母親に家を追い出されたので、勝手に生きる!!(泣きついて来ても、助けてやらない)

いくみ

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第10章

第7話 バランご乱心

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 そんな話をして数日後。
 つまりは今日だ。

 私は今ギルマスの執務室に飛び込む。

「ギルマス!あんた」

 バンと勢い良く扉を開いて、バランはデスクに座るギルマスに喰って掛かる。

「な、なんだ!バランお前か。ノックもせずにいきなり部屋に入って来るな!驚くだろ」
「それは、、、そ、そんなことを言ってる場合ではありませんよ!貴方、私に何遣らせてるのですか!」
「な、なにとは?」
「なに、惚けてるんですか! 貴方が今日案内しろと言った冒険者、あれ本物のSランクの冒険者ではありませんか! それに、ちゃんと金も持ち合わせてると言ってますよ! どうするんですか!
私にあんな屋敷を案内させといて!」

 私はギルマスの胸ぐらを掴むとそう怒鳴った。
 無責任にも程がある。
 冒険者ギルドのギルドマスターからの手紙は、ちゃんとした物だったじゃないか。
 ああ、数日前の私を殴りたい。
 この人に騙された。

「バラン、お、落ち着け。まずはなんだって? 本物のSランクの冒険者だと!」
「ええ、そうですよ!どうするんですか!」
「ど、どうと言っても……(Sランクなんて、にわかには信じられなかったんだから、仕方ないだろうが)」
「私は知りませんからね。ほら、見てください。これちゃんとしたギルドカードですよこれ。彼からカードをお借りしてきました。みてくださいよ!」
「お、おう」

 ギルマスは、バランに付き出されたカードを受け取るとカード確認する。

「…………、本物のカードだなバラン。(まずいどうするか?ここは、うんバランに任せる。そうだそうしょう。私は知らない)」

 なんとも、無責任なギルドマスターだ。
 そうとは知らないバランだが、バランも負けてない。

「何ですか」
「お前、この人に謝って、違う屋敷を案内してくれ」
「い、今更何を言ってるんですか。それに私が謝る? なんでですか!謝るならギルマスも一緒ですよ!」
「っ!お前が案内したのだから、お前の責任。私は関係ない!」
「な、何を無責任な事を!あんたが私を騙したんだろう!責任は全てあんたにある。さ、ジュリ様の所に行きますよ」
「そ、それは、無理だ。そ、そうだ、今日の物件の他にも案内する物件があったとそう言えば良いではないか。ほら、良い案だろ?(なんで俺が謝る事がある!)」
「………それは」
「な、いい考えだろ?(よし、バランが考え始めた、ここは畳み掛けて)」
「っ!そんな話しに騙されません。さあ、ギルマス行きますよ!立って下さい。立てないなら私が立たせて差し上げます」

 バランは、座るギルマスを無理やり立たせ引き摺る様にして、執務室から出てジュリの待つ部屋へと二人で向かうのだった。

 だが、ギルドマスターが喚く。

「ま、待て。バラン、一度離せ!そして、話し合おうじゃないか。私は行きたくないぃぃ~」
「ギルマス、叫ばないで下さい。煩いですよ。で、お話とは?」

 今更何の話をすると?

「お前私が誰だか分かってるのか!」
「分かってますよ。商業ギルドのギルドマスターですね。詳しく言えば私の上司ですが?」
「それが分かっててなんでこんなことをするんだ!」
「それはこ自分がお分かりでは? ほらしっかり、歩いて下さい。引き摺るのも楽ではないので」

 それだけ言うとバランはギルドマスターを引き摺って廊下を歩く。


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