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4.アレキサンドライトの輝き
8.後始末 4、5日目(西部属領~北都へ)
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翌朝、目が覚めた僕達は、着替えやシャワーなどの身繕いと、軽い朝食をとった後に湖の島から離れました。もちろん、環境に配慮して汚水や残飯などは地中に埋めましたよ?
その後、午前中は北部属領や北部領(クラウディウス公爵領を中心とする領)のルキウス教会から、ドローンを回収します。
「見た所、『黒死病』の影響は少ないようですわね」
「広くて自然と調和がとれた良い場所です~」
イリスさんとユーリアちゃんが呟きますが、北部領は『エリーゼ』さんが基本方針を立てて運営されている地域ですからね。あの才女達の指示に従っているのであれば、美味く運営出来ているのでしょう。
北都『トラキヤ』のクラウディウス侯爵家上空では、ユイの『風在鬼』にエリーゼさんへの手紙を託し、僕たちは補給もそこそこに西部属領を目指します。なにせ、既に4日目ですからね。帰還の時間を考えると、残り時間は2日ありません。今日は西部属領の教会を回りきってしまいたい処です。
西部属領は、この一ヶ月余りの期間で更に荒れ果てていますね。上空から見えるのは、死と腐敗・腐臭に満ちた死の世界といって良いでしょう。時折、街道や野原に蠢くものが見えますが、大抵はアンデッドです。争う人影は、アンデッドと魔獣や魔物。人々は、都市の片隅で飢えと絶望から暗い顔をしています。
しかし、場所によって大きな差が出始めてきてもいました。大半の教会は荒れ果てて、その周囲の町や村も荒れ果て、アンデッドが済む領域と『黒死病』の温床となっていました。
その中で幾つかの街は、教会から救い出した、魔法使いやルキウス教以外の神官などの力を借りて、彼らの支配下にあったアンデッドの消滅と、その他のアンデッドの討伐が行われ、魔獣・魔物を遠ざける呪印を街の周囲や耕作地へ展開し、最低限の食料需給体制が構築されています。
もっとも、多くは教会を襲撃した際に、囚われていた魔法使いや聖職者も、教会関係者ともども殺してしまい、アンデッドが残ったままになって滅びてしまった町や村も多いのですけどね。一時の感情に身をゆだねて、復讐心などから教会を襲った者達の結末なのですが……
イリスさんも、ユイもさすがに押し黙っていますね。暫くの間、機内は次の目標を示す僕の声と、外部環境の数値を読み上げるエマ、機体の状況を把握しつつ操縦するジェシーの声だけが響いています。
ああ、独り例外がいましたね。イリスさんは例外で、エマに指示をだしてあちこちの撮影を行っています。
「国が滅びつつある状況と『黒死病』の蔓延の、貴重なサンプルなんですのよ。いちいち生理的な嫌悪に拘ってなどいられませんわ」
イリスさんはそう言って情報収集に余念はありません。ユイは機体に腐臭が染み付くような気がするといって、『32卦.光護陣』を機体に展開したあとはぐったり横になっています。ユーリアちゃんもユイと同じかとおもって見てみると、ただ熟睡しているだけでした。以外に肝が太いですよね、ユーリアちゃんは。
移動と回収を繰り返し、安全な場所を見つけて野営&食事を取りますが、さすがに今日は会話が盛り上がりません。
「そういえば、ユーリアちゃんは人○ゲーム知らないんじゃありませんか?」
ユイの一言で、興味を示すユーリアちゃんに、仕方ないなぁと言う風情で、撮影された写真の整理を止めるイリスさん。
フロア中央のテーブルに、収納から取り出したボード等を設置します。面倒なお金や土地の領主権などは個人毎のデータが画面に表示されますので、一目瞭然です。
「折角なので、今日は通常版じゃなくて、幸福終了版にしましょうね。逆に暗黒版で深く落ち込むのもありですけど」
ユイはそういうと僕に向けて片目を閉じてウィンクしてきます。むぅ、この世界にそんな仕草ありましたっけ? 美少女がするとなかなかの破壊力ですね。僕は設定を変更して、幸福版に仕様を変更します。
幸福版は、不幸になるマスは減少し、幸せ方面のマスが増えます。注意しないと子沢山になると、学費などの都合で貧乏になりますけどね。
