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第1章
第1話 悪役令嬢と俺の関係。
しおりを挟むトントンと扉をノックする音がして、失礼しますと声が掛かる。
執事のハリスが部屋に入ってくると、ハリスの後ろから愛しのサリアが、チラリと横目に入った。
「ごきげんよう?ラインハルト様」
デスクの書類から目を離して、サリアを見る。
「あぁ、サリア!待っていたぞ。ゆっくりして行ってくれ?」
「ラインハルト様。失礼しますわ」
「少し、座って待っていてくれ。直ぐに終わらせる」
書類に目を戻して仕事を再開する。
「あら?お忙しいのですか?」
そう言いながら、ソファーにサリアが座る。
「そうだね?あとちょっと………」
よしこれでいいかな?漏れはないか………。
「よし!終わりだ。サリア、悪いね?お待たせ」
「いえ、お仕事中に申し訳ありません。お邪魔してしまって」
「気にしなくても良いよ?直ぐに終わらせたしね?それにしてもサリア、城での王子妃の勉強はどう?辛くないか?」
「いえ、大丈夫ですわ。皆様良くして下さいますわ」
「それなら良いが?ハリス、サリアに何か飲むものを」
「承知いたしました」
「フフフ。ラインハルト様は、相変わらずですのね?」
「何が可笑しいのだ?サリア」
「いえ、何でも御座いませんわ?ですが本日は何か御座いましたの?急なお呼びでしたわね?」
「急だったかな?私は、サリアに会たかったのだが」
「まぁ?そんな事でしたの?」
「そんな事、とはなんだ?私が会いたいのはいつもサリアだけだよ?」
そう言いながら、サリアの隣に座り首筋を撫でる。
「まぁ、ラインハルト様ったら……くすぐったいですわ」
首に手を当てて、クスクス笑う。
……………ああ、笑う姿もなんて可愛いのだろうか。天使だ!
「ま、他の用事もあったのだよ?君の誕生日のパーティーだが、招待する方達は決まったのかい?」
「ええ、ラインハルト様。ちゃんと、決まりましてよ?」
「そうか、それは良かったね?君の誕生日まであと1週間か……待ち遠しいね?それに学園の卒業もだね?サリアもっと側へおいで?」
さらに引き寄せてサリアを抱き締め、首筋に今度はキスを落とす。
「フフフ、ラインハルト様くすぐったいですわ」
「良いだろ?ここには私と君だけだよ?」
そう言って、サリアを抱き締めた。
この可愛いご令嬢は私の婚約者で、辺境伯家の長女サリア・アルマンド嬢だ。
私の二つ下の17才で来週には、誕生日を迎え18才に成り。春には学園を卒業し夏を迎える前には晴て、私の妻に成る予定だ。
「でも、恥ずかしいですわフフフ。それよりもラインハルト様?」
「ん、どうした?」
抱き締めていた腕を緩めて彼女の顔を見る。
うん!激かわである。
「学園に、何か………おかしな方が転入して来ましたのよ?」
冬の寒いこの時期に?
「変だね?こんな時期にかい?」
「ええ……私の一つ下の学年ですから、お伺いしただけですけれど………。何故か、殿方がその方の側に行くと。虜に成ってしまうとの事ですわ。虜になった殿方には、婚約者も居られるのに、婚約者を袖にしているようで、ご令嬢が泣いておりますわ」
「………そんな事が、あるのかい?不思議だね?」
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