上 下
51 / 92

50

しおりを挟む

「お~い、お二人さん。やっと見付けた~♪」



「え、エディどうしてここに!?」

「アレンから聞いたんだ」

「ゲイルも!?」


どうやら長く話し過ぎた様で、2人が迎えに来てくれた。
アレンのお喋りめ。

「俺たちもま~ぜて♪」

そう言ってエディは丁度空いていた隣の席に座り、飲み物を注文した。

「すまない、エディが行くと聞かなくて…」

「大丈夫だよ。ゲイル、今日はもう大丈夫なの?」

「あぁ、今日はもう大丈夫だ」

そう言ってゲイルはとても柔らかい顔をした。

その顔を見てエディとカレンが唖然としている。

「たまげた…。ゲイル、お前変な物でも食ったか?」

「ん?何の事だ?」

「…これ無自覚なのか、マリーちゃん」

「その様なんです…」

「ちょっと、思ったより良い雰囲気なんじゃない。私、あんな顔初めて見たわよ」

横に座ったエディを押し退けて私の隣に座ったカレンに、小声で囁かれて小突かれてしまった。

「そ、そうなのかな?」

私の顔は真っ赤だ。
確かにゲイルが最近笑顔が増えた気がしていたのだ。
他の人に言われると実感が嫌でも湧いてしまう。


「それより、カレン。俺の事避けてるだろ?」

「うるさいわよ。自意識過剰なんじゃないかしら」

「じゃあ、俺の勘違いかな?」

「そうね」

カレンはエディが気付いていた事が嬉しかったのか茹でた顔を隠すように俯いてしまっている。
エディは久々に話せた事が嬉しかったのだろう。ニコニコしてカレンを眺めている。

おや?これは、脈アリなのでは?


「聞いたぜ、16歳になったら婚約者決めるんだろ?それが知られるのが恥ずかしいからって、カレンは相変わらず子どもだなぁ~。
ちゃんとその時は俺にも紹介してくれよな!」

「あ」

地雷踏み抜いたぞ、この馬鹿。と思ってつい声出ちゃったよ。

「~~ーーー!エディの馬鹿!」

カレンは顔を真っ赤にしてそう言うと、店から飛び出てしまった。

プツンと音がしただろう。

え、え?と戸惑っているその馬鹿の胸倉を掴み上げる。

「おい、何してる。早く追いかけろ、馬鹿が」

「は、はい?」

さらに疑問符を浮かべている馬鹿に鉄拳の一つでもお見舞いしてやろうかと思った時、ゲイルがエディの襟ぐりを掴みポイッと店の外に放り投げてしまった。

「俺の妹泣かせんなよ。ほら、行け」

「…!分かった!ごめん!」

多分、余り分かっていないだろう。
走り出したエディの背中を見て私はまだ鼻息を荒くしている。

すると、頭の上に手が置かれた。

「マリー。カレンの為に怒ってくれてありがとう。
だが、2人の問題だ。だから、泣くな」


遣る瀬無い。
カレンの気持ちを知ってしまった後だ。
ゲイルは私に着ていた上着を頭から被せて泣いている顔を隠してくれた。
「ちょっと待っていろ」と私を店の外に出し、お会計を済ませて戻ってきた。

スマート過ぎる。結局ゲイルに奢らせてしまった。

まだ、涙が止まらない私の手を握り引っ張りながら家路に着く。
右手からゲイルの温もりを感じて、何だかもっと涙が溢れた。
私が泣いたってしょうがない。そう思うのに、左手で拭っても、拭っても悲しくてしょうがなかった。



家に着くと、アレンの横に座らされてしまう。
急に帰って来た私達にアレンは驚いていたが、状況が分からないからか様子見している。

いつかの様にゲイルは甘いホットミルクを私に入れてくれた。


それはやっぱり、幸せの味がする。

しおりを挟む

あなたにおすすめの小説

貴方の杖、直します。ただし、有料です。

椎茸
恋愛
魔法学園を出て、何とか杖修復士の仕事に就けたユミル・アッシャー。 しかし、国最強の魔法使い、レイン・オズモンドの活躍のせいで職場をクビになってしまう。 首都で新たな仕事を見つけられるのか、生まれ故郷である田舎に帰るしかないのか。悩んでいた矢先に、ユミルのもとにレインの杖の修復依頼が舞い込んで来て、ユミルの人生は転機を迎える。

自称ヒロインに「あなたはモブよ!」と言われましたが、私はモブで構いません!!

ゆずこしょう
恋愛
ティアナ・ノヴァ(15)には1人の変わった友人がいる。 ニーナ・ルルー同じ年で小さい頃からわたしの後ろばかり追ってくる、少しめんどくさい赤毛の少女だ。 そしていつも去り際に一言。 「私はヒロインなの!あなたはモブよ!」 ティアナは思う。 別に物語じゃないのだし、モブでいいのではないだろうか… そんな一言を言われるのにも飽きてきたので私は学院生活の3年間ニーナから隠れ切ることに決めた。

