上 下
737 / 761
新たな町へ

672話 知らない情報

しおりを挟む


 出した魔物を仕舞って、俺はギルマスと、ヤザンさんに連行される。
着いた先が執務室だ。
 そしてヤザンさんさんと一緒にソファーに座ったけど……。
 何で、ヤザンさん俺の腕をガッチリ掴んで離さない?
 もう座ったんだから離そうよ。
 腕が痛いし!

「さて、お前さん」

「あの、さっきからお前としか俺呼ばれて無いんですが。もしかして、ギルマスさん達は俺の名前ちゃんと覚え無いのか?」

「……ハハ、変な所に拘るなお前」

「だから、お前呼びは止めて貰えますか?」

「……済まんな、微かには覚えてるんだが~、言い間違っても悪いかと思ってな」

「なんだギルマス、この兄ちゃんの名を覚えていのか? お前さん耄碌したな。ハハハ」

「煩せぇ!黙ってろヤザン。さて、お前さんの名前は…確か………………………」

「間が長いですよ、ギルマスさん。俺の名前は彰彦ですよ。全く早く帰るつもりなのに」

「そ、そうだった!彰彦だったな。で、彰彦君お前さん、あの魔物の数はなんだ?」

「なんだと言われても、あちこち旅をして狩った物だとしか」

「ハハ、すげぇなぁ~兄ちゃん。あんなに魔物を持っててよ」

「まあ、数だけはあるんですけどね」

肩掛けている、アイテム鞄をパンパンと叩いて見せた。

「はぁそうかよ旅でな。で、あの魔物全部売りもんにしたいのか?」

 お、お怒りではなかったのかな?
 良かった~、今回も説教コースまっしぐらかと、ヒヤヒヤしたよ。

「だから出したのですがね」

「そ、そうか。だがなぁ~、あの数はちとこっちも厳しいぞ?」

「だな、熊は無理だろ。一体くらいなら行けるのか?」

「おいヤザン、ギルドを潰す気か?」

 おやおや、そんなにお高くなるのかな。熊さんは。
 これは他の町に持ち込むのは有りか!
 良い事訊いた。るん♪

 なんて思て、二人の会話を訊いてたらヤザンさんは渋い顔をして、ギルマスに謝った。

「済まねぇなぁ~」

 この人、なんだかんだ言ってギルマスにつかかるのは、ギルマスと仲が良いからなんだな。

「では、熊は要らないと?」

「ああ、オークやオーガ。それに、ゴブリンとそれから…コボルトあとはなんだっか?」

「レッドウルフ、サラマンダー。あ、それとボアだな」

「そうそれだ!それなら買い取る」

「その他は買い取れないと?」

「ああ、無理だな。それと数は全部十匹ずつだ」

「分かりました。では、それで買い取って下さい。あっ、それと回復薬を要りませんか?」

 エンバルの冒険者ギルドも商業ギルドも欲しがってたし。
 ここでも欲しがるかな?

「な、なにぃーーー回復薬だと!」

「ええ、初級と中級、それから数は少なめですが高級もあります」

 何せ手作りだ、いくらでもある。

「そ、そんな。お前さん何者んだ?」

「別に、普通の冒険者ですよ?」

「此方の疑問を、疑問系で答えるな!」

「ええ、普通なのに。怒られる筋合いはないですよ」

「まあ、良い。回復薬は助かるんだ、何せ錬金術ギルドが閉鎖しちまって、何処の町でも品薄なんだ」

「それって、各国のギルドが閉鎖してるのですか?」

「そうだ。何せ、王都………アイストリア国の王都にあるのが、錬金術ギルド総本部だからな。そこから各国へギルド支部を配置してるんだ。だがなぁ~本部のギルド…特にギルドマスターが暗躍したらしく、アイストリア国王に何やら悪さしたらしい。詳しくは伝わって居ないが、いきなり各国の錬金術ギルドが閉鎖と決まってしまって、此方としては大騒ぎなんだよ」

「そうなんですね。でも、錬金術師とかはどうしてるんですか?」

「それが………分からんのだよ」

「そう、だから薬が減るのは痛いんだよ」

「だけど、それって世界中の人間が困るんじゃ無いのか? 錬金術師を確保出来ないのか?」

「出来んよ」

「へっ?どうして、錬金術師って各支部に配置されてるんじゃないの?」

「それが違うんだよ」

 つか、知らん情報満載!


しおりを挟む
感想 122

あなたにおすすめの小説

『収納』は異世界最強です 正直すまんかったと思ってる

農民ヤズ―
ファンタジー
「ようこそおいでくださいました。勇者さま」 そんな言葉から始まった異世界召喚。 呼び出された他の勇者は複数の<スキル>を持っているはずなのに俺は収納スキル一つだけ!? そんなふざけた事になったうえ俺たちを呼び出した国はなんだか色々とヤバそう! このままじゃ俺は殺されてしまう。そうなる前にこの国から逃げ出さないといけない。 勇者なら全員が使える収納スキルのみしか使うことのできない勇者の出来損ないと呼ばれた男が収納スキルで無双して世界を旅する物語(予定 私のメンタルは金魚掬いのポイと同じ脆さなので感想を送っていただける際は語調が強くないと嬉しく思います。 ただそれでも初心者故、度々間違えることがあるとは思いますので感想にて教えていただけるとありがたいです。 他にも今後の進展や投稿済みの箇所でこうしたほうがいいと思われた方がいらっしゃったら感想にて待ってます。 なお、書籍化に伴い内容の齟齬がありますがご了承ください。

