上 下
497 / 761
新たな町へ

440話 不安だ……。

しおりを挟む


 出来上がった料理を、マイナとボルエがワゴンを押して食堂に入っていくが……。
 マイナ達が、わたわたしてるね…後で考えよう。
 そんな事をぼんやりと見てると、カシューが俺に声を掛けてくる。

「旦那様…いつ、食堂を広くしたんです?」

「ん?さっきだけど……」

「……さっきですか…」

「なに?カシュー」

「い、いえ何も……」

「ってか、その子どうしたんです?」

 カナルが俺の頭の上に寝る、ブルーを指さして聞いてくる。

「え?これかぁ~、聞くなよ…聞くと後悔するぞ?カナル」

「……後悔…ですか?」

「だよ。さあ飯だ食うぞ。みんな、食事は行き渡ってるの?」

「はい!大丈夫です!」

「なら、頂きます!」

「「「「頂きます!」」」」

 皆で食事が始まると、頭で寝てたブルーが目を覚ました。

[ん?なんだ良い匂いが…するぞ…クンクン]

「お、起きたの?飯だぞ」

[おっ飯か!食う………]

 パタパタと俺の頭から飛び上がると、部屋の回りを一回りするが……一体何がしたい?
 部屋に居る皆も食事の手を止めて、飛ぶブルーを見てるし。(笑)
 皆食えよ?料理が冷めるぞ?

[主、我の飯は?]

「そこにあるだろ、好きなの食ってくれ」

[む、これは。主達の食い物と同じ物か?]

「そうだけど…なに?食べれないの」

[嫌、頂こう]

 手掴みで、ベーコンを掴むとパクリと口にする。

[んむ……ング…ムグムグ……ゴックン。これは旨い!後は果物が有れば我は満足!]

 良かった…馬鹿食いされても困るしね。後は果物ね?

「わかった、後で出すからまってろよ」

[うむ!早く出せよ]

 偉そうにほざくと、またベーコンを頬張るブルーだ。
 騒がれるのも面倒なので、ブルー目の前にリンゴと葡萄を皿に乗せて出してやる。

[おお、主それは?旨そうだ!]

「ハイハイ、大人しく食えよ」

 それから……バタバタしながらも食事は終わり、皆は仕事をするといって、食堂を後にするのだった。
 さて、俺も厨房でタウルス達にパンの作り方や、麺の作り方に出汁の取り方を丁寧に、時間を掛けて教えないとな。だけど……。

 頭の上に乗るブルーがウザイ。
 それはまぁ~、おいておくけど…。
 だが、先に料理人達が優先だよね。
 大変だ…、何せ一からだよ?面倒この上ない。

「だ、旦那様?これは骨ですよね?」

 ほら、始まったぞ!

「そう、骨だよ?」

 はぁ~、この説明も三回目だな。ハハハ!

「そう、骨を洗って綺麗にしたらね。水を入れた鍋に入れて煮込む。香草や生姜を入れて臭みを取りながら、煮立て無いようにゆっくり煮込む」
「煮込んでどうすんだ?」
「スープの出汁にするんだよ。一回目は骨以外は捨てて、二回目にも同じ香草類入れて今度は長時間煮込む」
「はあ……?」
「まあ、やってみてよ?その間に、パンの酵母を作ろう」
「………?こう、酵母?なんですか?」
「酵母は、パンを柔らかくする物だな。ここに、リンゴと瓶が有るだろ?」
「「は、はい」」
「このリンゴを切って芯だけ取って瓶に入れて蓋をして4日このまま放置で終わり。常温で暗い所に置いて、たまに瓶を振るくらいかな?」
「……なんですか?それ」
「まあ、後のお楽しみです。さて、下ごしらえは終わったな」
 
 取り敢えず……だけど覚える器は有るのかな?


 不安だな……。

しおりを挟む
感想 122

あなたにおすすめの小説

巻添え召喚されたので、引きこもりスローライフを希望します!

あきづきみなと
ファンタジー
階段から女の子が降ってきた!? 資料を抱えて歩いていた紗江は、階段から飛び下りてきた転校生に巻き込まれて転倒する。気がついたらその彼女と二人、全く知らない場所にいた。 そしてその場にいた人達は、聖女を召喚したのだという。 どちらが『聖女』なのか、と問われる前に転校生の少女が声をあげる。 「私、ガンバる!」 だったら私は帰してもらえない?ダメ? 聖女の扱いを他所に、巻き込まれた紗江が『食』を元に自分の居場所を見つける話。 スローライフまでは到達しなかったよ……。 緩いざまああり。 注意 いわゆる『キラキラネーム』への苦言というか、マイナス感情の描写があります。気にされる方には申し訳ありませんが、作中人物の説明には必要と考えました。