噂好きのローレッタ

水谷繭
恋愛
公爵令嬢リディアの婚約者は、レフィオル王国の第一王子アデルバート殿下だ。しかし、彼はリディアに冷たく、最近は小動物のように愛らしい男爵令嬢フィオナのほうばかり気にかけている。 ついには殿下とフィオナがつき合っているのではないかという噂まで耳にしたリディアは、婚約解消を申し出ることに。しかし、アデルバートは全く納得していないようで……。 ※二部以降雰囲気が変わるので、ご注意ください。少し後味悪いかもしれません(主人公はハピエンです) ※小説家になろうにも掲載しています ◆表紙画像はGirly Dropさんからお借りしました (旧題:婚約者は愛らしい男爵令嬢さんのほうがお好きなようなので、婚約解消を申し出てみました)

荒れ狂う勇者を宥めることが出来るのは、見放された聖女だけ。

待鳥園子
恋愛
――あれは、世界を救った勇者の成れの果て―― 魔王を倒すために心と身体の制御を外し、強大な能力を手にした勇者ロミオは世界を救う役目を終えた後、理性を失くし本能のままに振る舞う獣のような状態になっていた。 森の奥深く神殿に隠されるように居た彼が自分の世話をすることを許しているのは、ほんの少しの聖魔法しか使うことが出来ない、序列末席に居た聖女とは名ばかりのミルドレッドだけ。 ミルドレッドは勇者のお世話係を任され、彼の性欲をも自分の仕事として解消させていた。だがロミオは、なぜか最後の一線は越えない。 ある日、いつまで経っても家に戻ってこないミルドレッドに焦れて連れ帰ろうと婚約者が現れ、乱暴に扱われる彼女を見たロミオの蒼い目に光が灯り……。 家族からも愛されずに見放されていた聖女が、理性を失っても尚ただ一人に愛を捧げる勇者に溺愛されて幸せになる話。 ※ドキドキしそうなRシーンには★をつけています。

前世で処刑された聖女、今は黒薬師と呼ばれています

矢野りと
恋愛
旧題:前世で処刑された聖女はひっそりと生きていくと決めました〜今世では黒き薬師と呼ばれています〜 ――『偽聖女を処刑しろっ!』 民衆がそう叫ぶなか、私の目の前で大切な人達の命が奪われていく。必死で神に祈ったけれど奇跡は起きなかった。……聖女ではない私は無力だった。 何がいけなかったのだろうか。ただ困っている人達を救いたい一心だっただけなのに……。 人々の歓声に包まれながら私は処刑された。 そして、私は前世の記憶を持ったまま、親の顔も知らない孤児として生まれ変わった。周囲から見れば恵まれているとは言い難いその境遇に私はほっとした。大切なものを持つことがなによりも怖かったから。 ――持たなければ、失うこともない。 だから森の奥深くでひっそりと暮らしていたのに、ある日二人の騎士が訪ねてきて……。 『黒き薬師と呼ばれている薬師はあなたでしょうか?』 基本はほのぼのですが、シリアスと切なさありのお話です。 ※この作品の設定は架空のものです。 ※一話目だけ残酷な描写がありますので苦手な方はご自衛くださいませ。 ※感想欄のネタバレ配慮はありません(._.)

【R18】らぶえっち短編集

おうぎまちこ(あきたこまち)
恋愛
調べたら残り2作品ありました、本日投稿しますので、お待ちくださいませ(3/31)  R18執筆1年目の時に書いた短編完結作品23本のうち商業作品をのぞく約20作品を短編集としてまとめることにしました。 ※R18に※ ※毎日投稿21時~24時頃、1作品ずつ。 ※R18短編3作品目「追放されし奴隷の聖女は、王位簒奪者に溺愛される」からの投稿になります。 ※処女作「清廉なる巫女は、竜の欲望の贄となる」2作品目「堕ちていく竜の聖女は、年下皇太子に奪われる」は商業化したため、読みたい場合はムーンライトノベルズにどうぞよろしくお願いいたします。 ※これまでに投稿してきた短編は非公開になりますので、どうぞご了承くださいませ。

悪役令嬢の選んだ末路〜嫌われ妻は愛する夫に復讐を果たします〜

ノルジャン
恋愛
モアーナは夫のオセローに嫌われていた。夫には白い結婚を続け、お互いに愛人をつくろうと言われたのだった。それでも彼女はオセローを愛していた。だが自尊心の強いモアーナはやはり結婚生活に耐えられず、愛してくれない夫に復讐を果たす。その復讐とは……? ※残酷な描写あり ⭐︎6話からマリー、9話目からオセロー視点で完結。 ムーンライトノベルズ からの転載です。

ひねくれもののプレイボーイと、十月十日で結ばれるまで

野中にんぎょ
BL
※獣人×獣人のBLです。受けの妊娠・出産表現を含みます。※  獣とヒトのハイブリットである獣人が存在する世界。幼い頃から「自分と血のつながった家族を持つこと」を夢見ていたラル(25歳・雑種のネコの獣人)は獣人街一のプレイボーイであるミメイ(23歳・純血種のロシアンブルーの獣人)から「ミメイに迷惑をかけない」ことを条件に子種を分けてもらうことに成功する。  無事受胎し喜ぶラルだったが今度は妊娠にまつわるマイナートラブルに悩まされるように。つわりで蹲っていたところをミメイに助けられるラルだったが、ミメイは家族というものに嫌気が差していて――。  いじっぱりで少しひねくれた二匹と、ラルのお腹に宿る小さないのち。十月十日ののち、三匹が選ぶ未来とは? 確かにここにある、ありふれた、この世界にたった一つの愛。

処理中です...