629 / 761
新たな町へ
閑話 ニングスside 2
しおりを挟む夜営場所で食事の用意をし、支度が終わると火を消して馬車に戻って食事をする。
一人の食事も段々慣れましたね。
最初は屋敷でワイワイ騒ぎながらの食事をするのが無いと寂しくもあったのですが…。
とぼそりと独り言を謂う。
そして、馬車の中の空間を広げ風呂に入りゆっくりすると風呂から出てベッドに潜り眠りにつく。
勿論、結界には人が近付くと気付く警戒音が鳴る仕組みになっているらしいです。
さすが旦那様です。
◆
見知らぬ冒険者side
「お、おい!あのおっさん!なんか食いもん作ってねぇ?」
三人の男達が夜営場所に着くと、その中の一人の男が先に居たニングスをおっさんと云い、ニングスの手元を見て食べ物らしき物を作っているのが分かると、そんなことをほざいた。
「おい、止めろよ。いくらこっちが食えるもん無くても、じっと見てんじゃねぇよ。女々しい奴だと思われるだろう!恥ずかしい」
「だってよ!俺らこれ食っちまったら、明日から飯抜きだぜ?」
手に取り出したのは乾いた干し肉の一欠片だ。
「んなもん、明日角兎でも捕まえれば!」
今晩くらいは我慢出来る!と一人の男が言う。
「ええ、森に入んの?」
ニングスをおっさんと言った男が不満を漏らす。
「当たり前だろ!それに、明日から依頼で受けた森に入るんだからな!」
「でもよぉー俺、腹減った! あっ!俺あっちのおっさんに、食いもん分けて貰えるか聞いてくる!」
「「おい、」止めろよ!みっともない」
と、この冒険者達は一人を覗いて後の二人は行儀の良い方の冒険者だったらしい。
そうして、ブッカという男がニングスに話仕掛けるが、ニングスは相手にせずだった。
ブッカというと、仲間のミッドに引きずられ元の場所に戻ったブッカは、残っていたナンバルに怒鳴られ頭に拳骨を落とされた。
「いってぇ!なにすんだよ!」
「みっともない事すんなよ!」
「ええ、だってよぉ~旨そうな飯!持ってそうだったぜ?良い匂いさせてたし」
「人が皆良い奴で、好意を持って物を分けてくれるなんて考えるなよ!世の中、善い奴なんて一握りだぜ?」
「そうだ!見た目が小綺麗だったから、金持ちなんだろよ。金持ちが俺らみたいな冒険者に、なにかを分けて寄越すなんてしねぇんだよ」
「そうだぞ、そもそもあいつがもし貴族だったら、俺ら酷い目にあってるかもしれねぇんだぜ?気を付けろよ」
「でもよぉ~ミッド…」
「もういいそんなのほっとけ!おい、ミッド火を起こせ!んでブッカは、鍋置いて湯を沸かせよ!」
「はいよ!」
「わかった…でも気になる…」
「ブッカ!」
「わ、わかったよ」
そうして、三人で焚き火を囲み最後の干し肉を齧り白湯をすする。
だがどうしても気になるのは、隣のおっさんの事だ。ブッカは特に興味が有るようで、チラチラと覗き見をしている。
「あっ!」
「なんだよ!ビックリした大声だすなや!」
「だってよ、あのおっさん!火を消して馬車に入っちまったぜ?」
「はあ?見張りしないのか?」
「……何か、気味が悪いな」
「だな……俺らも寝床作って寝ちまうか。おい!プッカ、お前が先に見張りだ」
「ええ、俺かよ…しかもおっさんは見張りもせずに馬車の中って……図々しい」
「良いんだよ!魔物でも来たらあっちは置いてけば」
「そ、そうか!あっちを、囮にすんのか?」
「そうだよ、見張りもせずに場を離れたんだ。何があっても自業自得だろ?俺らは知らん」
「……よく、分からねぇがそうか!なら気楽に見張ってるぜ!」
「「おう、任せた」」
それから……三人で夜の火の番をして夜があける。
最後の番をしていたミッドが、明け方うとうとしているとブッカがおっさんと言っていた男の馬車が動き、夜営場所から去っていった。
「………お早い出立だな……」
とポツリとミッドが呟いた。
テントから起き出したブッカは、おっさんが居なかった事に驚いて騒いだがブッカたち三人もその場を離れ、依頼の仕事をするために森に入って行った。
25
お気に入りに追加
1,306
あなたにおすすめの小説
『収納』は異世界最強です 正直すまんかったと思ってる
農民ヤズ―
ファンタジー
「ようこそおいでくださいました。勇者さま」
そんな言葉から始まった異世界召喚。
呼び出された他の勇者は複数の<スキル>を持っているはずなのに俺は収納スキル一つだけ!?
そんなふざけた事になったうえ俺たちを呼び出した国はなんだか色々とヤバそう!
このままじゃ俺は殺されてしまう。そうなる前にこの国から逃げ出さないといけない。
勇者なら全員が使える収納スキルのみしか使うことのできない勇者の出来損ないと呼ばれた男が収納スキルで無双して世界を旅する物語(予定
私のメンタルは金魚掬いのポイと同じ脆さなので感想を送っていただける際は語調が強くないと嬉しく思います。
ただそれでも初心者故、度々間違えることがあるとは思いますので感想にて教えていただけるとありがたいです。
他にも今後の進展や投稿済みの箇所でこうしたほうがいいと思われた方がいらっしゃったら感想にて待ってます。
なお、書籍化に伴い内容の齟齬がありますがご了承ください。
あなたは異世界に行ったら何をします?~良いことしてポイント稼いで気ままに生きていこう~
深楽朱夜
ファンタジー
13人の神がいる異世界《アタラクシア》にこの世界を治癒する為の魔術、異界人召喚によって呼ばれた主人公
じゃ、この世界を治せばいいの?そうじゃない、この魔法そのものが治療なので後は好きに生きていって下さい
…この世界でも生きていける術は用意している
責任はとります、《アタラクシア》に来てくれてありがとう
という訳で異世界暮らし始めちゃいます?
