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第五章 幸せマリアージュ

3、

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 棚から、ゲオルグがデザインしたという夜着を見つけ出し、ゲオルグに背中を向けて、夜着に着替える。ドレスを脱いだ瞬間、背後で息を呑む音がしたので、このような場所で着替える破廉恥さに、嫌悪されてしまったのかもしれない。
 不安になってきて、メリアは夜着に着替えるとすぐに、ベッドで胡坐をかいて座っているゲオルグの胸に飛び込んだ。
 ゲオルグは呆然としていたが、ハッと我に返るとメリアに口づけながら、ベッドに押し倒し、逃げられないよう自らの身体を押しつける。
 窓から明るい陽光が差し込むなか、堪えていたものが溢れるように激しく口づけを交わした。お互いの舌が絡んで響く唾液の音や、興奮滾る呼吸、夜着越しに触れ合う熱い肌が、勢いよく情欲を煽り、メリアはゲオルグの首筋にしがみついた。
 本番こそ不慣れだが、口づけは何度も受けてきたため、メリアも要領がわかりつつある。口をひらいてゲオルグの舌を受け入れ、自らも積極的にゲオルグの舌や唾液を吸う。

(あっ、んぅ)

 けれど、今日はこれまでの口づけよりも、なぜか頭がぼうっとしてくる。夜着越しに触れるゲオルグの肌が微かに動くたび、身じろぎしてしまうほど、感覚が研ぎ澄まされていた。

(なんか、へんっ、気持ちいい)

 ちゅく、と音をたてて唇が離れ、大きく息を吸う。つつ、と伸びた銀のような糸がお互いの唾液が、ぷつりと切れた。
 ゲオルグが、ほんのりと上気した頬でメリアを見下ろし、嬉しそうに微笑む。

「いやらしい顔をしている、可愛い」
「……だ、旦那様は、えっちな顔をされてます」
「ああ、これからすることを思うだけで、ここが、凄まじいことになっている」

 ぐり、と下半身を太ももに押しつけられて、硬くなった部分の熱さに目を見張る。先ほどからそこが反応してくれているのだ、と嬉しく思っていたけれど、あまりにも硬く大きくなっていることに驚いた。
 もどかしそうに軍服を脱ぐゲオルグに、メリアはそっと問う。

「痛い、ですか?」
「ああ」

 ゲオルグはあっさり頷き、メリアはごくりと喉をならす。
 私が頑張らないと。
 メリアは自分に言い聞かせると同時に、自らが望んでいたことでもあると理解もしていた。
 ずっと、激しく求められたかった。
 触れられない寂しさが、メリアの鬱屈とした思考に拍車をかけていたのだ。
 メリアは、夜着の前につているボタンを、外し始めた。
 二度目だというのに、緊張から指先が震えて、なかなかボタンをはずせない。ゲオルグが、驚いたような興奮を堪えるような、そんな目でじっと見降ろしていることもあって、いっそう、指先が縺れた。
 頬が熱くて心臓が大きく脈打ち、無意識に両膝を摺り寄せてしまう。
 なんとか最後のボタンを――お腹あたりにあるボタンを――外し終えると、震える指先で夜着の前開き部分をつまみ、ゆっくりと左右にひらいた。
 大きな胸がぷるんっとこぼれた。
 すでに尖端が主張し、赤く色づいているのが見えて、羞恥からメリアはこれ以上ないほどに頬を朱色に染めてしまう。
 そんな仕草が、ゲオルグの興奮を煽るだけとも知らずに。

「こ、このように、するものだと、聞きました」
「あぁ」

 ゲオルグから、熱い吐息が漏れた。

「綺麗だ、メリア。……私のメリア」

 ゲオルグは、壊れ物のように優しい手つきでメリアの胸をそっと撫でる。
弾力や大きさ、肌の触り心地を確かめるように、ごつごつとした手に愛撫されるたび、メリアは首をそらして、小さく震えた。

「美味しそうだな」
「え? あっ!」

 突起を吸われて、突然の快感に大きく身体が跳ねた。これまでの優しい手つきからは想像もつかない強引な愛撫に、嬌声が漏れる。
 咄嗟にゲオルグに頭を抱きしめるように掻き抱くと、メリアの求めに応えるようにゲオルグの愛撫はさらに激しいものとなる。
 空いている突起を指先だけでくにくにと強く摘ままれて、甘い疼痛に何度も身体を震わせた。気持ちよさにドロワーズが濡れるのを感じて、早く触れてほしいと、メリア自らゲオルグの昂りに身体を擦りつける。
 それは無意識の、本能の行動だった。

「っ、ふっ、本当に、きみはたまらなく可愛らしいっ」

 名残惜しく、ちゅうと吸いつきながら突起から顔を離したゲオルグは、先ほどよりも赤く色づいた先端を見て満足そうに笑う。
 情欲に滾る瞳に、メリアの身体が期待から震え、秘部から蜜が溢れた。
 メリアが望んだように、ゲオルグの武骨な手がドレスの裾をたくし上げて、ドロワーズの隙間から侵入してくる。
 ぬちゃ、と水音を響かせながら、ゲオルグの指が秘裂をなぞった。すでに充分溢れた蜜を指に絡ませながら膨らんだ花芽をいじられて、嬌声を漏らす。

