、意思を返してきた。
「わたしの、いえ私たちの産みのママ。わたしの力を全てあなたに
預けます。ママの思う通りにしてください」
私は100度目の出産で意識を失うふりをして、『過去を視る力』によって
異世界エルドラの歴史を視に行った。
魔力が弱いとされる女たちの立場は弱く、男たちによって虐げられていた。
身の回りを世話させるだけに留まらず、力仕事や重労働も課していた。加えて、欲望のままに女たちを貪る。魔法によって体を抑えつけ、泣き叫ぶ若い女を犯すものもいた。
女たちが妊娠しても、労ることさえしない。
思っていた通りだ。いや、想像以上に酷い歴史だった。
ああ、女たちの悲鳴が聞こえる……。
子どもを産み、育んでいく女たちが、劣悪な環境に置かれていれば、疫病などによって子どもが授からない、育たない、となっても
不思議ではない気がした。
魔力が弱いからと女たちを虐げていたから、子供が生まれない世界になったのだ。言わば男たちの自業自得だといっていい。
あげくの果てに、別の世界の女を「異世界召還」などと称して呼び出し、骨の髄まで利用しようとする。なんて短絡的な思考なのだろう。
この世界の女たちをもっと大事にしてやれば、世界は生まれ変わったかもしれないのに。
この世界を根本から変えよう。
そうしなければ私は異世界エルドラから、完全に逃げることはできない。
それは気が遠くなるような時間の繰り返しであった。
次は100人目だ。赤子を出産する代わりに得た力によって、私は知っていた。
異世界エルドラにおいて、100人目の子どもは特別な意味をもつことを。
100人目の子は特別な子。強い力をもって産まれてくるという。
王も特別に強い力をもった子を期待しているのだ。
私もまた、この時を待っていた。
私のお腹に100人目の子が転移させられると、すぐさまお腹の子に
語りかけた。代理出産によって得た力が役に立つときだ。
100人目の子は私の声に耳を傾け、意思を返してきた。
「わたしの、いえ私たちの産みのママ。わたしの力を全てあなたに
預けます。ママの思う通りにしてください」
私は100度目の出産で意識を失うふりをして、『過去を視る力』によって
異世界エルドラの歴史を視に行った。
魔力が弱いとされる女たちの立場は弱く、男たちによって虐げられていた。
身の回りを世話させるだけに留まらず、力仕事や重労働も課していた。加えて、欲望のままに女たちを貪る。魔法によって体を抑えつけ、泣き叫ぶ若い女を犯すものもいた。
女たちが妊娠しても、労ることさえしない。
思っていた通りだ。いや、想像以上に酷い歴史だった。
ああ、女たちの悲鳴が聞こえる……。
子どもを産み、育んでいく女たちが、劣悪な環境に置かれていれば、疫病などによって子どもが授からない、育たない、となっても
不思議ではない気がした。
魔力が弱いからと女たちを虐げていたから、子供が生まれない世界になったのだ。言わば男たちの自業自得だといっていい。
あげくの果てに、別の世界の女を「異世界召還」などと称して呼び出し、骨の髄まで利用しようとする。なんて短絡的な思考なのだろう。
この世界の女たちをもっと大事にしてやれば、世界は生まれ変わったかもしれないのに。
この世界を根本から変えよう。
そうしなければ私は異世界エルドラから、完全に逃げることはできない。
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