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第1章

第11話 森を抜けて

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 鏡を出して子どまに自分の姿が変わったのを見せる。

「………う、うわぁ!誰これ?」
「君だよ? ハハハ!自分を見たのは始めてかい?」
「………うん」
 
 さて、移動する用意が出来たな。
 なら、ここから離れるか。
 商人がこの子を探しに来てるかも知れないしなぁ~奴隷商人に見つかっても、それはそれでトラブルに為るし…。

 厄介な……

「ねえ?君?」
「……ん?」
「君……名前無いんだっけ?」
「……な、名前?」
「そうそう、名前。君じゃなんかなあれだろ?だから俺が名前付けてもいいかな? 俺も君だと呼びにくいからさ」
「………?」

 不思議そうに、キョトンとしたまま動かない。
 うぅ~んなんとも……。
 ………そもそうか……意味がわからないから返事のしようもないのか?
 これは困ったな……けどここでまごまごしてると遅くなってここに一泊なんて事にはしたくないし……えい!適当に子どもに名付けてここから移動だ!

「なら……そうだね君は……今日から……そう!カイトってどうだ?」
「カイト?」
「そう!カイトだ!」
「ボク、カイト?」
「そうだよ、君は今からカイトだ!」

 カイト?カイト………?と、ぶつぶつと自分の名前を覚えるように呟く。

「気に入ったかい?カイトって名前は」
「うん!お兄ちゃん。ボク、カイト」

 こ、これは自己紹介なのか?
 それなら……

「俺はジュリって言うんだ」
「それが、お兄ちゃんの名前?」
「そう、ジュリだ」
「………ジュリ兄ちゃん?」
「そう、ならカイトは今日から俺の弟だ!カイト!」
「うん!ジュリ兄ちゃん!」

 ニコリと笑ったカイトは嬉しそうだ。  
 ほっ!やっと笑ったよ……。

「ならここから動くぞ」
「うん」
「なら、俺に捕まれよ…ほら?」

 カイトはすごすごと俺に近寄って来るので、無理やり引き寄せてがっちりと抱いた。

 抱っこしてカイトに声をかける。
 最初は驚かせないように目を瞑らせる。

「カイト目を瞑ってろよ?」
「うん」

 カイトは目をギュッと力一杯瞑る。
 そんなに力を居れなくても良いが……?

「なら、フライ!」

 俺はふわりと空に飛び上がりカイトに声を掛ける。

「ほらカイト!目を開けてご覧?」

 瞑った目をカイトはゆっくりと開ける。

「うわぁ~凄い!ジュリ兄ちゃん!これ空……飛んでるの?」
「そう、飛んでるのだ!ハハハ!凄いだろ?怖くないか?」
「うん!すご~い」
「ならいくか?」
「うん!」

 さて、どこに行こうかな?

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