上 下
1 / 20
第1章 

第1話 悪役令嬢と俺の関係。

しおりを挟む

 トントンと扉をノックする音がして、失礼しますと声が掛かる。
 執事のハリスが部屋に入ってくると、ハリスの後ろから愛しのサリアが、チラリと横目に入った。

「ごきげんよう?ラインハルト様」

 デスクの書類から目を離して、サリアを見る。

「あぁ、サリア!待っていたぞ。ゆっくりして行ってくれ?」
「ラインハルト様。失礼しますわ」
「少し、座って待っていてくれ。直ぐに終わらせる」

 書類に目を戻して仕事を再開する。

「あら?お忙しいのですか?」

 そう言いながら、ソファーにサリアが座る。

「そうだね?あとちょっと………」

 よしこれでいいかな?漏れはないか………。

「よし!終わりだ。サリア、悪いね?お待たせ」
「いえ、お仕事中に申し訳ありません。お邪魔してしまって」
「気にしなくても良いよ?直ぐに終わらせたしね?それにしてもサリア、城での王子妃の勉強はどう?辛くないか?」

「いえ、大丈夫ですわ。皆様良くして下さいますわ」
「それなら良いが?ハリス、サリアに何か飲むものを」
「承知いたしました」
「フフフ。ラインハルト様は、相変わらずですのね?」
「何が可笑しいのだ?サリア」
「いえ、何でも御座いませんわ?ですが本日は何か御座いましたの?急なお呼びでしたわね?」
「急だったかな?私は、サリアに会たかったのだが」
「まぁ?そんな事でしたの?」
「そんな事、とはなんだ?私が会いたいのはいつもサリアだけだよ?」

 そう言いながら、サリアの隣に座り首筋を撫でる。

「まぁ、ラインハルト様ったら……くすぐったいですわ」

 首に手を当てて、クスクス笑う。
 ……………ああ、笑う姿もなんて可愛いのだろうか。天使だ!

「ま、他の用事もあったのだよ?君の誕生日のパーティーだが、招待する方達は決まったのかい?」
「ええ、ラインハルト様。ちゃんと、決まりましてよ?」
「そうか、それは良かったね?君の誕生日まであと1週間か……待ち遠しいね?それに学園の卒業もだね?サリアもっと側へおいで?」

 さらに引き寄せてサリアを抱き締め、首筋に今度はキスを落とす。

「フフフ、ラインハルト様くすぐったいですわ」
「良いだろ?ここには私と君だけだよ?」

 そう言って、サリアを抱き締めた。
 この可愛いご令嬢は私の婚約者で、辺境伯家の長女サリア・アルマンド嬢だ。
 私の二つ下の17才で来週には、誕生日を迎え18才に成り。春には学園を卒業し夏を迎える前には晴て、私の妻に成る予定だ。

「でも、恥ずかしいですわフフフ。それよりもラインハルト様?」
「ん、どうした?」

 抱き締めていた腕を緩めて彼女の顔を見る。
うん!激かわである。

「学園に、何か………おかしな方が転入して来ましたのよ?」

 冬の寒いこの時期に?

「変だね?こんな時期にかい?」
「ええ……私の一つ下の学年ですから、お伺いしただけですけれど………。何故か、殿方がその方の側に行くと。虜に成ってしまうとの事ですわ。虜になった殿方には、婚約者も居られるのに、婚約者を袖にしているようで、ご令嬢が泣いておりますわ」
「………そんな事が、あるのかい?不思議だね?」

しおりを挟む
感想 3

あなたにおすすめの小説

お前じゃないと、追い出されたが最強に成りました。ざまぁ~見ろ(笑)

いくみ
ファンタジー
お前じゃないと、追い出されたので楽しく復讐させて貰いますね。実は転生者で今世紀では貴族出身、前世の記憶が在る、今まで能力を隠して居たがもう我慢しなくて良いな、開き直った男が楽しくパーティーメンバーに復讐していく物語。 --------- 掲載は不定期になります。 追記 「ざまぁ」までがかなり時間が掛かります。 お知らせ カクヨム様でも掲載中です。

婚約破棄騒動に巻き込まれたモブですが……

こうじ
ファンタジー
『あ、終わった……』王太子の取り巻きの1人であるシューラは人生が詰んだのを感じた。王太子と公爵令嬢の婚約破棄騒動に巻き込まれた結果、全てを失う事になってしまったシューラ、これは元貴族令息のやり直しの物語である。

神に異世界へ転生させられたので……自由に生きていく

霜月 祈叶 (霜月藍)
ファンタジー
小説漫画アニメではお馴染みの神の失敗で死んだ。 だから異世界で自由に生きていこうと決めた鈴村茉莉。 どう足掻いても異世界のせいかテンプレ発生。ゴブリン、オーク……盗賊。 でも目立ちたくない。目指せフリーダムライフ!