※誤字 脱字 矛盾 作者承知の上です 寛容な心で読んで頂けると幸いです
※表紙イラストはAIイラスト自動作成で作っています
地上最強ヤンキーの転生先は底辺魔力の下級貴族だった件
フランジュ
ファンタジー
地区最強のヤンキー・北条慎吾は死後、不思議な力で転生する。
だが転生先は底辺魔力の下級貴族だった!?
体も弱く、魔力も低いアルフィス・ハートルとして生まれ変わった北条慎吾は気合と根性で魔力差をひっくり返し、この世界で最強と言われる"火の王"に挑むため成長を遂げていく。
辺境領主は大貴族に成り上がる! チート知識でのびのび領地経営します
潮ノ海月@書籍発売中
ファンタジー
旧題:転生貴族の領地経営~チート知識を活用して、辺境領主は成り上がる!
トールデント帝国と国境を接していたフレンハイム子爵領の領主バルトハイドは、突如、侵攻を開始した帝国軍から領地を守るためにルッセン砦で迎撃に向かうが、守り切れず戦死してしまう。
領主バルトハイドが戦争で死亡した事で、唯一の後継者であったアクスが跡目を継ぐことになってしまう。
アクスの前世は日本人であり、争いごとが極端に苦手であったが、領民を守るために立ち上がることを決意する。
だが、兵士の証言からしてラッセル砦を陥落させた帝国軍の数は10倍以上であることが明らかになってしまう
完全に手詰まりの中で、アクスは日本人として暮らしてきた知識を活用し、さらには領都から避難してきた獣人や亜人を仲間に引き入れ秘策を練る。
果たしてアクスは帝国軍に勝利できるのか!?
これは転生貴族アクスが領地経営に奮闘し、大貴族へ成りあがる物語。
どこかで見たような異世界物語
PIAS
ファンタジー
現代日本で暮らす特に共通点を持たない者達が、突如として異世界「ティルリンティ」へと飛ばされてしまう。
飛ばされた先はダンジョン内と思しき部屋の一室。
互いの思惑も分からぬまま協力体制を取ることになった彼らは、一先ずダンジョンからの脱出を目指す。
これは、右も左も分からない異世界に飛ばされ「異邦人」となってしまった彼らの織り成す物語。
異世界でぺったんこさん!〜無限収納5段階活用で無双する〜
KeyBow
ファンタジー
間もなく50歳になる銀行マンのおっさんは、高校生達の異世界召喚に巻き込まれた。
何故か若返り、他の召喚者と同じ高校生位の年齢になっていた。
召喚したのは、魔王を討ち滅ぼす為だと伝えられる。自分で2つのスキルを選ぶ事が出来ると言われ、おっさんが選んだのは無限収納と飛翔!
しかし召喚した者達はスキルを制御する為の装飾品と偽り、隷属の首輪を装着しようとしていた・・・
いち早くその嘘に気が付いたおっさんが1人の少女を連れて逃亡を図る。
その後おっさんは無限収納の5段階活用で無双する!・・・はずだ。
上空に飛び、そこから大きな岩を落として押しつぶす。やがて救った少女は口癖のように言う。
またぺったんこですか?・・・
集団転移した商社マン ネットスキルでスローライフしたいです!
七転び早起き
ファンタジー
「望む3つのスキルを付与してあげる」
その天使の言葉は善意からなのか?
異世界に転移する人達は何を選び、何を求めるのか?
そして主人公が○○○が欲しくて望んだスキルの1つがネットスキル。
ただし、その扱いが難しいものだった。
転移者の仲間達、そして新たに出会った仲間達と異世界を駆け巡る物語です。
基本は面白くですが、シリアスも顔を覗かせます。猫ミミ、孤児院、幼女など定番物が登場します。
○○○「これは私とのラブストーリーなの!」
主人公「いや、それは違うな」
成り上がり覚醒者は断れない〜魔王から得た力で自分を虐げてきた人類を救っていく〜
酒井 曳野
ファンタジー
ここはモンスターが湧き出る『ダンジョン』という試練、それらを攻略する『覚醒者』という武器、モンスターとダンジョンから採取できる『魔法石』による恩恵で成り立つ世界。
主人公レイン・エタニアは覚醒者でありながらランクが最も低いFランクの中でも最底辺だった。家族を守る為に活動したが、周りから見向きもされず虐げられ苦しい毎日を過ごした挙句に騙され死の淵を彷徨う事となる。
しかし死の先で出会ったかつての大戦で生き残った魔王に才能を認められ徹底的に鍛えられた。
人類には到達不可能な領域に達したレインはこれまで虐げてきた者たちに復讐をーーとはならず慕う者には慈悲を、敵には容赦しない元来の性格(無自覚)が影響して助けを求める声に手を差し伸べる。
それはやがて世界を巻き込む大いなる災いの最前線へと向かっていく。
これは魔王に認められ力を得た覚醒者が人類を助ける救世主となる物語。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる