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第9章

第3話 ダンジョン入口。

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 ダンジョンらしき場所に着いた俺たちだけど、なんかそこは神殿みたいな造りだった。
 それに彼処……彼処がダンジョンの入口なのか?
 俺…ダンジョンの入口ってさ……まぁいいか。
 考えたら負けな気がするし。

 なので取りあえず、受付らしき小屋みたいな建物の中に居た職員にダンジョンに入っても良いか確認することに。

「あの、すんません」
「はい?」
「デリシャスのギルマスから、依頼されてダンジョンに入りたいんだけど」
「…………ああ、連絡が来てますね?貴方がジュリさんですか?」
「そう、ほらギルドカード」
「ご丁寧にどうも。…はい、身元確認出来ましたので、ダンジョンの中へどうぞ」
「どうも。あっ!そう言えば」
「なんですか?」

 対応が事務的過ぎるんだけど?

「ダンジョンって、階層毎に転移門ってあんの?」
「ええ、10階層毎に。ボス部屋があるそうですね。ボス部屋をクリアすれば出現するとか?」
「とか?」
「ええ、冒険者からの報告で聞いてるだけですから」
「あっそう。なら、浅い階層魔物って何が主流なんだ?」
「それは…………コボルト、オーク、ゴブリン、スライム。それと………ああ、虫系だそうですよ」

 うぇ~虫……居んのかぁ~最悪!

「り、了解。情報サンキュー」
「さ、さん?」 

 受付さんが俺の【サンキュー】と言う言葉を不思議に思ってる。そこに脇から、ひょいとカイトが顔を出して俺の通訳……うん、サンキュー。

「ありがとうって意味だよ!兄ちゃん、もう良いの? 良いなら行くよ」
「おう!」

 俺たち三人で下に向かう入口に近付くと何やら目線が痛い。  
 なに?と不思議に思ってると……わらわらと人が寄って来て何か言って来る。

「お兄さんたち!そんな軽装でダンジョン入るのか?」
「うちに良い子が居るから、荷物持ちにどうだ?」
「あんたの所より、うちの子達が力はあるよ!どうだい?兄ちゃん達?」

 と、何やら近寄って言ってくるけど。
 …ああ、荷物持ちのポーターの売り込みね。要らんわそんなの……。

「すみません、うちはポーター要らないんですよ!だからご遠慮します。俺らは先を急ぐので失礼」

 群がるポーターの売り込み達を交わして、ダンジョン一階の入口に三人で足を向けると、未だなんか後ろで叫んでる…うっざっ!

「さて、行くぞカイト。ベルゼス」
「五月蝿かったね?あの人たち!」
「一体なんなのですか?」
「あれか?あれはポーター、荷物持ちの売り込みだよ。大方奴隷の子供を使って、冒険者達の荷物を持たせて稼いでんだろうよ」
「うっへぇ~、最悪」
「……人とは、なんと恐ろしい」
「ま、そうだな。さて、行くぞ」

 ダンジョンの一階に入りずんずん下の階層に進んで行く。
 1~10階層までほぼ、ゴブリンにスライムしか出て来ないって言ってだけど、本当に弱い魔物しか出てこない。 ………退屈だ。
 1階~10階層は、洞窟みたいな岩場でゴツゴツした足場で歩くのが厄介だった。
 でもトラップも無くて本当に……なんだろう簡単過ぎる。

 ここで苦戦する冒険者って……ああ、駆け出しの冒険者達か……。だからここまでの階層は、ランクの低い冒険者多かったのか。

 で、浅い階層でレツ達を出すわけにも行かず、ギルマスに聞いてた40階層から下の階に行くまでレツ達を出すのは控える事にした。

 なので、三人でサクサク魔物を倒してドロップアイテムだけを回収しながら20階まで進んだ所で一休み。
 取りあえず、10階層のボス(キングスライム)をクリア後、転移の間にある休憩ポイントで、適当に場所を確保してそこにシートを敷いて、三人で座ってお茶と軽い軽食タイム。

 休憩ポイントには、ボス部屋クリアした冒険者パーティーがなん組か残ってる。
 早く移動してくれれば良いのに…なんでか居るんだよなぁ~。

「コソ(兄ちゃん、何でここに人が多いのかな?あっそれ、俺も食いたい!)」

 シートの上にテーブルを出し軽い軽食を広げる。

「コソ(知らん。でも休んでるのは確かだろ? ホレお前の分もあるから…焦るな!)」
「コソ(なんで小声で話してるのだ? 我は、おちゃを……)」
「コソ(茶ね……おかわりか?)」

 そうベルゼスに言われて俺は、ベルゼスのグラスにお茶を注ぎ入れる。

「……ズズズッ」

  と茶を飲んでるベルゼスだけど…なんかじじ…くさっ!

「コソ(で、兄ちゃん……もぐ……こ、この後どうすんの?)」
「コソ(……この後…取りあえずもう少し下まで行ったら、今日はそこで一晩休んでまた下に潜ろうかと思ってる)」

 何せここの雰囲気がめっさ、宜しく無いのでそうそうにここから離れるののが妥当……。

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