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新たな町へ

閑話 ニングスside 2

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 夜営場所で食事の用意をし、支度が終わると火を消して馬車に戻って食事をする。
 一人の食事も段々慣れましたね。
 最初は屋敷でワイワイ騒ぎながらの食事をするのが無いと寂しくもあったのですが…。
 とぼそりと独り言を謂う。

 そして、馬車の中の空間を広げ風呂に入りゆっくりすると風呂から出てベッドに潜り眠りにつく。

 勿論、結界には人が近付くと気付く警戒音が鳴る仕組みになっているらしいです。
 さすが旦那様です。




見知らぬ冒険者side


「お、おい!あのおっさん!なんか食いもん作ってねぇ?」

 三人の男達が夜営場所に着くと、その中の一人の男が先に居たニングスをおっさんと云い、ニングスの手元を見て食べ物らしき物を作っているのが分かると、そんなことをほざいた。

「おい、止めろよ。いくらこっちが食えるもん無くても、じっと見てんじゃねぇよ。女々しい奴だと思われるだろう!恥ずかしい」

「だってよ!俺らこれ食っちまったら、明日から飯抜きだぜ?」

 手に取り出したのは乾いた干し肉の一欠片だ。

「んなもん、明日角兎でも捕まえれば!」

 今晩くらいは我慢出来る!と一人の男が言う。

「ええ、森に入んの?」

 ニングスをおっさんと言った男が不満を漏らす。

「当たり前だろ!それに、明日から依頼で受けた森に入るんだからな!」

「でもよぉー俺、腹減った! あっ!俺あっちのおっさんに、食いもん分けて貰えるか聞いてくる!」

「「おい、」止めろよ!みっともない」

 と、この冒険者達は一人を覗いて後の二人は行儀の良い方の冒険者だったらしい。

 そうして、ブッカという男がニングスに話仕掛けるが、ニングスは相手にせずだった。
 ブッカというと、仲間のミッドに引きずられ元の場所に戻ったブッカは、残っていたナンバルに怒鳴られ頭に拳骨を落とされた。

「いってぇ!なにすんだよ!」

「みっともない事すんなよ!」

「ええ、だってよぉ~旨そうな飯!持ってそうだったぜ?良い匂いさせてたし」

「人が皆良い奴で、好意を持って物を分けてくれるなんて考えるなよ!世の中、善い奴なんて一握りだぜ?」

「そうだ!見た目が小綺麗だったから、金持ちなんだろよ。金持ちが俺らみたいな冒険者に、なにかを分けて寄越すなんてしねぇんだよ」

「そうだぞ、そもそもあいつがもし貴族だったら、俺ら酷い目にあってるかもしれねぇんだぜ?気を付けろよ」

「でもよぉ~ミッド…」

「もういいそんなのほっとけ!おい、ミッド火を起こせ!んでブッカは、鍋置いて湯を沸かせよ!」

「はいよ!」

「わかった…でも気になる…」

「ブッカ!」

「わ、わかったよ」

 そうして、三人で焚き火を囲み最後の干し肉を齧り白湯をすする。

 だがどうしても気になるのは、隣のおっさんの事だ。ブッカは特に興味が有るようで、チラチラと覗き見をしている。

「あっ!」

「なんだよ!ビックリした大声だすなや!」

「だってよ、あのおっさん!火を消して馬車に入っちまったぜ?」

「はあ?見張りしないのか?」

「……何か、気味が悪いな」

「だな……俺らも寝床作って寝ちまうか。おい!プッカ、お前が先に見張りだ」

「ええ、俺かよ…しかもおっさんは見張りもせずに馬車の中って……図々しい」

「良いんだよ!魔物でも来たらあっちは置いてけば」

「そ、そうか!あっちを、囮にすんのか?」

「そうだよ、見張りもせずに場を離れたんだ。何があっても自業自得だろ?俺らは知らん」

「……よく、分からねぇがそうか!なら気楽に見張ってるぜ!」

「「おう、任せた」」

 それから……三人で夜の火の番をして夜があける。
 最後の番をしていたミッドが、明け方うとうとしているとブッカがおっさんと言っていた男の馬車が動き、夜営場所から去っていった。

「………お早い出立だな……」

 とポツリとミッドが呟いた。

 テントから起き出したブッカは、おっさんが居なかった事に驚いて騒いだがブッカたち三人もその場を離れ、依頼の仕事をするために森に入って行った。
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