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新たな町へ
573話 初めて見るオークション。
しおりを挟むそうして始まったオークション……。
指定席に案内して貰い座って会場を見渡す。
「旦那様……凄い場所ですね?」
「俺も初めて来た!すげえ」
「まあ、気持ちはわかるが、大人しくしててくれよ?」
「了解です」
「うっす!」
そして、他の出品物を見ながら目を白黒させてると遂にマジョルドバイパーが壇上に上げられた。流石にでかくて乗りきらないのでは?と思ったら、既に解体した状態で運ばれて来た。
そうしてバイヤーからの掛け声でパーツ毎の競売が始まった。
どれも最初のスタート額が…まさかの金貨100枚からだった…。
そんなに欲しいか?あの不気味な生き物のパーツを?
目玉に内臓、矢鱈たと長い髭に皮に魔石……と、どれも高額で落札されて行くのを眺めた。
マジョルのパーツを競り落としたのは、商人や貴族の方々で…良くもまあ、あんな物に金が出せるものだ。
出された物が高額で取引されるのを呆気にとられ眺める。
すべてのマジョルのパーツが売れ、次の品が出品されるタイミングで、オークション会場を抜け出してノルンさんが居る裏手に回りノルンさんを探す。
「あ!あそこに居ましたよ!」
「本当だ!ノルンさん!お疲れさまでした」
「おう!お疲れさん、見事に売れたな?前回より額が多いぞ!ほれ!」
と袋に入った金を渡される。
「えっと全部ていくらになった?」
「白金貨400枚と、大金貨200枚に金貨が500枚だな。さて帰るぞ!」
うっ!そんなにか。
なら、ノルンさんには……金貨400枚かな?口利き手数料やら、解体作業代やらで。
馬車に乗り込みノルンさんに声を掛ける。
「ノルンさん、少ないですけど今日の分け前です」
ノルンさんに巾着を手渡す。
「お、おい!これは貰い過ぎだ!」
「良いから良いから、貰って下さい!そしてまた、なにかあったら宜しくお願いします」
「ったくよ!分かった、それなら報酬として貰っおくぜ。まっく、アキを怒らせるなんてギルマスもバカだよな?さて、帰ろうぜ?アキ」
「はい!馬車に乗りますか?」
「おう、途中までのせてくれよ」
そうして4人で屋敷に帰る途中ノルンを馬車から降ろし、三人で屋敷に戻った。
御者はカシューで、馬車の中にはカナルと二人で屋敷に戻った。
「旦那様、また金持ちに為りましたね?」
「ん? そうか?」
「そうですよ、そんなに稼いでどうするですか?」
「……まあ、色々とね?それにカナルたちが居るんだから、稼がないとな!」
「俺らのせいですか?」
「所為とかじゃないぞ!俺の責任だ!」
「ふぅ~ん。そりゃ~頼もしい。では期待してます」
「突っかかるね、なに? カナル文句でも?」
「いえ? 別に、敵わないと思いましてね」
「……? それは…」
「すみません。俺はなんの役にも立ってなくて」
「え?役にって……。俺はカナルが屋敷に居てくれないと困るんだけど。カナル達が居てくれないと、俺が好きに動けないだろ? 頼りにしてるよ俺はさっ、明日からまた俺は出かけるから」
「はあ? 出かけるって……また何処に?」
「気儘に一人であちこち?」
「何で疑問系なんですか!それにブルーはどうすんですか? あいつ旦那様にしか懐いてないですよ?」
「あっ!忘れてた。てへ♡」
「てへ!とかじゃなくて……」
「まぁまぁ、そう怒るなよ。あとで、ブルーと話すし」
「まあ、それなら……」
と話をしていると馬車が止まり、門が開いて屋敷の中に入った様だ。
「カナル、俺の旅の事はさ、後でみんなの前で話すからそれまで黙っててな?」
「…了解です!」
馬車が止まり扉が開くと、先にカナルが先に降りて次に俺が降りた。屋敷からベントンが慌てて近付いて来ると、挨拶もそこそこにして馬達を厩舎に連れて行った。
ベントン、馬が可愛いのはわかるが…俺が主だぞ?その辺分かってるかな?
まぁ……良いけどな。
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