あなたは異世界に行ったら何をします?~良いことしてポイント稼いで気ままに生きていこう~

深楽朱夜
ファンタジー
13人の神がいる異世界《アタラクシア》にこの世界を治癒する為の魔術、異界人召喚によって呼ばれた主人公 じゃ、この世界を治せばいいの?そうじゃない、この魔法そのものが治療なので後は好きに生きていって下さい …この世界でも生きていける術は用意している 責任はとります、《アタラクシア》に来てくれてありがとう という訳で異世界暮らし始めちゃいます? ※誤字 脱字 矛盾 作者承知の上です 寛容な心で読んで頂けると幸いです ※表紙イラストはAIイラスト自動作成で作っています

[鑑定]スキルしかない俺を追放したのはいいが、貴様らにはもう関わるのはイヤだから、さがさないでくれ!

どら焼き
ファンタジー
ついに!第5章突入! 舐めた奴らに、真実が牙を剥く! 何も説明無く、いきなり異世界転移!らしいのだが、この王冠つけたオッサン何を言っているのだ? しかも、ステータスが文字化けしていて、スキルも「鑑定??」だけって酷くない? 訳のわからない言葉?を発声している王女?と、勇者らしい同級生達がオレを城から捨てやがったので、 なんとか、苦労して宿代とパン代を稼ぐ主人公カザト! そして…わかってくる、この異世界の異常性。 出会いを重ねて、なんとか元の世界に戻る方法を切り開いて行く物語。 主人公の直接復讐する要素は、あまりありません。 相手方の、あまりにも酷い自堕落さから出てくる、ざまぁ要素は、少しづつ出てくる予定です。 ハーレム要素は、不明とします。 復讐での強制ハーレム要素は、無しの予定です。 追記  2023/07/21 表紙絵を戦闘モードになったあるヤツの参考絵にしました。 8月近くでなにが、変形するのかわかる予定です。 2024/02/23 アルファポリスオンリーを解除しました。

30年待たされた異世界転移

明之 想
ファンタジー
 気づけば異世界にいた10歳のぼく。 「こちらの手違いかぁ。申し訳ないけど、さっさと帰ってもらわないといけないね」  こうして、ぼくの最初の異世界転移はあっけなく終わってしまった。  右も左も分からず、何かを成し遂げるわけでもなく……。  でも、2度目があると確信していたぼくは、日本でひたすら努力を続けた。  あの日見た夢の続きを信じて。  ただ、ただ、異世界での冒険を夢見て!!  くじけそうになっても努力を続け。  そうして、30年が経過。  ついに2度目の異世界冒険の機会がやってきた。  しかも、20歳も若返った姿で。  異世界と日本の2つの世界で、  20年前に戻った俺の新たな冒険が始まる。

異世界のんびりワークライフ ~生産チートを貰ったので好き勝手生きることにします~

樋川カイト
ファンタジー
友人の借金を押し付けられて馬車馬のように働いていた青年、三上彰。 無理がたたって過労死してしまった彼は、神を自称する男から自分の不幸の理由を知らされる。 そのお詫びにとチートスキルとともに異世界へと転生させられた彰は、そこで出会った人々と交流しながら日々を過ごすこととなる。 そんな彼に訪れるのは平和な未来か、はたまた更なる困難か。 色々と吹っ切れてしまった彼にとってその全てはただ人生の彩りになる、のかも知れない……。 ※この作品はカクヨム様でも掲載しています。

いきなり異世界って理不尽だ!

みーか
ファンタジー
 三田 陽菜25歳。会社に行こうと家を出たら、足元が消えて、気付けば異世界へ。   自称神様の作った機械のシステムエラーで地球には帰れない。地球の物は何でも魔力と交換できるようにしてもらい、異世界で居心地良く暮らしていきます!

私を裏切った相手とは関わるつもりはありません

みちこ
ファンタジー
幼なじみに嵌められて処刑された主人公、気が付いたら8年前に戻っていた。 未来を変えるために行動をする 1度裏切った相手とは関わらないように過ごす

異世界でお取り寄せ生活

マーチ・メイ
ファンタジー
異世界の魔力不足を補うため、年に数人が魔法を貰い渡り人として渡っていく、そんな世界である日、日本で普通に働いていた橋沼桜が選ばれた。 突然のことに驚く桜だったが、魔法を貰えると知りすぐさま快諾。 貰った魔法は、昔食べて美味しかったチョコレートをまた食べたいがためのお取り寄せ魔法。 意気揚々と異世界へ旅立ち、そして桜の異世界生活が始まる。 貰った魔法を満喫しつつ、異世界で知り合った人達と緩く、のんびりと異世界生活を楽しんでいたら、取り寄せ魔法でとんでもないことが起こり……!? そんな感じの話です。  のんびり緩い話が好きな人向け、恋愛要素は皆無です。 ※小説家になろう、カクヨムでも同時掲載しております。

処理中です...