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新たな町へ

482話 冒険者に成るのも

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「さて、残りのカシューと、カナルは一緒に来てね?」

 ニッコリ笑って二人に話しかけた。

「うっ、それは卑怯だ!旦那!」

「右に同じく!俺はもう少し寝たぃぃ!」

「(フフフ寝かさねぇ!巻き込む!)」

「「(ずりぃ~)」」

「で、マイナ!飲み物人数分ね?」

「ブイ、お待ちを」


 飲み物をマイナに頼んでリビングに移動して全員で座る。
 ラルフ君を俺の対面に座らせ、下の子供たちもその隣に座らせた。

 さっきここに来る時に、グレドの顔を少しだけ見れば申し訳無さそうな顔が見れたので、早めに此方へ来て貰おう!

「それで……冒険者の、ランクだったっけ?」

「はい!ランクってなに?」

「ランクとはね?冒険者に成った時に付けられる物だよ。冒険者になったら最初は全員Fランクから始まるんだよ?」

「F?」

「そう、最初は「F」!その次は「E」その次は「D」って上がるんだ」

 この説明を紙に書いて説明していく。

「えっと、これは字?」

「そうだね字だよ?分かる」

「うん、でもランクってなに?」

「今言った事が、分からなかったかな?」

「うん?良くわからないよ?「F」って?」

「じゃステータスって、分かる?」

「なにそれ?」

「人の強さを、数字で見るんだよ?」

「なにそれ?良くわからないよ、なにそれ!」

「(これは……お手上げだぞ!ニングス)」 

「(ええ、旦那様。グレド、あいつはどんな育て方を)」

 とこそこそとニングスと話す。

「ラルフくん?」

「なに?お父さんと離れてた時は何をしていたの?」 

「母さんが、じいちゃんの宿屋の手伝いをしてたから。僕も手伝ってたよ?」

「ならお客さんに、冒険者が居たろ?」

「分からないよ!僕は字はあんまり読めない」

「え?さっき俺が「F」は分かる?と聞いたら、分かるって…」

「これでしょ?「F」って教えてくれたから、この字は分かるよ」

「ならこれは?」

 といって、俺の名前を黙って書く。

「これ読める?」

「なにこれ字なの?」

「そうか…字が読めないと、冒険者にも成れないし!他の仕事も出来ないね?はい、ジュースだよ。にこり」

「あ、ありがとう」

「マイナ、ありがとうな?」 

「いえいえ!それで?冒険者になるのかな?君は?」

「うん!なりたい!」

「そうか、そうか。なら、魔法は使えるの?剣は?」

 腕を組んでウンウンと頷くが…マイナさん?君はどうしたね?

「魔法は、母さんが嫌ってたから使えないよ?」

「それではお話に為らないねぇ?旦那様」

 な、なんかマイナさん君…棚に上がって無いかな?何者ですか?マイナさん?

「そうだな?でも、今から誰かに教えて貰えばもしかしたら?」

「冒険者に、成れるかも知れないね?」

「本当に?」

「だけど、それには君は何にも知らなすぎるね?」

「だってそれは…」

「そうそう、弟君達の面倒をみてたのかな?それともお母さんの面倒もかな?」

「両方だよ?母さん宿屋で酷い目に遭ってたから助けてたし。じいちゃんも死んじゃって、弟達も病気で面倒を見てたし」

「そう、君一人大変だったね?」

「うん!」

「お母さんには勉強は教わらなかったの?」

「お母さんに聞くと、怒るから聞けなかった。仕事をサボると怒ったし。弟達の面倒もみないと怒られたし」

「そうか……なら教えてあげるよ?どうする」

「えっ!いいの?」

「マイナ、君は今は字が書けたっけ?」

「最近は少しだけ、下手だけど」

「なら一緒に勉強してくれるかな?」

「いいよぉ?その代わり、仕事が遅くなるけど?」

「半日でいいよ?午前の二時間位でお願いするよ」

「カシューとカナルは字が書けたよね?」

「読めるし、書けるけど?まさか!」

「旦那様、俺らは教えるっても…」

「まぁまぁ、そう難しく考えるよ!算術は俺が教えるからさっ!」

「「ええ!マジかっ!」」

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