転生貴族のスローライフ

マツユキ
ファンタジー
現代の日本で、病気により若くして死んでしまった主人公。気づいたら異世界で貴族の三男として転生していた しかし、生まれた家は力主義を掲げる辺境伯家。自分の力を上手く使えない主人公は、追放されてしまう事に。しかも、追放先は誰も足を踏み入れようとはしない場所だった これは、転生者である主人公が最凶の地で、国よりも最強の街を起こす物語である *基本は1日空けて更新したいと思っています。連日更新をする場合もありますので、よろしくお願いします

男子高校生だった俺は異世界で幼児になり 訳あり筋肉ムキムキ集団に保護されました。

カヨワイさつき
ファンタジー
高校3年生の神野千明(かみの ちあき)。 今年のメインイベントは受験、 あとはたのしみにしている北海道への修学旅行。 だがそんな彼は飛行機が苦手だった。 電車バスはもちろん、ひどい乗り物酔いをするのだった。今回も飛行機で乗り物酔いをおこしトイレにこもっていたら、いつのまにか気を失った?そして、ちがう場所にいた?! あれ?身の危険?!でも、夢の中だよな? 急死に一生?と思ったら、筋肉ムキムキのワイルドなイケメンに拾われたチアキ。 さらに、何かがおかしいと思ったら3歳児になっていた?! 変なレアスキルや神具、 八百万(やおよろず)の神の加護。 レアチート盛りだくさん?! 半ばあたりシリアス 後半ざまぁ。 訳あり幼児と訳あり集団たちとの物語。 〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜 北海道、アイヌ語、かっこ良さげな名前 お腹がすいた時に食べたい食べ物など 思いついた名前とかをもじり、 なんとか、名前決めてます。     *** お名前使用してもいいよ💕っていう 心優しい方、教えて下さい🥺 悪役には使わないようにします、たぶん。 ちょっとオネェだったり、 アレ…だったりする程度です😁 すでに、使用オッケーしてくださった心優しい 皆様ありがとうございます😘 読んでくださる方や応援してくださる全てに めっちゃ感謝を込めて💕 ありがとうございます💞

俺だけLVアップするスキルガチャで、まったりダンジョン探索者生活も余裕です ~ガチャ引き楽しくてやめられねぇ~

シンギョウ ガク
ファンタジー
仕事中、寝落ちした明日見碧(あすみ あおい)は、目覚めたら暗い洞窟にいた。 目の前には蛍光ピンクのガチャマシーン(足つき)。 『初心者優遇10連ガチャ開催中』とか『SSRレアスキル確定』の誘惑に負け、金色のコインを投入してしまう。 カプセルを開けると『鑑定』、『ファイア』、『剣術向上』といったスキルが得られ、次々にステータスが向上していく。 ガチャスキルの力に魅了された俺は魔物を倒して『金色コイン』を手に入れて、ガチャ引きまくってたらいつのまにか強くなっていた。 ボスを討伐し、初めてのダンジョンの外に出た俺は、相棒のガチャと途中で助けた異世界人アスターシアとともに、異世界人ヴェルデ・アヴニールとして、生き延びるための自由気ままな異世界の旅がここからはじまった。

僕の秘密を知った自称勇者が聖剣を寄越せと言ってきたので渡してみた

黒木メイ
ファンタジー
世界に一人しかいないと言われている『勇者』。 その『勇者』は今、ワグナー王国にいるらしい。 曖昧なのには理由があった。 『勇者』だと思わしき少年、レンが頑なに「僕は勇者じゃない」と言っているからだ。 どんなに周りが勇者だと持て囃してもレンは認めようとしない。 ※小説家になろうにも随時転載中。 レンはただ、ある目的のついでに人々を助けただけだと言う。 それでも皆はレンが勇者だと思っていた。 突如日本という国から彼らが転移してくるまでは。 はたして、レンは本当に勇者ではないのか……。 ざまぁあり・友情あり・謎ありな作品です。 ※小説家になろう、カクヨム、ネオページにも掲載。

異世界巻き込まれ転移譚~無能の烙印押されましたが、勇者の力持ってます~

影茸
ファンタジー
勇者召喚に巻き込まれ異世界に転移することになった僕、羽島翔。 けれども相手の不手際で異世界に転移することになったにも関わらず、僕は巻き込まれた無能と罵られ勇者に嘲笑され、城から追い出されることになる。 けれども僕の人生は、巻き込まれたはずなのに勇者の力を使えることに気づいたその瞬間大きく変わり始める。

処理中です...