43 / 97
第4章 学園生活
第1話 やっぱりこうなったか
しおりを挟む
「戻ってきたなここに。」
「だな。」
バイトは正門の前に立ち、横並ぶルーズハルトに声をかける。
ルーズハルトもどこか感慨深げにしていた。
「ほら二人とも歩く歩く。周りの邪魔になってるよ。」
そんな二人の思いなどなんとやら。
全く気にしていないエミリアは、早く入ろうと2人を急かしていた。
エミリアは2人の手を取るとすぐに走り出した。
2人もそれにつられるように校門をくぐり、感慨にふける間もなく学園に足を踏み入れることとなった。
2人は顔を見合わせると不意に笑みがこぼれてしまう。
転生する前の高校生活を思い出させてくれた一幕であった。
「なにか騒がしいね?」
1年生の教室はこの巨大な魔法学園でも奥側にあり、A~Eまでの教室が並んでいた。
手前からAクラスとなっており、バイトとエミリアが通う教室が一番手前であった。
ちなみにルーズハルトは一番奥のEクラスで、この学園で一番遠い教室でもあった。
———閑話休題———
自分たちが通う教室の前には人集りが出来ており、何やら言い争う声……というよりは一方的に罵倒するような内容の声が聞こえてくる。
「どうしたんですか?」
バイトは気になり野次馬の最後尾にいた男子生徒に声をかけた。
「あのお貴族様がEクラスの子を罵ってるんだ。」
「誰も助けないんだね?」
少年の言葉にバイトは、そう答えてしまった。
少年は、バイトの言葉に頭を横に激しく振ってみせた。
「ムリムリムリムリ。ただでさえ俺もCクラスなのに、貴族相手に逆らえないって。」
焦る少年をよそに、バイトはその輪の中へと進んていく。
「やめろって!!お、俺は言ったからな!!」
か細く掠れるくらい小さな声で叫ぶ少年の声などつゆ知らず、バイトはついに先頭までやってきた。
もちろんそれに付き合わされるルーズハルトとエミリアも一緒である。
「どうしたの、こんな場所で。」
バイトはその中心人物に臆することなく声をかけた。
その少年は自分が気持ち良くなっているところに水をさされた気分で、不機嫌さを隠す様子もなかった。
「ん?誰だお前?見ない顔だな?俺が知らないってことは貴族籍の子供ではないな?」
「それがどうしたの?」
自慢げに話をしようとしていた少年は、全く気にした様子もないバイトに、不快感を覚えた。
「まぁいい、俺は今この身の程知らずのEクラスの雑魚に分を弁えるように指導してたんだ。邪魔をするなよ?」
そう言い放つとニヤつきながらも足元で倒れ込んていた少年の腹を蹴り上げる。
その蹴りには微弱ながらも魔法が込められるおり、無防備な少年の腹に容赦無くめり込んでいた。
「やめろ……」
「んぁ?俺に意見する気が平民。それにここには教師はいない。なら、この時間・この場所は俺様が最上位だ。」
少年はこの学園のルールの穴をついた発言をしていた。
たしかにそれは間違いではなかった。
取り締まる者がいなければ、秩序やルールなどゴミクズ同然なのだ。
ただし、それが本当にまかり通るとは限らないが。
貴族籍の少年は、バイトを挑発するようにもう一度足元の少年の腹を蹴り上げる。
少年からはくぐもった声でうめき声が漏れ出る。
そこにはすでに力などなく、ただ肺から漏れ出た空気がそうさせているようだった。
「やめろルー……」
バイトが止めようとしていたのは貴族籍の少年の行動ではなかった。
自身の後ろに控えていたルーズハルトに対しての言葉だった。
だがバイトが言うより早く、ルーズハルトは動き出していた。
ルーズハルトはこの数ヶ月、みっちりとオーフェリアの指導を受けていた。
聖属性魔法の練習を兼ねたエミリアも側にいたためか、その指導は尋常ではなかった。
ルーズハルトがいくら怪我をしようとも、そのはしから全てエミリアが治療してしまうのだ。
つまり、怪我による休みというものは存在しなかった。
その様子を見ていたルーハスは、自身の学生時代を思い出し身震いをしていたとかなんとか。
そのおかげもあり、なんとか身体強化についてはオーフェリアから及第点をもらえるに至っていた。
だがやはり放出系は未だコントロールできず、魔力操作のみに焦点をおいていた。
あの大規模災害をやらかしたルーズハルトが、その魔力総てを身体強化に回す。
その威力は周囲を唖然とさせるものとなった。
次の一撃を入れようとしていた貴族席の少年と横たわる少年の間に割り込んだルーズハルト。
貴族席の少年の蹴りがルーズハルトに直撃する。
「うがっ!!」
その声の主は貴族籍の少年だった。
蹴った足を押さえて地面を転げ回っていた。
エミリアはその少年が転げ回る様を見て、そうなったかとため息をつく。
魔力によって強化されたルーズハルトは、身体能力はもとよりその強度も増していたのだ。
「き、貴様……!!」
涙目になりつつもルーズハルトを睨みている貴族籍の少年。
ルーズハルトの後ろでは何が起こっているのか分からず、ただただキョトンとしている少年の姿があった。
「何事ですか!!」
一触即発といった状況を打開するかのように、女性の声が廊下に響き渡った。
生徒たちはその女性に道を譲るかのように左右に分かれていく。
そして姿を現したのはドミトリスであった。
「またあなたですか……ルーズハルト君……」
「だな。」
バイトは正門の前に立ち、横並ぶルーズハルトに声をかける。
ルーズハルトもどこか感慨深げにしていた。
