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39 ※カレンside

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私にとってゲイルは兄で有り、英雄だった。


小さい頃は良くアレン様も一緒に遊んでくれたわ
私達は家族だと思っているけれど
それでも本人は何処か、壁を作っているようだった


自分は違うから、と
"兄"とは呼ばせて貰えなかったわ
上のお兄様達はどうやって兄上と呼ばせたのかしら
未だに疑問なの



学園に入ってから、自分が闇属性だと判明した
闇属性は決して悪いものでは無い
印象操作や、幻覚、夢見等の精神魔法を得意とする者だ


だが、現実は甘くない

何故か闇属性を持っていると、人から避けられる
それは良かった。
別に誰と一緒に居たいとかも無かったから

侯爵令嬢だからと擦り寄ってくる人は居たけれど親から言われたんでしょうね、とても怯えていたわ


ある日、目覚めると
暗闇だった

そこには【闇】が居た



私は、闇の最高位精霊に見初められてしまったのだ

最高位精霊に会えた事が嬉しくて
契約をしてしまった


それからが、本当に大変だった

【闇】は嫉妬深く、少しでも私に近付く相手を威圧し恐怖を植え付ける

目の前で挨拶をしてくれた"だけ"の学友が幻覚によって阿鼻叫喚になるのだ

段々
学園に行く事も、部屋から出る事さえも出来なくなっていった

お母様さえ弾いてしまう
強力な結界を張られ、【闇】に愛でられ続ける毎日

特に何をされる事も無いが必要最低限の生活しかさせて貰えず、話しも聞いて貰えない

自分にも良く分からない状態だった
朝か夜かも分からない暗闇



一方的な"愛"


【闇】は優しかった
だけど私は受け止めきれず、暴走をさせてしまったのだ


私はただ何も出来ず、蹲っていた
そんな暗闇を1週間耐えた頃だ


パリン…バキバキバキバキッ!!



「カレン!大丈夫か!」





アレン様が結界を壊し、ゲイルとエディが入ってきた

魔導士団に入り、家を出て遠征に行っていたはずのゲイル
私の為に前線が落ち着いた瞬間飛んで来たらしい

【闇】は精霊の中では生まれたての子どものような者だった

闇の精霊は少ない
力が強い為に最高位精霊になったが、まだ精神が成熟していなかった

アレン様にこってり絞られ、この様な事は止めるようにと言われて泣き喚いていた


【闇】とゲイルやアレン様がいる前で話し合った。

契約をしている為、ずっと離れる訳にはいかない

だが今のままではいけないので精霊界で修行を積むように、とアレン様が言ったが暫く駄々を捏ねていたので
その他の精霊が"見えない"事を条件に
私が16歳になってから一緒になる事を約束した

【闇】は私の目に術をかけ
アレン様に連れられて精霊界へと向かって行った

それからゲイルは、私の為に暫く学園へ送り迎えをしてくれた
学園長や、先生陣、生徒にまで闇属性の話しをしてくれて理解を深めて貰い
私が学園に通いやすいようにしてくれたのだ

その頃、既に国で名を轟かせ出していたゲイル
そしてエディも口添えしてくれたお陰で前より通いやすくなったくらいだった

そんな2人に報いたくて
お母様に今まで以上に厳しくして貰い、猛勉強した
13歳になった時、私は魔導士団に最年少で入団する事が出来た


だが
その年に戦争は終わり、ゲイルはミレーヌへ移り住むという


とても良い事だと思った

戦争から、身分から離れて自由になって欲しい

私は寂しいけれど、それはそれ


私に出来ることはゲイルの幸せを願う事




その為だったら、悪魔にでもなるわ

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