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新たな町へ
402話 イリヤの配置替え。
しおりを挟むそして、食事の時間が終わった。
その間とうとうイリヤは顔を出さなかった。
食堂から移動してリビングのソファーに座ると……マイナに用事を頼む。
「マイナ、イリヤを呼んできてくれ」
「は、はい………。でも、イリヤちゃん来ないかも」
「取り敢えず呼んで来てくれない? このままだとイリヤを元の奴隷商人の元に、戻さないと為らないしね。働けない者に居て貰っても、困るんだよね。怪我や病気なら仕方ないがね」
「う………分かりました」
それだけ返事をするとマイナはイリヤを呼びに行く。
リビングに入って、開口一番マイナに用を頼んだ。
そして、リビングに居るのは使用人全員だ。
何でも全員で話し合いをするのが、決まり事に成りつつあるな。
「さてさて、何でご機嫌斜めかね…あの人は。俺は面倒は嫌なんだ」
カナルが大きな声を出して俺に嫌味?
なのかな?を言ってきてる…いや文句か。
別に気に入らないなら出ていって貰うだけなので、俺は特に困らんが。でも聞こえちゃったしね。と言うとことで、カナルを横目で睨み付けた。
それに気づいたカシューが、慌ててカナルを小突いて注意してる。
「カナル!旦那様に失礼だろ!」
「すまん……カシュー(やらかすとこだったな)」
「俺に謝るな、旦那様に謝れ!」
「旦那様すみません……」
軽いいねぇ~。まあ、謝ったから別に良いけどね。
「…口は災いの元だよ? カナル……気を付けような?」
「はい……」
「旦那……相変わらず冷てぇなぁ~」
「グレド……俺は雇い主です!厳しくしないとね!でもさぁ、これでも優しい方じゃない?」
注意だけですませたし。
「ま、それはそうだな……」
「うちらは、旦那からお金貰ってるもんね。衣食住全て、揃えて貰ってるんだよ。忘れてだけど」
忘れてた……というが……ケイトさん。
お願いだから忘れないでくれない?
それに俺も働いてるよ?
「ふぁ~」
「誰だ、今の欠伸は……」
「すみません……。おれ腹一杯で眠くて……」
「カナルまたお前か? お前……マイペースすぎ」
「アハハすみません。俺には関係無い話しですからね。って、言うか……俺とカシューとゲイルには関係無いですよ」
「まぁ、そうだがな…。…取り敢えず話しは訊こうか?」
「そうだぞ!仲間だからな」
「ゲイル……凄い」
「な、なにがだ……?」
「仲間意識が! …だな」
「………旦那様……俺を馬鹿にしてるのか?」
「い、嫌、違うからな!尊敬だよ、尊敬!」
「尊敬? ニングス意味が分からない」
「プッ!ハハハ!」
「な、なんだ旦那様? なにか惜しいのか?」
「だって……ゲイルがかわいい」
「か、可愛いって! 旦那様! お、俺は男だぞ」
「分かってるよ、ククク」
「むぅ…………」
「悪い、悪い。ゲイル、機嫌を直せよ?」
「旦那様、ゲイルをからかうのもいい加減にして下さい。イリヤが来ましたよ」
おっとそうだったね……。
「ゲイル悪かった」
「いや、大丈夫だ……」
「ん……。イリヤ、こっちに来て座れ」
そして、空気が一転し部屋はひんやりとしたものに変わった。さて、どうしたものかな………。
「は、はい…………失礼します…」
「イリヤ、食事は?」
「い、要りません」
「あっそ!で? 仕事もしないで、なにしてた? 部屋に戻って、泣いてただけかな?」
「あ!ご、ごめんなさい。うぅぅ!」
「泣くな!」
「ひぃ!ぅぅう」
「イリヤ、話しに成らないですよ。泣いてたら、旦那様の話しを聞いてちゃんと答えなさい」
「は、はい…………ぐず………」
ニングスよ、そんなにきつくしなくて良いけど……。
「はぁ………。イリヤお前もう少し、落ち着いて仕事してくれ」
「…………はい」
「責めてる訳ではないがな……。意識して注意すれば、もう少しドジは治るだろ?」
「も、申し訳ありません。私、上がり症で……」
上がり症って…。
皿割る程か?
「そうか、なら厨房には今後一切入るな。それと仕事場を変える」
「え、何処にですか?」
「………屋敷の掃除と他の仕事だな。仕事は主に、廊下と後は……畑だけだな」
「え!畑なんて、私は仕事したことが……」
畑なら転んだって、自分が痛い思いをするだけだからな、壊すものも無いだろう。
冷たい様だが……奴隷商に戻すよりは良いだろう?
《ゲス、過ぎませんか?》
『知らんわ!なら、奴隷商人に言って買い取らすか?』
《……………》
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