「ほら二人とも歩く歩く。周りの邪魔になってるよ。」
そんな二人の思いなどなんとやら。
全く気にしていないエミリアは、早く入ろうと2人を急かしていた。
エミリアは2人の手を取るとすぐに走り出した。
2人もそれにつられるように校門をくぐり、感慨にふける間もなく学園に足を踏み入れることとなった。
2人は顔を見合わせると不意に笑みがこぼれてしまう。
転生する前の高校生活を思い出させてくれた一幕であった。
「なにか騒がしいね?」
1年生の教室はこの巨大な魔法学園でも奥側にあり、A~Eまでの教室が並んでいた。
手前からAクラスとなっており、バイトとエミリアが通う教室が一番手前であった。
ちなみにルーズハルトは一番奥のEクラスで、この学園で一番遠い教室でもあった。
———閑話休題———
自分たちが通う教室の前には人集りが出来ており、何やら言い争う声……というよりは一方的に罵倒するような内容の声が聞こえてくる。
「どうしたんですか?」
バイトは気になり野次馬の最後尾にいた男子生徒に声をかけた。
「あのお貴族様がEクラスの子を罵ってるんだ。」
「誰も助けないんだね?」
少年の言葉にバイトは、そう答えてしまった。
少年は、バイトの言葉に頭を横に激しく振ってみせた。
「ムリムリムリムリ。ただでさえ俺もCクラスなのに、貴族相手に逆らえないって。」
焦る少年をよそに、バイトはその輪の中へと進んていく。
「やめろって!!お、俺は言ったからな!!」
か細く掠れるくらい小さな声で叫ぶ少年の声などつゆ知らず、バイトはついに先頭までやってきた。
もちろんそれに付き合わされるルーズハルトとエミリアも一緒である。
「どうしたの、こんな場所で。」
バイトはその中心人物に臆することなく声をかけた。
その少年は自分が気持ち良くなっているところに水をさされた気分で、不機嫌さを隠す様子もなかった。
「ん?誰だお前?見ない顔だな?俺が知らないってことは貴族籍の子供ではないな?」
「それがどうしたの?」
自慢げに話をしようとしていた少年は、全く気にした様子もないバイトに、不快感を覚えた。
「まぁいい、俺は今この身の程知らずのEクラスの雑魚に分を弁えるように指導してたんだ。邪魔をするなよ?」
そう言い放つとニヤつきながらも足元で倒れ込んていた少年の腹を蹴り上げる。
その蹴りには微弱ながらも魔法が込められるおり、無防備な少年の腹に容赦無くめり込んでいた。
「やめろ……」
「んぁ?俺に意見する気が平民。それにここには教師はいない。なら、この時間・この場所は俺様が最上位だ。」
少年はこの学園のルールの穴をついた発言をしていた。
たしかにそれは間違いではなかった。
取り締まる者がいなければ、秩序やルールなどゴミクズ同然なのだ。
ただし、それが本当にまかり通るとは限らないが。
貴族籍の少年は、バイトを挑発するようにもう一度足元の少年の腹を蹴り上げる。
少年からはくぐもった声でうめき声が漏れ出る。
そこにはすでに力などなく、ただ肺から漏れ出た空気がそうさせているようだった。
「やめろルー……」
バイトが止めようとしていたのは貴族籍の少年の行動ではなかった。
自身の後ろに控えていたルーズハルトに対しての言葉だった。
だがバイトが言うより早く、ルーズハルトは動き出していた。
ルーズハルトはこの数ヶ月、みっちりとオーフェリアの指導を受けていた。
聖属性魔法の練習を兼ねたエミリアも側にいたためか、その指導は尋常ではなかった。
ルーズハルトがいくら怪我をしようとも、そのはしから全てエミリアが治療してしまうのだ。
つまり、怪我による休みというものは存在しなかった。
その様子を見ていたルーハスは、自身の学生時代を思い出し身震いをしていたとかなんとか。
そのおかげもあり、なんとか身体強化についてはオーフェリアから及第点をもらえるに至っていた。
だがやはり放出系は未だコントロールできず、魔力操作のみに焦点をおいていた。
あの大規模災害をやらかしたルーズハルトが、その魔力総てを身体強化に回す。
その威力は周囲を唖然とさせるものとなった。
次の一撃を入れようとしていた貴族席の少年と横たわる少年の間に割り込んだルーズハルト。
貴族席の少年の蹴りがルーズハルトに直撃する。
「うがっ!!」
その声の主は貴族籍の少年だった。
蹴った足を押さえて地面を転げ回っていた。
エミリアはその少年が転げ回る様を見て、そうなったかとため息をつく。
魔力によって強化されたルーズハルトは、身体能力はもとよりその強度も増していたのだ。
「き、貴様……!!」
涙目になりつつもルーズハルトを睨みている貴族籍の少年。
ルーズハルトの後ろでは何が起こっているのか分からず、ただただキョトンとしている少年の姿があった。
「何事ですか!!」
一触即発といった状況を打開するかのように、女性の声が廊下に響き渡った。
生徒たちはその女性に道を譲るかのように左右に分かれていく。
そして姿を現したのはドミトリスであった。
「またあなたですか……ルーズハルト君……」
26
お気に入りに追加
312
あなたにおすすめの小説
【完結】前代未聞の婚約破棄~なぜあなたが言うの?~【長編】
暖夢 由
恋愛
「サリー・ナシェルカ伯爵令嬢、あなたの婚約は破棄いたします!」
高らかに宣言された婚約破棄の言葉。
ドルマン侯爵主催のガーデンパーティーの庭にその声は響き渡った。
でもその婚約破棄、どうしてあなたが言うのですか?