エマ、ジェシーも加わって、6人の乙女でワイワイするゲームはなかなか楽しい物ですね。2戦目は最下位に対してトップを取った人が罰ゲームをさせましょうという事になり、ユイとユーリアちゃんが妙に真剣になります。これは、最下位になると危険な香りがしますね。必然的に僕も真剣になりましたので、1戦目とは違った雰囲気となります。
結局、ゴールした順位は、イリスさん、ユーリアちゃん、エマ、僕、ユイ、ジェシーとなりましたが、全員がゴールした後に引く最後のチャンスで、イリスさんが大ファンブル。
大多数の領土を、ユーリアちゃんにとられてしまいます。結局これによって、ユーリアちゃんが問答無用のトップに躍り出て、最下位はジェシーとなりました。
ユーリアちゃんは僕が最下位でなかった事を悔しがりましたが、結果は結果ですもんね。結構な時間になったので、みんなでさっさと簡易ベッドに入ります。ユイの機転のお陰で、昼間の陰惨な光景は綺麗さっぱり頭から抜け落ちたのでした。
翌日の朝、僕は息苦しくて目を覚まします。そして昨夜ベッドに入ったときと見える風景が違う事に驚きます。至近距離ですぅすぅと寝息が聞こえて、顔を見回した僕の隣には天使の寝顔が……
僕の全身が硬直しますが、そっと起きようにも、ユーリアちゃんの右手と右足は僕を抱え込むようになっており、僕は抱き枕状態ですよ。何故こうなったかが判らず、ジタバタしてる最中に、ユイとイリスさんが目を覚まし、僕達の状況をみると顔を引き攣らせます。
「ちょっと、僕は知りませんよ? 何故こうなってるんです?」
僕の声で目を覚ましたユーリアちゃんは、僕を抱きしめている事に気付くと、ふにゃりと顔を崩します。イリスさんとユイが更に盛大にひきつりますが、そこに冷静な声が聞こえます。
「カルセドニー村では、ユイとイリスがクロエを抱いて寝ましたので、昨夜夜半からユーリアにクロエを寝かしつけてもらいました。これで、皆さん平等です」
……犯人はエマですか。平等と言われた事に納得したユイは普通に戻りましたが、イリスさんは何かブツブツ呟いてますよ? まあ、平和裏に終わったので僕はとりあえず満足です。
この日も、西部属領の残りの教会と、西部領、帝都などの教会でドローンの回収を終えます。幸いにも誤作動していたのは、ゾムニの一機だけのようで、他では怪談話などなく静かな様子です。ただ、やはり『黒死病』の影響は大きいようで、あちこちの町で黒煙が上がっています。
空中にいる僕らは、なんとなく燻されてる気がしますので、そそくさと作業を終えて、再び北都『トラキヤ』の上空から、クラウディウス公爵邸を確認し、受け入れ可能時の合図とした黄色いハンカチをテラスに縛ってあるのを確認しました。
その後、郊外にDM2を移動します。その後、陸路で『トラキヤ』に入り、守衛さんを通してレーナさんに連絡をします。今回は武装していませんので、問題なく馬車に乗り公爵邸へ。
僕は二度目になりますが、他の5人は初めての『トラキヤ』訪問なので、レーナさんは馬車をゆっくり走らせて、街を案内してくださいました。大陸公用語は魔法学院でも勉強はしますので、多少公用語では伝わりにくい事がありますが、レーナさんの帝国語での説明を、僕がアレキサンドリアでの公用語になおして伝えます。僕も前回は観光したわけでもなかったので、レーナさんの観光案内は楽しめましたよ。
公爵邸の門をくぐり、馬車でエリーゼさんの私邸前まで向います。今回もあくまでエリーゼさんの知人という形での来訪となりますので、とくに凝った出迎えなどは有りませんでしたが、フローラさんが待っているだけでも十分な歓迎でしょう。
案内された客間で待つことしばし、やがて主であるエリーゼさんが、ヘルガさんを伴い部屋に入ってきます。正面に立ったエリーゼさんに対して、僕は挨拶と来訪目的を話します。
「冒険者PT『アレキサンドライト』の、サブリーダーのイリスと申しますわ。パーティーではヒーラーを担当しております。この度はうちのリーダーのクロエがお世話を掛けたということで、ご挨拶に参りました」
イリスさんが流暢な大陸公用語で、エリーゼさんに挨拶しているのですが、気のせいでしょうかね? 二人の間に火花が飛び散ったような気がします。イリスさんが、それぞれの説明をしてくれますが、あれ? それってリーダーである僕の役目なんじゃぁ?
