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第8章

第6話 言わないけどな!

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 釣りが苦手なカイトに、釣りを任せ時間を潰して貰うと俺は早速家を出す作業を始める。
 先ずは、広げる場所の整地を始めた。
 地面に生えた雑草、木の根や小石の除去からしないと為らない。

 川から少し離れた場所の地面に手を触れて、魔法を使い整地をすると今度は、川が溢れ出た時の為に整地した土地を少し高くしてその上に家を乗せた。

【ドーン】と大きな音をさせると森中に大きい音が響いた。

 おっと、静かにしないと…寝てる魔物が起き出すぞ!と。

 マップを、確認すると……あっやべ!
 周辺で寝てた魔物が起き出してるな!
 これは…ベルゼスやレツ達を戻さないとなぁ…。

 ……と、ぼんやり考えながら家を中心に100m位の広さの庭を作りその庭と森の境に柵を立てる。

 そして、その範囲に結界を張り俺達だけが出入り出来るように、結界には細工を施してそれ以外は虫の一匹も通さない様にした。
 俺は虫は苦手だからね……そこは念入りに。

 それから庭の一角に、魔法で土を耕して畑を作り種を撒いて野菜作りだ。
 それから家の中に入り、中を確認してどこも破損が無かったので作業を終わりにした。

「よしこれで終了!(おーいベルゼス!レツ達連れて戻ってこい!)」
「《了解したが少し待ってて欲しい!》」




△◆△◆△◆☆



一方カイトは……。


 ぶっぶっと文句を呟きながら、釣り糸を川に投げ込みボンヤリ釣り糸を眺める。

 そんな時にカイトの後ろから【ドーン】と大きな音がした。

「うお!あ、焦った…。ビ、ビックリしたぁ~」

 驚いて音のした後ろを振り向けば、見覚えのある家が建っていた……。

「ああ、兄ちゃんね……。全く人が釣りしてんのに、驚かすなよ!それに、あんな大きな音を立てたら、魚が逃げるっうの!また魚が釣れないじゃんよ!」

 迷惑だな!もう……フフフ。

 怒りながらも楽しんでる自分がいるのは、気のせいではないよなぁ……。
 ほんの少し前まで、兄ちゃんと離れてたなんて信じられないくらい今は快適な暮らしだ。

 いくら兄ちゃんから、金を預かってたとはいえ勝手に金を使う気には為れなかった。
 だから6年も不便な暮らしをしてたカイトだ。

 全くさ、自分はあんな都合の良い魔法は一つも使えないのにホイホイ気軽に魔法を使いやがって!羨ましいなもう!(言わないけどな!)
 俺なんて、空も飛べないし家なんて持てないし、土魔法でさえあそこまでは出来ない。
 精々自分の魔法では、地面に穴を開ける位の魔法しか使えないのだから。

 そもそも魔力が足りないんだ。

 魔物を一匹倒すのも、ゴブリン一匹位は余裕があるけどさ集団若しくは、ゴブリン以外の魔物は時間掛かるし人手も居るのだ。

 それなのに、兄ちゃんとまた暮らし始めたら魔物なんて一瞬の瞬殺だ!
 本当に……凹むよなぁ~。



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