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第4章 学園生活
第5話 異世界ハイテク機器
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「では次にそれぞれの説明です。」
大型モニターには手渡されたタブレットとスマホのようなものが映し出されていた。
「これは両方とも情報処理端末です。主に授業で使うのは大きい方の〝ポータブルインフォメーションターミナル〟。通称〝POINT〟と呼ばれるものです。」
ルーズハルトはPOINTを手に取ると、色々と見巡した。
大きさ的にはそこそこあり、おおよそ14インチサイズといったところだろうか。
重さ的には地味にあり、これを常に持ち運ぶには9歳の身体では少し持て余してしまいそうであった。
「起動は自身の魔力を流してください。ではどうぞ。」
ルーズハルトは一瞬躊躇してしまった。
もし仮にここで魔力を暴走させたらと思うと、なかなか手が出せなかった。
そんなルーズハルトを見てしまったという表情を浮かべたハリー。
「おっとすみませんでした。ルーズハルト君は一度こちらへ。」
そう言って手招きをするハリー。
ルーズハルトはそれにしたがって教壇の方へ向かった。
「渡し忘れていましたが、君はこれを常に身につけてください。」
手渡されたのはネックレスであった。
不思議そうにしているルーズハルトに、ハリーが追加で説明をしていく。
「それは魔力制御の補助装置です。リミッターとてもいいましょうか。君がコントロールできるギリギリの出力までしか出せないようにしてくれるものです。いやー学園長の無茶振りにも程がありました。それは私の自信作です。安心して使ってください。」
手渡されたネックレスを見てルーズハルトは安堵の表情を浮かべた。
もしこの魔導具が正常に起動した場合、魔力暴走をしなくて済むからだ。
ルーズハルトはハリーの言葉を疑いもせずに、そのネックレスを身に着けた。
普段のルーズハルトだったら間違いなく疑ってかかったはずだ。
しかし、渡されたPOINTを使ってみたいと思う気持ちが勝ってしまい、そのような行動を取ってしまった。
身に付けた途端体が一気に重くなるのを感じたルーズハルト。
その違和感を不快に感じたのか、ハリーをつい睨み付けてしまった。
その自然に気が付いたハリーは、矢張りといった表情を浮かべていた。
「違和感が出たようですね。君は普段から無意識のうちに身体強化魔法を発動させていたようです。その為まだ慣れていない魔法制御に負荷がかかり暴走をしてしまっていたのです。さあ、もう一度、POINTに魔力を流してご覧なさい。」
ルーズハルトは身体に違和感を残したまま自分の席に戻った。
そして、半信半疑に魔力をPOINTに流し込んでみた。
するとそれは劇的な変化を見せていた。
普段よりも少ない魔力を細かく調整しつつ、流し込めたのだ。
今までは極太の水道の蛇口を閉じるか開くか若しくは半分開く程度にしか制御ができなかった。
しかし今はその隣に新しい小さな蛇口が設置されて、細かな水量の調節が可能になっていたのだ。
ルーズハルトの魔力を感知したPOINTはすぐに起動画面へと切り替わっていく。
その出来事があまりにも嬉しかったのか、ルーズハルトは満面の笑みを浮かべていた。
本人は気がついていなかったが、クラスメートたちの大半がその笑みに目を奪われていた。
エミリアの双子だけあり、中性的美少年の笑顔は、ある意味で凶器でもあったようだ。
「それでは皆さん起動画面は出ましたか?はい、次に移ります……」
こうして無事全員がPOINTを起動させ、個人認証を勧めていく。
はじめの起動させた際の魔力認証用の魔力サーチ。
次に顔認証用のフェイスサーチ。
指紋認証用の指紋登録。
更には網膜認証用に瞳まで登録を行った。
あまりの厳重さにルーズハルト的にはなにかありのでは?と勘ぐってしまった。
クラスメートたちも同様で、あまりの工程の多さに疲れ気味である。
「はい、では全員登録が終わりましたね。では次にもう一つの端末について登録を行います。」
ハリーの言葉にの教室中から不満の声が上がる。
他の教室からも同様にざわついた声が聞こえることから、同様の説明がなされていたことが伺えた。
「ハイハイ静かに。もう一つの端末は〝ミニインフォメーションターミナル〟通称〝MINT〟と呼ばれるものです。こちらは主に連絡手段やちょっとした調べ物、あとは学園内での通行証や学生証、お財布として使用します。これも重要な魔導具ですので、個人登録を行います。」
これはどっからどう見てもスマホであった。
ルーズハルト的には、現代日本で慣れ親しんでいたため仕方がないなど思えたが、クラスメートたちはそうではなかった。
一部貴族籍と思われる生徒は聞き及んていたようで驚いた様子はなかったが、そうでない生徒はMINTをおっかなびっくり触っていた。
「あとは先程のPOINTに連携させれば登録は完了です。」
また同じ作業が待っていると思っていた生徒たちはホッとした様子を見せていた。