その後、午前中は北部属領や北部領(クラウディウス公爵領を中心とする領)のルキウス教会から、ドローンを回収します。
「見た所、『黒死病』の影響は少ないようですわね」
「広くて自然と調和がとれた良い場所です~」
イリスさんとユーリアちゃんが呟きますが、北部領は『エリーゼ』さんが基本方針を立てて運営されている地域ですからね。あの才女達の指示に従っているのであれば、美味く運営出来ているのでしょう。
北都『トラキヤ』のクラウディウス侯爵家上空では、ユイの『風在鬼』にエリーゼさんへの手紙を託し、僕たちは補給もそこそこに西部属領を目指します。なにせ、既に4日目ですからね。帰還の時間を考えると、残り時間は2日ありません。今日は西部属領の教会を回りきってしまいたい処です。
西部属領は、この一ヶ月余りの期間で更に荒れ果てていますね。上空から見えるのは、死と腐敗・腐臭に満ちた死の世界といって良いでしょう。時折、街道や野原に蠢くものが見えますが、大抵はアンデッドです。争う人影は、アンデッドと魔獣や魔物。人々は、都市の片隅で飢えと絶望から暗い顔をしています。
しかし、場所によって大きな差が出始めてきてもいました。大半の教会は荒れ果てて、その周囲の町や村も荒れ果て、アンデッドが済む領域と『黒死病』の温床となっていました。
その中で幾つかの街は、教会から救い出した、魔法使いやルキウス教以外の神官などの力を借りて、彼らの支配下にあったアンデッドの消滅と、その他のアンデッドの討伐が行われ、魔獣・魔物を遠ざける呪印を街の周囲や耕作地へ展開し、最低限の食料需給体制が構築されています。
もっとも、多くは教会を襲撃した際に、囚われていた魔法使いや聖職者も、教会関係者ともども殺してしまい、アンデッドが残ったままになって滅びてしまった町や村も多いのですけどね。一時の感情に身をゆだねて、復讐心などから教会を襲った者達の結末なのですが……
イリスさんも、ユイもさすがに押し黙っていますね。暫くの間、機内は次の目標を示す僕の声と、外部環境の数値を読み上げるエマ、機体の状況を把握しつつ操縦するジェシーの声だけが響いています。
ああ、独り例外がいましたね。イリスさんは例外で、エマに指示をだしてあちこちの撮影を行っています。
「国が滅びつつある状況と『黒死病』の蔓延の、貴重なサンプルなんですのよ。いちいち生理的な嫌悪に拘ってなどいられませんわ」
イリスさんはそう言って情報収集に余念はありません。ユイは機体に腐臭が染み付くような気がするといって、『32卦.光護陣』を機体に展開したあとはぐったり横になっています。ユーリアちゃんもユイと同じかとおもって見てみると、ただ熟睡しているだけでした。以外に肝が太いですよね、ユーリアちゃんは。
移動と回収を繰り返し、安全な場所を見つけて野営&食事を取りますが、さすがに今日は会話が盛り上がりません。
「そういえば、ユーリアちゃんは人○ゲーム知らないんじゃありませんか?」
ユイの一言で、興味を示すユーリアちゃんに、仕方ないなぁと言う風情で、撮影された写真の整理を止めるイリスさん。
フロア中央のテーブルに、収納から取り出したボード等を設置します。面倒なお金や土地の領主権などは個人毎のデータが画面に表示されますので、一目瞭然です。
「折角なので、今日は通常版じゃなくて、幸福終了版にしましょうね。逆に暗黒版で深く落ち込むのもありですけど」
ユイはそういうと僕に向けて片目を閉じてウィンクしてきます。むぅ、この世界にそんな仕草ありましたっけ? 美少女がするとなかなかの破壊力ですね。僕は設定を変更して、幸福版に仕様を変更します。
幸福版は、不幸になるマスは減少し、幸せ方面のマスが増えます。注意しないと子沢山になると、学費などの都合で貧乏になりますけどね。
エマ、ジェシーも加わって、6人の乙女でワイワイするゲームはなかなか楽しい物ですね。2戦目は最下位に対してトップを取った人が罰ゲームをさせましょうという事になり、ユイとユーリアちゃんが妙に真剣になります。これは、最下位になると危険な香りがしますね。必然的に僕も真剣になりましたので、1戦目とは違った雰囲気となります。
