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第6章

第5話 束の間の再会 2

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 大技をぶちかました人物が、冒険者達に声を掛けた。

「よう!餓鬼ども、危なかったが……大丈夫か?そこのへばってんのは、生きてんの?まぁ、俺には関係ないがな?」

 声を掛けるとタンク役の餓鬼が返事を、してきた。

「は、はい!大丈夫です!助けて貰って、ありがとうございます」
「あ~べつに?見掛けたからさっ!邪魔したな?大丈夫なら…まっ、頑張れよ。仲間割れしてたら死ぬぞ?ちゃんと連携しないとな?じゃあな!餓鬼ども」

 それだけ言って、その場を離れようとしたら。
 突然剣士の……確かカイトと、呼ばれて居た餓鬼に呼び止められる。なに?うぜぇ。

「ま、待って!」
「んあ?なんだ餓鬼?」
「お、俺だよ!兄ちゃん探してたんだ!」
「………誰?お前……探してた?何で、だれを?」
「お、俺だよカイトだよ!」
「………悪い。人違いじゃね?それか目が悪いのか?どっかの…神殿でも行って目を治して貰えよ?じゃ俺急ぐから」

 すたすたと歩いて、その場から離れて行こうとするジュリをカイトは追いかけて、ジュリの腕を掴んで食い下がる。

「兄ちゃん!どうしたんだよ!忘れちゃったのか?(絶対兄ちゃんだと、あの時別れた人だ!
 俺が酷いこと言ったから、兄ちゃん俺の事忘れたのか?)」
 
「…つ!餓鬼、いい加減にしろよ?俺はお前なんか知らねぇし?見覚えもねえよ!ってかお前に、兄ちゃんなんて呼ばれる筋合いもねぇ!俺には身内なんて居ねえよ!しっけぇ餓鬼が!」

 離せ!と言ってカイトの手を振り払う。
 が、捕まれた腕が振り払えない!
 ジュリは鬱陶しくなり、どうするか考える。

「いい加減離せよ?餓鬼!人が助けて遣ったのに!」
「嫌だ!ここで会えたんだ、絶対離さない!なあ、兄ちゃん、レツ元気か?レオは?あいつら大きくなった?」
「なんだお前……気味悪ぃ。何でそんなこと知ってる?ってかいい加減離せよ!」
「嫌だよ!兄ちゃん離したら人目も構わずに飛んで逃げるだろ?」

 なんで、そんなことまで知ってる?
 何だってんだこの餓鬼は……気味が悪い。

 ってか何でこいつレツ達の事を知ってんだ?
 レツ達の事は誰にも教えてないし、知って?るのは神さん達だけだよな?

 まあ良いや知ってても、大した事ではないだろう。

「あ~なんだか知らんが?んでなに?俺に何か用なの?餓鬼」
「餓鬼餓鬼言わないでよ!俺はカイトだよ!」
「ん~なら、カイトくん?なに?早く用件言ってくれるかな?」

 んで、腕を離しやがれ!

「俺さ!あの時の事謝りたくて!そんで町に戻って兄ちゃんと、あの家で暮らしたいんだ!兄ちゃんとさ!探すのにもっと時間が掛かるかな?とか思ったけど。ここで会えた!兄ちゃんから預かった金も、ほとんど使ってないんだ!ギルマスに預けててさ!」

 ヘヘヘと笑うが……。
 …………困った、此の餓鬼の言ってる意味が1ミリも分からねぇ……なんだ此の餓鬼?
 俺に謝る?町で暮らす?
 金を使ってない?ギルマス?誰だよそれ?

 ってことで、ここは出任せ!言い逃れして逃げる。

「あっ……ああ、べつにあの事は、気にしてねぇよ?それに金は、お前に俺がやったんだろ。なら返す必要もねぇ!それから、俺は町では暮らせねえ。チビ達が居るからな。んでギルマス?には宜しく伝えてくれよ。カイトくん?ならアバヨ!腕離せ!」

「じ、じゃ兄ちゃん今何処に居んの?」
「それを教えて、どうすんの?お前」
「兄ちゃんとまた、一緒に」
「なにそれ?俺は独りが楽なんだ。それを邪魔すんなよ。ほら離せよ、いい加減にしやがれ!じゃないとぶち殺すぞ!」

 捕まれて居ない反対の手の平に、魔力を溜めて水を出すとそれをフワフワと浮かせる。

 用はウォーターボールを、ぶっ離すぞゴラだ!

「カ、カイト!その兄さんヤバイから逃げようぜ!魔物も回収するんだ!止めろよ!カイト人違いだよ!カイト」
「で、でも間違いないんだよ!従魔の名前も合ってるんだ!間違いないよ!」

 うぜえ……こいつ何なんだよ!
 さっきお前が言った話を、認めたらろ?
 なに未だなにかあんのかよ!

 勘弁してくれよ!

「なら、死にたいんだな?しつけぇ!餓鬼!【ウォーターボール!】」

 餓鬼目掛けてぶっ離した!

 そして、その衝撃で後ろに下がった餓鬼の手が俺の腕から離れ、その隙に空に舞い上がり瞬間移動で家に戻った。

 ふぅ~奇妙な餓鬼だった。

 何が謝るだ!勝手に俺から離れた癖に!
 餓鬼が!

 あ~気味悪いぜ!っくよ!

 ん?離れた……なにが?
 わからん…関係ねぇな、ふん!


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