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新たな町へ
680話 お話し合い 3
しおりを挟むそもそも、何であんな貴族と知り合いになったんだっけか?
……ああ思い出した。
馬鹿とのトラブルが原因だった。
で、ギルマスを絡めたんだっけ。
それで…………ああ思い出したくなかった。
「あんまり良い話では無いから、話したくない。取り敢えず俺は、被害者だよ。ガイン」
そこに触れるな。
「オッホン!それで、これからどうするのか、と言う話しでしたよね?」
「そうそう、ケイルス君。その通りです。皆はこの町から出たくない?」
「あ、あの~俺は困ります」
「あたしも困るんだよねぇ~」
と、言って来たのはやっぱりベントンとケイトだった。
でも、俺は詳しくは訊いてないので、惚けて何故なのか話しを訊いてみる。
「どうして? 暮らししづらくなって来てるのに」
「そ、それはその……」
「もう、言っちゃいなよ。ベントン」
隣に座るケイトが、ベントンを小突いてる。ああ、それでその並びに座ってるのか。やっと分かったわ。
「そ、そうか? でも……」
「はぁ~ベントン、良いから言ってみ?」
「そ、その…………」
「焦れったいんだけど」
あのね、時間は有限だぞ!早くしろ。
「それなら、うん。あの、ケイトさんと、その、結婚したいと思ってまして。で、家族にも合わせたいんですが」
「…………それはおめでとう。ちょっと待ってな、ニングスと相談したい」
「へ、私ですか?」
「そうそう、少しこっち来て」
俺はニングスと廊下に出て、こそこそと話す。
「ニングス、ベントン達の事は知ってたのか?」
「ま、まあ、屋敷の者は全員知ってた感じですかね。なにせ、馬の世話や畑の作業を、ほぼ一緒にしてましたから」
「へぇ~。マイナも一緒にしてなかったか?」
「ですから、その、マイナが居なくなる時間も有った訳ですから……」
と、良い淀むニングス。
あっ、そっか、そっか、そう言う事ですか。
はい、分かりました。
「分かった、ニングス、もう言わなくて良いよ。逆に悪かった。それに思い出したよ、前にもチラッと訊いてたわ。でもあのケイトととねぇ。ベントン勇気あるな」
結構口悪いし、態度も大きいよね彼女。家事も壊滅的に出来ないと訊いてるし。
この屋敷だから、暮らせてる気がするぞ気弱なベントンとね。でも外で一緒に居て、食べて行けるのかな?
この世界、中甘くないもんな。
うん、チャレンジャーだ。
おめでとう。
「ハハ、それは私も思います。使用人達全員、そう思ってるのではないですかね。(俺は成人したばかりの、子供と話してるんだよな?なんか青年期を過ぎた、成人男性と話してないよな? なんか錯角してる気がする)」
「でも、そうだったのかぁ~。二人の事を良く知らないのは、俺だけか」
なんかしょぼんだ。
しょんぼりしたらニングスに慰められた。
「ま、まあ、旦那様はあちこち行かれていましたし、屋敷を空ける事が多かったですから、ほら……」
「はぁ~まあ、それはいいけど。どうすんだ? ケイトは元々奴隷だったろ?ベントンは納得してるのかな?」
「そこなのですよ、ベントンは気にしてないようですが、私を始め奴隷だった者は、旦那様に借金がありますから」
ん、借金?
《ニングス達、奴隷を買い上げた時の料金ですよ!》
『ああ、一人づつ金額が違ってたよね。あの値段ね。ってあれ?』
《元々はもう少し安値で買い上げて、上乗せした金額でしょうけれど》
『そっか、じゃ値段分かんないじゃんね、纏めて払っちゃったし』
《そうとも言いますが》
「あのさ、ニングス達はもう、奴隷じゃないし。「俺に借金してる」、なんて考えなくて良いぞ。そもそもここで働いてるんだし」
「それでも、我々は」
「まあまあ、その話しはもうよそうよ。給金が発生してる状態なんだし。そこから少しずつ返済してるって考えててよ」
「毎月、金貨数枚を貰ってるのにですか?」
「気持ち、そこから貰ってるよ」
嘘だけど。
つか、論点ずれてたし。
それから本題の話し合いは?
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