結局、ゴールした順位は、イリスさん、ユーリアちゃん、エマ、僕、ユイ、ジェシーとなりましたが、全員がゴールした後に引く最後のチャンスで、イリスさんが大ファンブル。
大多数の領土を、ユーリアちゃんにとられてしまいます。結局これによって、ユーリアちゃんが問答無用のトップに躍り出て、最下位はジェシーとなりました。
ユーリアちゃんは僕が最下位でなかった事を悔しがりましたが、結果は結果ですもんね。結構な時間になったので、みんなでさっさと簡易ベッドに入ります。ユイの機転のお陰で、昼間の陰惨な光景は綺麗さっぱり頭から抜け落ちたのでした。
翌日の朝、僕は息苦しくて目を覚まします。そして昨夜ベッドに入ったときと見える風景が違う事に驚きます。至近距離ですぅすぅと寝息が聞こえて、顔を見回した僕の隣には天使の寝顔が……
僕の全身が硬直しますが、そっと起きようにも、ユーリアちゃんの右手と右足は僕を抱え込むようになっており、僕は抱き枕状態ですよ。何故こうなったかが判らず、ジタバタしてる最中に、ユイとイリスさんが目を覚まし、僕達の状況をみると顔を引き攣らせます。
「ちょっと、僕は知りませんよ? 何故こうなってるんです?」
僕の声で目を覚ましたユーリアちゃんは、僕を抱きしめている事に気付くと、ふにゃりと顔を崩します。イリスさんとユイが更に盛大にひきつりますが、そこに冷静な声が聞こえます。
「カルセドニー村では、ユイとイリスがクロエを抱いて寝ましたので、昨夜夜半からユーリアにクロエを寝かしつけてもらいました。これで、皆さん平等です」
……犯人はエマですか。平等と言われた事に納得したユイは普通に戻りましたが、イリスさんは何かブツブツ呟いてますよ? まあ、平和裏に終わったので僕はとりあえず満足です。
この日も、西部属領の残りの教会と、西部領、帝都などの教会でドローンの回収を終えます。幸いにも誤作動していたのは、ゾムニの一機だけのようで、他では怪談話などなく静かな様子です。ただ、やはり『黒死病』の影響は大きいようで、あちこちの町で黒煙が上がっています。
空中にいる僕らは、なんとなく燻されてる気がしますので、そそくさと作業を終えて、再び北都『トラキヤ』の上空から、クラウディウス公爵邸を確認し、受け入れ可能時の合図とした黄色いハンカチをテラスに縛ってあるのを確認しました。
その後、郊外にDM2を移動します。その後、陸路で『トラキヤ』に入り、守衛さんを通してレーナさんに連絡をします。今回は武装していませんので、問題なく馬車に乗り公爵邸へ。
僕は二度目になりますが、他の5人は初めての『トラキヤ』訪問なので、レーナさんは馬車をゆっくり走らせて、街を案内してくださいました。大陸公用語は魔法学院でも勉強はしますので、多少公用語では伝わりにくい事がありますが、レーナさんの帝国語での説明を、僕がアレキサンドリアでの公用語になおして伝えます。僕も前回は観光したわけでもなかったので、レーナさんの観光案内は楽しめましたよ。
公爵邸の門をくぐり、馬車でエリーゼさんの私邸前まで向います。今回もあくまでエリーゼさんの知人という形での来訪となりますので、とくに凝った出迎えなどは有りませんでしたが、フローラさんが待っているだけでも十分な歓迎でしょう。
案内された客間で待つことしばし、やがて主であるエリーゼさんが、ヘルガさんを伴い部屋に入ってきます。正面に立ったエリーゼさんに対して、僕は挨拶と来訪目的を話します。
「冒険者PT『アレキサンドライト』の、サブリーダーのイリスと申しますわ。パーティーではヒーラーを担当しております。この度はうちのリーダーのクロエがお世話を掛けたということで、ご挨拶に参りました」
イリスさんが流暢な大陸公用語で、エリーゼさんに挨拶しているのですが、気のせいでしょうかね? 二人の間に火花が飛び散ったような気がします。イリスさんが、それぞれの説明をしてくれますが、あれ? それってリーダーである僕の役目なんじゃぁ?
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