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新たな町へ

557話 名付け。

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 それから、メンバルンさんに金貨一枚で紅茶を売り付けて購入した奴隷の二人と契約をして、屋敷までメンバルンさんに馬車で送って貰い二人を引き連れて屋敷に戻った。

 屋敷に戻った俺は、ケイルスに帰りが遅いと怒られそれから俺の後ろに居る二人に驚く。

「だ、旦那様!今までお一人でどちらへ?」

「え?冒険者ギルドと、奴隷商に行ってたけど……なに?探したの」

「いえ、行先のギルドと言うのは伺って居りましたから……。と言うか!後ろのお二人は?」

「あぁ、ケイルスくん。この人たちね、今日からここに住むから色々宜しくな?それと……今からで悪いけど、寮の談話室に使用人たち全員集めてくれるかな?」

「はぁ?それは…その子たちの顔合わせを為さるのでしょうか?」

「そう、纏めて紹介した方が早いしね」

 それにといって、獣人の子どもを抱き上げて話しを続ける…。軽いねぇ……この子。

「どこら、よいしょっと。あのね、この子は未だ子どもだからさラルフ君やメルド君たちにも、早めに紹介した方が良いと思ってさ」

「承知致しました。では、別棟の談話室でお待ち下さいませ」

 ケイルスに使用人たちを呼ぶ様に頼んで、俺と連れて来た二人で屋敷の中を通って、寮の談話室に入ると、アンクを俺の隣に座らせ獣人の子どもは俺が抱いたまま膝に乗せてソファーに座る。

「はい、二人ともお疲れさまね。今日からここが君たちの家に為るからね」

「はい……」

「アンク君は、この寮で暮らせるかな?後で部屋を案内させるからね。少し待っててね?」

「はい……」

「そんなに緊張しなくていいよ?今から来る人たちは好い人ばかりだからね」

「は、はい。ええと…」

「ん? なにかな?」

「だ、旦那様はお幾つなのですか?ご、ご家族とかは?」

「へっ?」

「あっ、えぇっと…俺変なこと聞きました…か?」

「ああ、ここは俺の屋敷で親兄弟は居ない。だから俺がここの主だ。んで、今から来るのは全員君と同じ使用人たちだよ。それから…年は16才だな」 

「そ、そうでしたか。それは…すみません……」

「嫌、別に?気にしないでくれよ」

 根掘り葉掘り聞かれるのも面倒だから、ここは茶でも出して話を逸らすか。
 二人と俺の分のジュースと茶菓子を出して二人に進める。
 それから…獣人の子どもには名前付けないとなぁ……。

「どうぞ、これ飲んでてね。それから…君だけど…」

 君と言って膝に乗せている子どもに声を掛ける。

「……?」

「君に、名前を付けないとね?」 

「…?」

「ええっと、いつまでも、おい!とかお前とか面倒だからね。君に名前を付けるね」

「……うん」

 おっ返事してくれたぞ!
 これは良いんだな!よし……。

「なら、君は今日から……トランだ宜しくね」

《安易な……》

『良いだろ!別に悪い名では無いぞ!多分』

「…トラン?」

「そう君はトランだ!今日からね?慣れないかも知れないけど、覚える事!いいね?」

「うん」

 二人とも早く屋敷に馴染んでくれれば良いけどなぁ…。

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