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しおりを挟む「えぇ!!!大進展じゃない!」
「か、カレン、声が大きい」
ゲイルと恋人同士になってから数週間、今日はゲイル、カレンとライラックの皆でデルフィニウム夫人に会いに行く予定だ。
出会い頭にカレンが何故絶叫しているかというと、ゲイルが私を後ろから抱き締めながら2人を迎えているからである。
確かにあれから会って居なかった。
今日まで、それはそれは甘やかされた。
ゲイルが季節が変わってから先生を始める為、家を空けることが多いが居る時は基本的に傍に居る。
日々御尊顔が麗しくなっている気さえするゲイルは、私を膝の上に乗せたがる。
また、唇には余りしないのに顔全体にはキスをしまくる。
愛情表現が全て顔に来る。耐え難い。
デートらしい事も本当に増えた。湖に散歩に行ったり、図書館に行ったり、ミレーヌの美しい場所に連れて行ってくれたりとそれはもう完璧な彼氏だ。
私はこの変わり身に付いていけずに、ワタワタと数週間を過ごしてしまっています。
南無阿弥陀仏。
「こりゃ驚いた!この間カレン嬢とあそこくっ付いて無いんか?って話しして帰ったとこなんや!」
「ね、リラ。まさかよね」
「めでたい限りやな!」
「そうね!おめでとう、2人とも。私、嬉しいわ」
2人は手を叩きながら祝福してくれている。何ともむず痒い。
「ありがとう。カレン、リラ。では、行こうか」
ゲイルが先導して行ってくれるので、2人には成り行きを説明した。
カレンにはまだ正式な婚約者にはならない事も伝えた。カレンは驚いていたが、私の自由だからとにっこり笑ってくれる。
「あ~、しゃあないな。俺も婚約者とか、結婚とか全然現実味無いもんなぁ~。なんか家にいっぱい来てるけど無視してるねんな。アレ、どうしよ」
と、リラまで助け舟を出してくれた。せめて対応はしようよ。
そうこう言って居るうちにデルフィニウム夫人のお屋敷に着いた。
ゲイルが要件を伝えると1人の豊満な女性が出て来る。
栗色の髪にピンクの瞳は少しキリッとしていてキツい印象が有る。泣きぼくろが特徴的な赤いドレスがとても似合う様な方だった。
「いらっしゃい、皆さん。あら、お久しぶりな方も居るかしら?中に入って」
そう言ってデルフィニウム夫人は私達を中に居れてくれた。
屋敷は花に溢れていてとても素敵だ。
中も華美になり過ぎない絶妙なバランスで品が良く花に囲まれている。
客間に通され、座るように促される。
「知っている子も居るけれど自己紹介するわね、ラン=デルフィニウムよ」
「先生、お久しぶりです。ライラックです、今日はご相談が有り参りました」
「久しぶりねぇ、ライラック。さて、何かしら?」
「こちらの事です」
屋敷に入る前に術を発動していたリラ。何だか関西弁で慣れてしまって、勝手に頭の中で変換されてしまう。
リラはあのパラパラ漫画を机に置いた。
「あら…バレちゃったのね。ふふふ」
まるでイタズラが成功したかのようにデルフィニウム夫人は扇で口元を隠しながらコロコロと笑う。
「どういう事ですか?お譲りはしましたが、販売されている事は知りませんでした」
「ごめんなさいね、才能を潰したく無かったから内緒にしていたの。貴方なら直ぐに気付くかと思ったけれど、時間が掛かったわね。
凄く、売れてるのよ?貴族は面白い物が好きだもの。
勿論売ったお金は残してあるわ。マージンは頂くけれど♪」
皆してポカンと口を開けてしまった。
何だか憎めない人だ。
「それで?このお2人は?」
夫人は私とカレンの方をチラッと見た。
「ご紹介が送れました。こちら妹のカレン。そしてお伝えしていた落ち人のマリーです」
ゲイルが紹介してくれるのでカレンに習ってカーテシーをした。
「ご紹介に預かりました。カレン=アンバートと申します」
「落ち人の、マリーと申します」
「二人とも頭を上げて?カレンちゃんには小さい頃に会った事が有るのよ、大きくなったわね」
「季節が明ければ16になります」
「あら、本当に大きいのね。歳を感じてしまうわ。
で、貴女が神の手のマリーちゃんね?」
「神の手?」
「ふふふ、最近この辺りで有名なのよ。花市に現れる黒髪の美少女が施すマッサージが天にも登る気持ちになれると。ファミーユからも神の手なのよ、と良く自慢されるものだから」
「そ、そうなんですね。初めて知りました」
「私も1度お伺いしようと思っていたのだけれど、貴女から会いに来てくれるなんて嬉しいわ。私はこの様な感じでしょ?余り外に出続けると変な噂ばかり出て、厄介なのよ」
「畏まりました。宜しければ本日も持って来ていますので、承れます」
「あら、本当?なら、後でお願いしようかしら♪」
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