あなたは異世界に行ったら何をします?~良いことしてポイント稼いで気ままに生きていこう~

深楽朱夜
ファンタジー
13人の神がいる異世界《アタラクシア》にこの世界を治癒する為の魔術、異界人召喚によって呼ばれた主人公 じゃ、この世界を治せばいいの?そうじゃない、この魔法そのものが治療なので後は好きに生きていって下さい …この世界でも生きていける術は用意している 責任はとります、《アタラクシア》に来てくれてありがとう という訳で異世界暮らし始めちゃいます? ※誤字 脱字 矛盾 作者承知の上です 寛容な心で読んで頂けると幸いです ※表紙イラストはAIイラスト自動作成で作っています

地上最強ヤンキーの転生先は底辺魔力の下級貴族だった件

フランジュ
ファンタジー
地区最強のヤンキー・北条慎吾は死後、不思議な力で転生する。 だが転生先は底辺魔力の下級貴族だった!? 体も弱く、魔力も低いアルフィス・ハートルとして生まれ変わった北条慎吾は気合と根性で魔力差をひっくり返し、この世界で最強と言われる"火の王"に挑むため成長を遂げていく。

辺境領主は大貴族に成り上がる! チート知識でのびのび領地経営します

潮ノ海月@書籍発売中
ファンタジー
旧題:転生貴族の領地経営~チート知識を活用して、辺境領主は成り上がる! トールデント帝国と国境を接していたフレンハイム子爵領の領主バルトハイドは、突如、侵攻を開始した帝国軍から領地を守るためにルッセン砦で迎撃に向かうが、守り切れず戦死してしまう。 領主バルトハイドが戦争で死亡した事で、唯一の後継者であったアクスが跡目を継ぐことになってしまう。 アクスの前世は日本人であり、争いごとが極端に苦手であったが、領民を守るために立ち上がることを決意する。 だが、兵士の証言からしてラッセル砦を陥落させた帝国軍の数は10倍以上であることが明らかになってしまう 完全に手詰まりの中で、アクスは日本人として暮らしてきた知識を活用し、さらには領都から避難してきた獣人や亜人を仲間に引き入れ秘策を練る。 果たしてアクスは帝国軍に勝利できるのか!? これは転生貴族アクスが領地経営に奮闘し、大貴族へ成りあがる物語。

どこかで見たような異世界物語

PIAS
ファンタジー
現代日本で暮らす特に共通点を持たない者達が、突如として異世界「ティルリンティ」へと飛ばされてしまう。 飛ばされた先はダンジョン内と思しき部屋の一室。 互いの思惑も分からぬまま協力体制を取ることになった彼らは、一先ずダンジョンからの脱出を目指す。 これは、右も左も分からない異世界に飛ばされ「異邦人」となってしまった彼らの織り成す物語。

集団転移した商社マン ネットスキルでスローライフしたいです!

七転び早起き
ファンタジー
「望む3つのスキルを付与してあげる」 その天使の言葉は善意からなのか? 異世界に転移する人達は何を選び、何を求めるのか? そして主人公が○○○が欲しくて望んだスキルの1つがネットスキル。 ただし、その扱いが難しいものだった。 転移者の仲間達、そして新たに出会った仲間達と異世界を駆け巡る物語です。 基本は面白くですが、シリアスも顔を覗かせます。猫ミミ、孤児院、幼女など定番物が登場します。 ○○○「これは私とのラブストーリーなの!」 主人公「いや、それは違うな」

成り上がり覚醒者は断れない〜魔王から得た力で自分を虐げてきた人類を救っていく〜

酒井 曳野
ファンタジー
 ここはモンスターが湧き出る『ダンジョン』という試練、それらを攻略する『覚醒者』という武器、モンスターとダンジョンから採取できる『魔法石』による恩恵で成り立つ世界。  主人公レイン・エタニアは覚醒者でありながらランクが最も低いFランクの中でも最底辺だった。家族を守る為に活動したが、周りから見向きもされず虐げられ苦しい毎日を過ごした挙句に騙され死の淵を彷徨う事となる。  しかし死の先で出会ったかつての大戦で生き残った魔王に才能を認められ徹底的に鍛えられた。  人類には到達不可能な領域に達したレインはこれまで虐げてきた者たちに復讐をーーとはならず慕う者には慈悲を、敵には容赦しない元来の性格(無自覚)が影響して助けを求める声に手を差し伸べる。  それはやがて世界を巻き込む大いなる災いの最前線へと向かっていく。  これは魔王に認められ力を得た覚醒者が人類を助ける救世主となる物語。  

能力値カンストで異世界転生したので…のんびり生きちゃダメですか?

火産霊神
ファンタジー
私の異世界転生、思ってたのとちょっと違う…? 24歳OLの立花由芽は、ある日異世界転生し「ユメ」という名前の16歳の魔女として生きることに。その世界は魔王の脅威に怯え…ているわけでもなく、レベルアップは…能力値がカンストしているのでする必要もなく、能力を持て余した彼女はスローライフをおくることに。そう決めた矢先から何やらイベントが発生し…!?

処理中です...