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新たな町へ
532話 イリヤ 3
しおりを挟む邸の門までニングスさんと歩いて、あたしは邸を出た。
小さな鞄に買った服だけを詰めて、邸から出て町の中をテクテク歩くけど…。
朝早い時間で未だ店も開いてない。
「これからどうしょうかな?働くにしても…この町で働くのは無理だよね?」
なら町から出て違う町で働こうかな?
そうだよね?ギルドに行って、他の町に行く辻馬車の事を聞けば良いよね?
早朝のギルドの前に着いたイリヤは、中に入ろうと扉を押して見ると……「空いた……」へぇこんな朝からギルドって開いてるんだ。
ギルドの中に入ると中は未だ早朝、人は疎らにしか居ない。
カウンターに座る受付の女の人も暇なのかな?欠伸してるよ。
良いなぁ~あたしもあんな暇そうな仕事とがしたいな…。
とギルド職員の仕事の大変さを知らず舐めた事を思うイリヤだ。
こんな考えを受付に座る女性達が聞いたら、相当腹を立てて怒るのは必至である。
暇そうな仕事が羨ましいと思うも、取りあえず話しを聞かないと!
と気合いを入れてカウンターに近付き女性に話し掛ける。
「あ、あの…」
「はい?あら、いらっしゃいませ。何かご用でしょうか?」
「えっと…こ、ここから他の町まで行く。…つ、辻馬車って…」
「……他の町ですか?具体的に、どちらへ行きたいのでしょう?馬車も色々出ていて…」
そ、そうなんだ!知らなかった。
「え、えっと……あ、あんまりお金がないから安く行ける町って、そのある?」
「安く行ける……?お客様それは…分かりましたご予算はいくらに?」
「あっ!えっと……」
手持ちのお金は…大銀貨1枚しかないから…。
「えっと銀貨………2枚です」
無駄に使えないからこれ位しかだせないよ~!
「ぎ、金貨2枚ですか?(困ったわ、そんなに安く行ける町なんて無いわよ!)」
「あ、あのお客様?その値段ですと、その…どの馬車も乗れないですよ?せめて銀貨6枚は払わないと、隣の町さえ行けませんよ?(舐めんなよ!)」
「あっ!えっ?銀貨6枚?(た、高いそんなに出せないよぉ~)」
「そうですね…」
「そ、そこを何とか、出来ませんか?あたし町から出たいんですけど…?」
「………失礼ですが…身分証はお持ちですか?」
「…み、身分証?」
「ええ、それがないと他の町にも入れませんよ?それに通行税もないと」
あっ!そうだった……あたし奴隷だったから身分証なんて持ってないよどうしょう。
「あ、あの身分証何処で……?」
「そんなのも知らない!……っと、失礼しました。身分証でしたら、町の役場に行って発行して貰っては?それか、お隣の町まで行き町の門番にでも頼んで、仮の身分証を発行して貰いその町で手続き為さっては如何でしょうか?」
「えっ!そうなんですね?ならそうします。隣町まで行く馬車もあるの?」
「ええ、ございますよ?(因みにこの王都でも出来るんだけど…?)」
「馬車に乗る、お金はいくですか?」
「……隣町行きでしたら、銀貨6枚です」
「ぎ、銀貨6枚も……(うぇ~ん高いよぉ~)」
「お支払が出来ない様でしたら、私供では御案内しかねますが?」
「……は、はい……」
高いよぉ~でも歩いて他の町なんて行けないよね?
お金は少し減っちゃうけど隣町でギルドで働いても良いよね?
そうだよ!私でもきっと出来るよ!
少しだけなら、読み書きは出来るもん。
邸でこっそり字を書く練習したし。
働いてお金貰ってから身分証を作ってもいいよね。
「あ、あの」
「なんですか?(まだ何か用なの?変な子ねぇ)」
「あ!あの隣の町まで行く、馬車に乗りたいです」
「……乗りたいって……(まぁ本人が決めるなら、私はそれでも良いわね。なんか…係わりたくないわ)分かりました。では、今日の朝9つに馬車が出ますから、それまでにギルドに来てください。それと、隣町に行く馬車の御者にお金を支払って下さい」
「は、はい……でも…朝9つって……」
「なんですか?さあ、私は忙しんです。ご用がお済みならお引き取りを。あっ、そうそう時間厳守!必ず朝9つ迄にギルドに来てください」
「は、はい……」
えっ?忙しいの?さっきまでこの人欠伸してたよね?こ、怖い…なんかギルドの女の人も怖い…。
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