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9 ※エルフィングside
しおりを挟む「そういえば、まだお話していなかったですね。私、火と土の属性を持っていまして。
全く強く無いのですが、土属性で土から金属を取り出して、火属性で溶接や成形を行う事にはとても良いのです!」
「そうなのか!?という事は、ゼロから生み出しているのか?」
「そうなりますかね?」
俺はポカンと口を開けてしまった。
まさかゼロから生み出していたとは…。
ロレッタはそれが当たり前かの様に続ける。
「私以外には全く価値の無いような魔法ですが」
彼女は言いながら少し悲しそうに笑う。
「いや……、出来れば言う人間は選んだ方が良いな」
「え?」
「金や宝石も見つけて、取り出せてしまう」
「わ!本当ですね!」
「そうなれば、ロレッタは危険な目に合う可能性がある。出来れば俺だけにしておけば良い」
そう言って、ロレッタの頭を撫でた。
彼女は少し危なっかしい。
頭を撫でると茹でられた蛸の様になってしまった。
しまった。
彼女はレディだ、失礼だった。
可愛らしいので、ついつい弟や妹達と同じ様に接してしまう。
「す、すまない。レディに失礼な事をした」
「い、いえ……、実は初めてでは無いのですが…」
「え!俺…、いつの間に…」
「だ、大丈夫です!!光栄です!!
あ、私ったら、何をっ」
彼女は真っ赤になりながら叫ぶと、慌てて口に手を当てる。
「……くくっ。ロレッタは本当に癒されるな…」
「え、私何かしましたでしょうか??」
癒される、と言ったのだが何故かオロオロと心配そうな顔をしている。
可愛いな。
本当に、今迄に居なかったタイプだ。
「大丈夫だ。偶に撫でても許してくれるか?」
「え、あ、はい!エル様に頭を撫でられるのは……その、嫌では無いのです」
頬を赤らめていても彼女は真っ直ぐに俺に微笑んで来た。
その微笑みは、大人と子どもが共存している。不思議な印象だ。
「…有難う。ロレッタ、初めて有った時は髪色を変えていたのだよな?とても綺麗な色だ」
彼女の髪は薄桃色だ。光が反射すると、少し金がかっていて美しい。
瞳は変えていなかったのだろう。蜂蜜色の瞳は大きく、潤っている。
もし、社交界に出ていたら釣書が多数寄せられただろうな。
「あ……、この髪色は私も気に入っているのです。お父様が赤で、お母様が白に近い金の髪色をしているので混ざった感じが…」
「確かに。良い所を受け継いでいるな」
「ふふふ、有難う御座います。嬉しいです。
エル様の髪色はお義父様似なのですか?」
「あぁ、俺とマグオットの髪色は父上だな。カレンは容姿もほぼ全て母上に似た」
「そうなのですね」
「あぁ。
そうだ、一つ言わなくてはいけない事が有る」
「何でしょうか?」
「二週間後に婚約お披露目を行う」
「えぇ!二週間後ですか!?」
「あぁ、仕事の都合上全て早急ですまない……」
「いえ!が、頑張ります!」
彼女の顔を引き攣らせてしまった。
順序を間違えてしまったようだ。
如何せん、彼女の事を知りたくて先に話さなかったのだが…男女関係は難しいな。
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