*********
以前投稿した小説を長編版にリメイクして投稿しております。
内容も少し変わっておりますので、お楽し頂ければ嬉しいです。
花は枯れ、新たに芽吹く
坂餅
青春
高校三年生、二学期。任期を終え、生徒会長から元生徒会長となった陽菜。
そんな陽菜にいつも絡みにいく鏡花。
放課後の生徒会役員室で陽菜に迫る。
「あたし……会長のことが好き」
「えぇ……」
〔仮〕悪役令嬢は婚約破棄で自由を謳歌する
ブラックベリィ
恋愛
誤字脱字や、文章のおかしいところなども有ると思いますが、リハビリ兼ねて制約無しのご都合主義で万進します。
勿論、主人公も唯我独尊で行こうと思っています。
すみません、まだ精神が脆弱な状態の為、感想は閉めてあります。
お飾り王妃の受難〜陛下からの溺愛?!ちょっと意味がわからないのですが〜
湊未来
恋愛
王に見捨てられた王妃。それが、貴族社会の認識だった。
二脚並べられた玉座に座る王と王妃は、微笑み合う事も、会話を交わす事もなければ、目を合わす事すらしない。そんな二人の様子に王妃ティアナは、いつしか『お飾り王妃』と呼ばれるようになっていた。
そんな中、暗躍する貴族達。彼らの行動は徐々にエスカレートして行き、王妃が参加する夜会であろうとお構いなしに娘を王に、けしかける。
王の周りに沢山の美しい蝶が群がる様子を見つめ、ティアナは考えていた。
『よっしゃ‼︎ お飾り王妃なら、何したって良いわよね。だって、私の存在は空気みたいなものだから………』
1年後……
王宮で働く侍女達の間で囁かれるある噂。
『王妃の間には恋のキューピッドがいる』
王妃付き侍女の間に届けられる大量の手紙を前に侍女頭は頭を抱えていた。
「ティアナ様!この手紙の山どうするんですか⁈ 流石に、さばききれませんよ‼︎」
「まぁまぁ。そんなに怒らないの。皆様、色々とお悩みがあるようだし、昔も今も恋愛事は有益な情報を得る糧よ。あと、ここでは王妃ティアナではなく新人侍女ティナでしょ」
……あら?
この筆跡、陛下のものではなくって?
まさかね……
一通の手紙から始まる恋物語。いや、違う……
お飾り王妃による無自覚プチざまぁが始まる。
愛しい王妃を前にすると無口になってしまう王と、お飾り王妃と勘違いしたティアナのすれ違いラブコメディ&ミステリー
アメリア&花子〜婚約破棄された公爵令嬢は都市伝説をハントする〜
荒瀬ヤヒロ
ファンタジー
昭和は遠くなりにけり。
令和の若者達によってスマホで姿を盗撮され出没場所を特定されSNSに誹謗中傷を書き込まれた都市伝説の主達。
心を折られた彼らは現代日本に見切りをつけ、スマホの普及していない異世界に引っ越した!
しかし、日本のトイレこそ至上!と思っているトイレの花子さんは引っ越しに不満で、日本に帰りたい。
そんな花子さんは無実の罪を着せられて王太子に婚約破棄され、トイレで泣いていた公爵令嬢アメリアと出会う。
「もう別の世界に行ってしまいたい」というアメリアのつぶやきを聞いた花子は、アメリアに取引を持ちかけた。
都市伝説を狩り集めて、日本に送り返す手伝いをしてほしい。うまくいけば、一緒に日本に連れて行って上げる。
もう、この世界に居場所はない。ならば、これまで国に捧げると思っていた身を、自分を頼ってくれた花子のために、都市伝説狩りに捧げよう。
そう決意したアメリアは、花子と共に狩りにでる。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる