母親に家を追い出されたので、勝手に生きる!!(泣きついて来ても、助けてやらない)

いくみ

文字の大きさ
上 下
219 / 235
第10章

第8話 後出しじゃんけんってなんだよ。

しおりを挟む


 ポツンと部屋に待ち惚けにされてますが。何か?
 実際はカイト達が居るのでポツンではないが、樹里の気持ち的にはポツンだ。

 バラン達のドタバタを知らない樹里は、呑気に爆睡しているカイト達を見つめて考え事をしていた。

 バランが部屋に戻って来るのを待つが、まだ戻って来ない。
 横を見れば、カイトとベルゼスは爆睡中。
 お前らよくこんなところで眠れるな?
 俺には出来ない。はぁ~と溜め息を漏らす。

 それにここは、待ってても水の一杯も出てこないし。

「はぁ、喉乾いたし。何か出すか」

 樹里はネットからコーヒーのペットボトルを出す。寝てる二人は……出さなくて良いな。寝てるし。

 樹里は、ペットボトルのキャップを捻ってボトルの飲み口に口をあてると、その勢いでグイッとコーヒーを口に含みそれを飲み込む。

「ウンマ!」何これ。最近のコーヒーは一味違うぜ!と、独り言。
 訊かれるのはまずいからな。

 ペットボトルの中に入るコーヒーをマジマシと見つめて感心する。
 が、樹里はコーヒーの味など分かる程詳しくもなく。前世では好んでコーヒーを飲まなかったのだ。人から勧められ、飲めと出されれば飲む感じだ。
 寧ろ、好んで飲んで居たのはお茶関係である。
 お茶……そう言えば、あいつ元気にしてるかなぁ~。懐かしい。
 前世でお茶好きな友が居て、そいつに連れられて良くお茶を飲み歩きしたもんだ。

 そんな昔の事を思い出して居ると、突然部屋の扉が開いた。

『バン!』

「っ!な、なに?」

 扉が開き、扉の方を慌てて振り向けば人が入ってきた。
 ノックも無しの突然の事で、咄嗟の行動が遅れた樹里である。あっ!と思っても、テーブルの上に飲みかけのペットボトルが置きっぱなしで、手が動かずペットボトルはそのままだ。
(やべ、隠せない)
 気づくが、素手に遅く人がずかずかと入って来てしまっていた。

「失礼、お待たせしました。ジュリ様」
「お、おう。忘れられたかと思ったぜ」

 もういいや、隠せないし諦めた。
 どうにでもなれ。
 でも、何気に目につかない様に端にそっと寄せる。

「それは、大変失礼しました」

 何やらバランは神妙な雰囲気を醸し出してるけど、なに?それにギルマスまで連れて来てるし。
 確かこの人ギルマスで良かったよな?
 
「で、なに?ギルマスまで連れて来て」

 セーフまだペットに気づいてないな。
 もう少し話をしから、さっと仕舞ってしまおう。ペットボトルの話だぞ。

 カイト達は未だ寝てるし、お前らどんだけ寝るんだ?もしかしたらベルゼスだけは起きてるかも。
 こいつ、狸寝入りか!
 虎の癖に。

「そ、それが……」

 おっと、話の最中だったな。

 でも、なんかバランさんが申し訳無さそうだけど。それに、なんでソファー座るのに、そんなに恐る恐るなのかな?
 おっかなビックリしてるのは何故?

 まあ面白いからバランさん達の出方を見るけど。(笑)

「あ、あの………」
「あっ、その前にさ、俺のカードを返して。あれないと困るんだ。紛失は痛いからな」
「ああ、そうでしたね。お返し……ああ、ギルマス!ジュリ様のカードはどうしましたか?」
「へっ、カード?」
「ジュリ様のギルドカードですよ、先ほど渡してその後どうしましたか?」
「カード……は、渡されて確認……あっ、部屋に置きっぱなしだ。と、取って来るので少しお待ちを」

 ギルマスは立ち上がると慌てて部屋から出て行く。
 それを見送るが、何をそんなに慌ててるんだ?良く分からないギルドだな。
 なんかまた、ここに来るのを間違えたか?

「ジュリ様、少しお待ちくださいね。それから物件の話ですが、本日ご案内した物件の他にも、ご案内出来る物件がございますが、如何いたしますか?」
「へ? 如何って、それなら物件案内する前に話す事ではないかな?」
「そ、そうなのですが、その此方の不手際で、申し訳ありません」
「不手際ですか」
「ええ、それで、ご案内する物件は後三件程あるのですが、これ等を見られますか?」
「見られって、それ……時間掛かるよね?」
「ええ、まあ」
「それならなんで、最初に顔を会わせた時に言わないのかな?」
「も、申し訳ございません。此方の不手際で」
「不手際?つか、その言葉二度目だよな訊くの。それから、早く俺のギルドカード返してくれない?まず、最初に貸したものを返すの辺り前なのでは?」
「す、すみません。少しこのままお待ちを。今確認してきます」

それだけ言ってまた、バランさんが席を立ち部屋から出ていった。

 はぁ~なんだこれ。
 後だしじゃんけんでもするつもりなのかね。

しおりを挟む
感想 7

あなたにおすすめの小説

転生無双なんて大層なこと、できるわけないでしょう!〜公爵令息が家族、友達、精霊と送る仲良しスローライフ〜

西園寺よつば🌱
ファンタジー
転生したラインハルトはその際に超説明が適当な女神から、訳も分からず、チートスキルをもらう。 どこに転生するか、どんなスキルを貰ったのか、どんな身分に転生したのか全てを分からず転生したラインハルトが平和な?日常生活を送る話。 - カクヨム様にて、週間総合ランキングにランクインしました! - アルファポリス様にて、人気ランキング、HOTランキングにランクインしました! - この話はフィクションです。

お前じゃないと、追い出されたが最強に成りました。ざまぁ~見ろ(笑)

いくみ
ファンタジー
お前じゃないと、追い出されたので楽しく復讐させて貰いますね。実は転生者で今世紀では貴族出身、前世の記憶が在る、今まで能力を隠して居たがもう我慢しなくて良いな、開き直った男が楽しくパーティーメンバーに復讐していく物語。 --------- 掲載は不定期になります。 追記 「ざまぁ」までがかなり時間が掛かります。 お知らせ カクヨム様でも掲載中です。

フリーター転生。公爵家に転生したけど継承権が低い件。精霊の加護(チート)を得たので、努力と知識と根性で公爵家当主へと成り上がる 

SOU 5月17日10作同時連載開始❗❗
ファンタジー
400倍の魔力ってマジ!?魔力が多すぎて範囲攻撃魔法だけとか縛りでしょ 25歳子供部屋在住。彼女なし=年齢のフリーター・バンドマンはある日理不尽にも、バンドリーダでボーカルからクビを宣告され、反論を述べる間もなくガッチャ切りされそんな失意のか、理不尽に言い渡された残業中に急死してしまう。  目が覚めると俺は広大な領地を有するノーフォーク公爵家の長男の息子ユーサー・フォン・ハワードに転生していた。 ユーサーは一度目の人生の漠然とした目標であった『有名になりたい』他人から好かれ、知られる何者かになりたかった。と言う目標を再認識し、二度目の生を悔いの無いように、全力で生きる事を誓うのであった。 しかし、俺が公爵になるためには父の兄弟である次男、三男の息子。つまり従妹達と争う事になってしまい。 ユーサーは富国強兵を掲げ、先ずは小さな事から始めるのであった。 そんな主人公のゆったり成長期!!

裏切られ追放という名の処刑宣告を受けた俺が、人族を助けるために勇者になるはずないだろ

井藤 美樹
ファンタジー
 初代勇者が建国したエルヴァン聖王国で双子の王子が生まれた。  一人には勇者の証が。  もう片方には証がなかった。  人々は勇者の誕生を心から喜ぶ。人と魔族との争いが漸く終結すると――。  しかし、勇者の証を持つ王子は魔力がなかった。それに比べ、持たない王子は莫大な魔力を有していた。  それが判明したのは五歳の誕生日。  証を奪って生まれてきた大罪人として、王子は右手を斬り落とされ魔獣が棲む森へと捨てられた。  これは、俺と仲間の復讐の物語だ――

勇者パーティーにダンジョンで生贄にされました。これで上位神から押し付けられた、勇者の育成支援から解放される。

克全
ファンタジー
エドゥアルには大嫌いな役目、神与スキル『勇者の育成者』があった。力だけあって知能が低い下級神が、勇者にふさわしくない者に『勇者』スキルを与えてしまったせいで、上級神から与えられてしまったのだ。前世の知識と、それを利用して鍛えた絶大な魔力のあるエドゥアルだったが、神与スキル『勇者の育成者』には逆らえず、嫌々勇者を教育していた。だが、勇者ガブリエルは上級神の想像を絶する愚者だった。事もあろうに、エドゥアルを含む300人もの人間を生贄にして、ダンジョンの階層主を斃そうとした。流石にこのような下劣な行いをしては『勇者』スキルは消滅してしまう。対象となった勇者がいなくなれば『勇者の育成者』スキルも消滅する。自由を手に入れたエドゥアルは好き勝手に生きることにしたのだった。

僕だけレベル1~レベルが上がらず無能扱いされた僕はパーティーを追放された。実は神様の不手際だったらしく、お詫びに最強スキルをもらいました~

いとうヒンジ
ファンタジー
 ある日、イチカ・シリルはパーティーを追放された。  理由は、彼のレベルがいつまでたっても「1」のままだったから。  パーティーメンバーで幼馴染でもあるキリスとエレナは、ここぞとばかりにイチカを罵倒し、邪魔者扱いする。  友人だと思っていた幼馴染たちに無能扱いされたイチカは、失意のまま家路についた。  その夜、彼は「カミサマ」を名乗る少女と出会い、自分のレベルが上がらないのはカミサマの所為だったと知る。  カミサマは、自身の不手際のお詫びとしてイチカに最強のスキルを与え、これからは好きに生きるようにと助言した。  キリスたちは力を得たイチカに仲間に戻ってほしいと懇願する。だが、自分の気持ちに従うと決めたイチカは彼らを見捨てて歩き出した。  最強のスキルを手に入れたイチカ・シリルの新しい冒険者人生が、今幕を開ける。

転生者は力を隠して荷役をしていたが、勇者パーティーに裏切られて生贄にされる。

克全
ファンタジー
第6回カクヨムWeb小説コンテスト中間選考通過作 「カクヨム」と「小説家になろう」にも投稿しています。 2020年11月4日「カクヨム」異世界ファンタジー部門日間ランキング51位 2020年11月4日「カクヨム」異世界ファンタジー部門週間ランキング52位

S級クラフトスキルを盗られた上にパーティから追放されたけど、実はスキルがなくても生産力最強なので追放仲間の美少女たちと工房やります

内田ヨシキ
ファンタジー
[第5回ドラゴンノベルス小説コンテスト 最終選考作品] 冒険者シオンは、なんでも作れる【クラフト】スキルを奪われた上に、S級パーティから追放された。しかしシオンには【クラフト】のために培った知識や技術がまだ残されていた! 物作りを通して、新たな仲間を得た彼は、世界初の技術の開発へ着手していく。 職人ギルドから追放された美少女ソフィア。 逃亡中の魔法使いノエル。 騎士職を剥奪された没落貴族のアリシア。 彼女らもまた、一度は奪われ、失ったものを、物作りを通して取り戻していく。 カクヨムにて完結済み。 ( https://kakuyomu.jp/works/16817330656544103806 )

処理中です...