「ん、あっ、そこぉ」
「ここがいいのか?」
「きもち、いい。指っ」

 メリアが望むまま、ゲオルグは花芽を強く刺激して快感を導いていく。

「あっ、あんっ、やぁ!」

 突如、ぱっと視界が白くなり、背筋が弓なりにしなる。
 身体が硬直したあと身体が弛緩して、愛液が溢れるのがわかった。

「ごめんなさい、私」

 一人で気持ちよくなってしまった、と落ち込むメリアの頬に、優しい口づけが降りてくる。

「きみは、すごく魅力的だ。次は、私を受け入れてくれるか?」

 熱い吐息とともに言われて、メリアは微笑んだ。

「勿論です、旦那様」

 ゲオルグは「ありがとう」とかすれた声で呟くと、再び秘裂を撫で、充分に濡れた蜜窟へ指を挿入した。
 驚くほどすんなりと入り、指の数が、二本、三本と増えていく。

「痛みはないか?」
「はいっ、でも、もどかしいです」
「そうか」

 くっ、とゲオルグが喉の奥で笑う。

「ならば、早くやらねばならんな」
(あっ、私から頑張らないと)

 ドロワーズを脱ごうと身体を捻った瞬間、ゲオルグは驚くほどの手早さでドロワーズを脱がしてしまう。
 戸惑っているうちに、大きく足を開かされて硬く熱い塊が押しつけられた。ゲオルグは秘肉を怒張の先端で撫でたあと、ゆっくりと腰を沈めた。
 圧迫感に背中がのけぞり、シーツをぎゅっと握り締める。

「っ、力を抜けるか」
「ん、は、いっ」

 初めてのときのような痛みはない。
 けれど、熱杭が侵入してくる違和感と苦しさに、息をつめてしまう。力を緩めようにも、どうしたらいいのかわからない
 瞳に涙が溢れて、首を横に振る。

「メリア……?」

 戸惑ったゲオルグの声音に、メリアは慌てて首をさらに横に振った。

「ちがっ、私、どうしたら……うまく、できなっ」

 頬に温かく硬い男の大きな手のひらが触れる。優しい手つきで繰り返し撫でられるうちに、ゲオルグが優しい瞳でメリアを見下ろしていることに気づく。

「旦那様……んふぅ」

 口づけが降りてきて促されるまま口をひらくと、口内を激しく舌で愛撫される。快感が齎されるたびに蜜が溢れ、ずぶずぶと怒張が押し進んでくるのを感じた。

「っ、は、入ったぞ」
「よ、よかっ、たぁ」

 ゲオルグはゆっくりと腰を引き、やや勢いをつけて奥へと突き入れる。入らないと思っていた怒張が、メリアの蜜窟のなかを何度も何度も行き来する。
 メリアは、怒張のひと際大きな先っぽで擦られ、さらに血管がどくどくと脈打つ部分で愛撫されて、与えられる快感を貪った。

(このままじゃ、私だけ、気持ちよくなっちゃうっ)

 ゲオルグにも気持ちよくなってほしいのに、メリアは何も出来ないままだ。

「だ、旦那様っ」

 いつの間にか閉じてしまっていた目を開くと、メリアを足の間に身体を割り込ませたゲオルグを見た。
 額に汗をびっしりと浮かばせて、恍惚とした瞳でメリアを見つめながら歯を食いしばっている。

「……気持ちいい、ですか」
「ああ、良過ぎて持ちそうにない」

 熱い吐息とともに言われた刹那、胸の奥が切なく疼いた。
 もっと、もっと気持ちよくしてあげたい。
 もっと、もっと――これから、何度でも。
 次第に、肌と肌がぶつかる音が部屋に響くほどに、ゲオルグが激しく腰を打ちつけ始めた。メリアのなかを擦りつける火傷しそうなほど熱い肉棒が、メリアへ更なる快感を齎す。

(ん、だめっ、おかしくなっちゃ、んっ、んんっ!)

 背筋を疼痛が駆けのぼって全身に広がり、身体が硬直した。
 濁流のように押し寄せる快感の波に飲み込まれ、メリアは促されるがままに、その快感に身を委ねた。

「あっ、ああっ!」

 ふわっ、と意識が舞うような錯覚を覚えた瞬間、蜜窟のなかの怒張が膨らんだ。熱杭から放たれる白濁を蜜壺のなかで感じて、メリアは小さく身体を震わせる。

「はぁ、あ、んっ」

 小さな快感にも敏感に反応しながら、身体が弛緩していく。少しずつ意識がしっかりとしてくると、二度目の情事にメリアの心が弾んだ。
 また一つになれたことが嬉しくて、気持ちを伝えようと口を開いた瞬間、覆いかぶさってきたゲオルグから口づけを受ける。胸の突起を摘ままれて、敏感になっている身体は電気が走ったように大きく跳ねた。

「綺麗だ、メリア。もっと欲しい。もっとだ」

 微笑んで頷いたところで、メリアの意識はぼんやりと溶け始めた。
 繰り返し与えられる快感に飲み込まれ、いつの間にか、深い眠りに落ちていた。
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