9歳の子どもたちに細かな登録作業をさせていたのだから当然といえば当然の結果である。
むしろ、貴族籍でもないのに違和感無くこなしているルーズハルトのほうが普通ではないのであった。
大型モニターには手渡されたタブレットとスマホのようなものが映し出されていた。
「これは両方とも情報処理端末です。主に授業で使うのは大きい方の〝ポータブルインフォメーションターミナル〟。通称〝POINT〟と呼ばれるものです。」
ルーズハルトはPOINTを手に取ると、色々と見巡した。
大きさ的にはそこそこあり、おおよそ14インチサイズといったところだろうか。
重さ的には地味にあり、これを常に持ち運ぶには9歳の身体では少し持て余してしまいそうであった。
「起動は自身の魔力を流してください。ではどうぞ。」
ルーズハルトは一瞬躊躇してしまった。
もし仮にここで魔力を暴走させたらと思うと、なかなか手が出せなかった。
そんなルーズハルトを見てしまったという表情を浮かべたハリー。
「おっとすみませんでした。ルーズハルト君は一度こちらへ。」
そう言って手招きをするハリー。
ルーズハルトはそれにしたがって教壇の方へ向かった。
「渡し忘れていましたが、君はこれを常に身につけてください。」
手渡されたのはネックレスであった。
不思議そうにしているルーズハルトに、ハリーが追加で説明をしていく。
「それは魔力制御の補助装置です。リミッターとてもいいましょうか。君がコントロールできるギリギリの出力までしか出せないようにしてくれるものです。いやー学園長の無茶振りにも程がありました。それは私の自信作です。安心して使ってください。」
手渡されたネックレスを見てルーズハルトは安堵の表情を浮かべた。
もしこの魔導具が正常に起動した場合、魔力暴走をしなくて済むからだ。
ルーズハルトはハリーの言葉を疑いもせずに、そのネックレスを身に着けた。
普段のルーズハルトだったら間違いなく疑ってかかったはずだ。
しかし、渡されたPOINTを使ってみたいと思う気持ちが勝ってしまい、そのような行動を取ってしまった。
身に付けた途端体が一気に重くなるのを感じたルーズハルト。
その違和感を不快に感じたのか、ハリーをつい睨み付けてしまった。
その自然に気が付いたハリーは、矢張りといった表情を浮かべていた。
「違和感が出たようですね。君は普段から無意識のうちに身体強化魔法を発動させていたようです。その為まだ慣れていない魔法制御に負荷がかかり暴走をしてしまっていたのです。さあ、もう一度、POINTに魔力を流してご覧なさい。」
ルーズハルトは身体に違和感を残したまま自分の席に戻った。
そして、半信半疑に魔力をPOINTに流し込んでみた。
するとそれは劇的な変化を見せていた。
普段よりも少ない魔力を細かく調整しつつ、流し込めたのだ。
今までは極太の水道の蛇口を閉じるか開くか若しくは半分開く程度にしか制御ができなかった。
しかし今はその隣に新しい小さな蛇口が設置されて、細かな水量の調節が可能になっていたのだ。
ルーズハルトの魔力を感知したPOINTはすぐに起動画面へと切り替わっていく。
その出来事があまりにも嬉しかったのか、ルーズハルトは満面の笑みを浮かべていた。
本人は気がついていなかったが、クラスメートたちの大半がその笑みに目を奪われていた。
エミリアの双子だけあり、中性的美少年の笑顔は、ある意味で凶器でもあったようだ。
「それでは皆さん起動画面は出ましたか?はい、次に移ります……」
こうして無事全員がPOINTを起動させ、個人認証を勧めていく。
はじめの起動させた際の魔力認証用の魔力サーチ。
次に顔認証用のフェイスサーチ。
指紋認証用の指紋登録。
更には網膜認証用に瞳まで登録を行った。
あまりの厳重さにルーズハルト的にはなにかありのでは?と勘ぐってしまった。
クラスメートたちも同様で、あまりの工程の多さに疲れ気味である。
「はい、では全員登録が終わりましたね。では次にもう一つの端末について登録を行います。」
ハリーの言葉にの教室中から不満の声が上がる。
他の教室からも同様にざわついた声が聞こえることから、同様の説明がなされていたことが伺えた。
「ハイハイ静かに。もう一つの端末は〝ミニインフォメーションターミナル〟通称〝MINT〟と呼ばれるものです。こちらは主に連絡手段やちょっとした調べ物、あとは学園内での通行証や学生証、お財布として使用します。これも重要な魔導具ですので、個人登録を行います。」
これはどっからどう見てもスマホであった。
ルーズハルト的には、現代日本で慣れ親しんでいたため仕方がないなど思えたが、クラスメートたちはそうではなかった。
一部貴族籍と思われる生徒は聞き及んていたようで驚いた様子はなかったが、そうでない生徒はMINTをおっかなびっくり触っていた。
「あとは先程のPOINTに連携させれば登録は完了です。」
また同じ作業が待っていると思っていた生徒たちはホッとした様子を見せていた。
9歳の子どもたちに細かな登録作業をさせていたのだから当然といえば当然の結果である。
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