母親に家を追い出されたので、勝手に生きる!!(泣きついて来ても、助けてやらない)

いくみ

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第8章

第9話 それは、見知ったデブだった。(笑)

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 それから3日、無人島の拠点で魔物狩りを楽しんだ俺たちは(楽しんだのは樹里だけだが)ベルゼスとレツ達を拠点に留守番させて、カイトだけを連れてリリデアの町に戻っていた。

「もう!兄ちゃん!空、怖かったんだからね!もっとゆっくり飛んでも良いんじゃないかな?」
「フフン、慣れろよいいかげんにさ?お前面倒だぞ?」
「……ふん!んで、ギルドに行くの?」
「ったり前だろ!」

 リリデアの町付近に下り立った直後からカイトの愚痴が止まらない。
 カイトが、ぐちゃぐちゃ煩いので適当に返事をして二人で町中を歩いてたんだが……。

「なら、早く………ちっ!(会いたく無い奴と会っちゃったよ)」

 カイトの舌打ちで、何かと思い目を凝らして前を見れば…数メートル先に見知ったシルエット。

 それは、見知ったデブ。

 だが……あれ増量してねぇか?顔が肉で埋まりかけてるし!お付の子分が痩せてるから余計にデブを強調してて、本人の顔が分からなく為ってもいても直ぐにマイクだと分かったんだよね。

 本当に…フェルトさん残念だよ。

「あぁ……あのデブか」
「うん……」

 俺とカイトは見えてるから誰だか分かってる。
 けど向こう(マイク)は未だ、俺らを認識してないのか?未だ気づいてないな……。
 だったら【認識阻害インビジブル】を掛けるか……。

「カイト?」
「なに」
「気にせず歩いて行こうぜ?ギルドに、入ったら認識阻害は解くから」
「え?なに?(言ってる意味が分からないんだけど?)」
「今な、俺とお前に認識阻害掛けてる。だから、あのデブ達には俺らを認識出来てないんだよ」
「マジ?」
「マジだ!フフフ!」
「兄ちゃんありがとう!あいつとは、もう口も利きたく無いんだよ」
「分かってるよ、俺も無理だしな。さて行くか」
「うん!」

 カイトと二人で、デブとすれ違いギルドの中に入る。受けるぅ~全く気付かないぞこいつ。

 ギルドの中に入ると同時に魔法を解除!
 これでデブと話をせずに済んだ。
 しかし…あのデブ何処に行くんだろう?

「カイト、カウンターに行くぞ」
「兄ちゃんそれは、僕に任せてよ!」

 カイトは慣れた足し取りでカウンター近付くと、受付の女性に話し掛けた。

「すみません、ギルマス呼んでくれません?」
「はあ?あの……事前にお約束してるのですか?」
「してるよ。ほら、カイトが来たと言ってくれれば分かるよ」

 冒険者カードを見せれば……話しが早い。

「………これは失礼しました。いま呼んで参りますのでお待ち下さい」

 おお、カイトで話が通ったね。
 ギルマス……サクサク手続きすんで助かるよ。
 ………本当にな。
 何処の町でも、受付で騒ぎに為るからな。
 そんなことを思いながらカイトに話し掛ける。

「カイト、ギルマス呼んでくれるのか?」
「うん、すんなりね。ギルマス何かしたのかな?」
「まぁ、そうだろうよ。じゃないと、こんなにすんなりと話しは進まないだろ?」
「だよね……はぁ……」
「なんだよカイト…俺の苦労が分かったのか?」
「まぁ、ねぇ~。この町を出てから、他のギルドの洗礼を受けてるからね」
「そうかよ!」

 カイトの頭をくしゃくしゃと掻き回せば痛いと言って抵抗するカイト。

「痛いよ!兄ちゃん!僕なりに学習はしてるんだよ…」

 学習はしたよと苦笑いをするカイトだ。
 おお、俺の苦労も少しは分かったのか。
 これは離れて良かったのかな?怪我の功名とでも思ってれば良いのかな。
 にしては6年の月日は………要らんだろ?

 すると、ギルマスがいつの間にかやって来てたらしく俺達に声を掛けてきた。

「つ、待たせたな?樹里、カイト。上に上がってくれ。にしてもなにしてんだよ!じゃれてるんじゃねぇよ!」
「いいだろ?別に迷惑掛けてないぞ!」
「そうそう、俺ら兄弟のスキンシップだよ!」
「「なぁ~」」
「いいから上に上がれ!」

 ギルマスに急かされて、二階に上がりギルマスの執務室に通されてソファーに座った。


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