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新たな町へ
348話 謝礼金
しおりを挟む商業化ギルドのギルマスの悪事を少しだけ暴いたら、金が転がり込んでくるそうだ……。
うん…………棚ぼた?だ。
でも……何かありそうだ。
「そ、それでだ!アキヒコ君」
「なんでしょうか、ご領主様?」
「君が、商業ギルドに持ち込もうとした置物を、それを私に見せて貰えないかい?宿屋の店主ドレイドが、君の置物を大層欲しがって居たと聞いたぞ」
あ、やっぱりそれか……。
見せてどうするのか…でも、答えは一択だ。
「そうですか……、置物が見たいと?でも、申し訳ございません。本日置物は、持って来ては御座いません。あれは、それなりに大きな物なので……。申し訳ありません」
「アキヒコ!ち、ちょっとすみません。おい!」
(アキヒコ、お前あれ、持ってるんだろ?出せよ)
(なんで、さっ!)
(ご領主様、立っての願いだろがよ!)
(なに言ってる?アイテムバックも寄越せとか、言われたらどうすんだよ!これは、俺の宝だぞ!)
……嘘だけど!
でも、そうホイホイ人に渡すものでも無いだろう。
しかも、何かしら似たような物は持ってるだろうしな。
(そんなこと言ったってよ………)
(兎に角、手の内は見せたくないぞ!)
「ゴホン!二人でなにをこそこそ話してるのだい?ギルマス」
「い、いえ。失礼しました。領主様。アキヒコが置物を持ってないか、再度確認しただけですのでお気に為さらず」
「ほぅ……。それで、彼は持ってるのかい?」
「いえ、持ってはないそうです」
「そうか、それは残念だね?是非見て見たかったのだが……」
領主が残念だと言いながら俺をチラチラと見る。だが、目線が分かる。分かるが出さないぞ!
「まぁ、アキヒコ君が手持ちに無いなら、今日は諦めたらどうだダルタニア?」
「……それもそうか……。アキヒコ君無理を言ったね?だが今度私の家族と一緒に夕食でもどうだい?」
……ご招待を、受けちゃった………。
これは断れないよなぁ……でも食事があれだろ?
どうせ、塩味しかしない不味飯……。
『気が重い………』
《断れませんよ》
『分かってるよ………』
「そ、それは嬉しいお誘いですね?では、その時にでも……今お話しをしていた、置物を御持ち致しますので、是非ご覧ください」
「そうか?それは是非に楽しみにいてるよ。と、その前に……謝礼の金だ受け取ってくれ。いま用意させるからアギス用意を」
「はっ、畏まりました。少々お待ち下さい」
執事のアギスが部屋を出ていく。
「それにしても……アキヒコ君。君あの神殿近くの空き家を買ったとか?」
あ、それ言ったら……ヒューグ隊長に、俺の居場所バレるから止めてくれよぉ~。
折角昨日誤魔化したのに。しくしく。
《ヒューグ隊長が、ニヤリと笑ってますね……》
『絶対に、屋敷には入れてやらない!断固拒否だ!クソ』
「えぇ、そうです。ギルマスが親切にしてくれまして、大変お買い得な値段を、提示してくれたので即買いました」
ニコリと、笑って即答すると二人が絶句する。
なに?
「「………」」
「ギルマス、君……いくらであの屋敷を売ったのだい?」
「そ、それは、御報告してありますが……。ですが、そう安い値段ではないです」
「そ、そうだったかな?それは……後で確認しておこう」
フフフ。薮蛇だったという顔だね……。
怠慢がバレたって顔をしてる。
「失礼致します。旦那様、お待たせ致しました。此方で御座います」
「あぁ、すまないね。アキヒコ君、君に謝礼金の金貨15枚を贈る」
「じゅ、十五枚!ですか?そんなにですか?」
「ああ、お礼だ。受け取ってくれ」
「で、では、失礼して。ありがとうございます」
受け取った金貨15枚を、懐から巾着を出してそれに入れ懐に仕舞う。
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