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第82話 工房1
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「ソフィ。お母さんは?」
ガガンさんの体調が整うと、アイルがソフィちゃんに尋ねる。
1階に降りたがコフィさんの姿が見えない。
「お父さんが寝ちゃったから1人で買い物に行っちゃったよ。お姉ちゃん何してたの?」
「え?私?わたし……何で寝ちゃったんだろう?ここに来てお父さんとお母さんとステフが飲んでる所までは記憶あるんだけど……。」
酒気だけで酔っぱらえるなんて、何て安上がりなお方なんでしょう。
羨ましいです。
「お!おめぇ達やっと起きてきたか。」
「おおう。ステフ。ワシどうしたんじゃ?」
「ガガン、おめぇさんは酒盛り初めてから直ぐに寝ちまったんだよ。村長の仕事、大変みたいだなぁ。コフィからも聞いたぜ。」
寝言でも『コフィたぁん……ワシ、もう疲れたぁあん。』って言ってたし。
村長職も大変なんだろうな。
「あら!やっと起きたの!あんた達だらしないわねぇ!」
丁度その時、コフィさんが買い物から帰って来た。
と言うか、両手一杯に新品のフライパンや鍋などの生活用品を抱えている。
「な、なんじゃ母さん、そりゃぁ……。」
「だぁって、安かったんだもの。やっぱり都会は物価が安くていいわねぇ!村の皆へのお土産と食料品もたんまり買ってきたわよぉ!」
コフィさんはそう言うと、外を見る。
そこには大量の土産物と思われる雑貨類や食料品が置いてあった。
「母さん……これどうやって持ち帰るんじゃ。」
「どうって、パンツ君がいるじゃない。魔法でちょちょいっとすればメリッサ村に帰れるわよ!だから余計に買っちゃったわぁ!アハハハハ!」
嬉しそうなコフィさん。
女の人が買い物好きなのはこの世界でも変わらない様だ。
「お姉ちゃん!お兄ちゃん!早く帰らないとゲボォオのお店閉まっちゃうよぉ!!」
「アッ!そうだった!!パンツ!早く取りに行かないと!!」
「明日でもいいんじゃないか?」
「何言ってるの!明日からお父さん、仕事に行っちゃうから時間ないんだよ?属性付与の魔法、見れなくていいの?」
「それは困る。よし、直ぐに戻るか。」
俺達はイソイソと帰り支度を始める。
コフィさんが購入し大量の生活用品と食料品もせっせと空間移動の穴に入れていく。出口は勿論、ガガンさんの家だ。
「おいおい、どうしたんだ。もう帰るのか?」
ステフさんが慌ただしい俺達を見てキッチンから出て来て話しかけてくる。
「何だ、夕食でも一緒にと思ってたのに。」
「すまんなぁ。ステフ。また来るぞ。パンツ君がいればひょひょいっと来れるしのぉ?ガッハッハッハッハ!!」
ガガンさんはそう言いながら俺の背中をバンバン叩く。
俺、言いように使われてるなぁ。まぁ散々お世話になってるからいいけどね。
そして俺達はステフさんと短めの別れの挨拶をして、メリッサ村へ空間移動する。
「はぁ~本当に便利ねぇ。パンツ君!ずっとこの家にいなさいな!そうすれば買い物するの助かるわぁ」
「何言ってるのお母さん!パンツは私とギルド調査隊で働くんだからダメ!!」
「もう分かってるわよぉ。冗談よぉ。」
「そんな事より、お姉ちゃん!お兄ちゃん!早く早く!!」
「パンツ!早くゲボォオ工房に行くわよ!!」
「あぁ分かった!」
俺は再び空間移動を開き、ゲイブルさんの工房へ移動した。
前日にアイルとソフィちゃんの剣と杖に魔導石を取り付ける為、加工依頼をしたゲイブルさんの工房へ移動する。
もう辺りはすっかり陽も落ちて暗くなっている。
工房の扉付近に明かりもなく、真っ暗だ。
「あらら、遅かったかな?」
「大丈夫。裏口に回ろう。」
アイルに連れられて裏口に回り込むとランタンの薄明りの中、まだゲイブルさんが仕事をしていた。
1人で残業していた様だ。働き者だな。
と言うか、ゲイブルさんを照らしているランタンの明かり……蝋燭かと思ったら魔石が光ってるのか。
どうなってるんだ?あれ?
そう思っていると、こちらに気付いたゲイブルさんが近づいてくる。
「おお、来たか!今日は来ないのかと思ってたぞ。」
「ゴメンね。ゲボォオ。お詫びじゃないけど、はい。これ、お父さんとお母さんからのお土産だよ。」
アイルはそう言うと、持って来ていた袋の中から瓶を一本取り出し、ゲイブルさんは満面の笑みでそれを受け取る。
「おいおい!いいのかぁ!こんな高い物貰っちまって!ありがたく頂いておくよ!」
それはプリンタイ帝国特産品の葡萄酒だった。
いつのまにそんな物を持って来てたんだ……。
「さて、早速だがこれがお前達の得物だ。」
ゲイブルさんはそう言いながら、収納魔法を使って手の平から魔導石が埋め込まれたアイルの剣と、ソフィちゃんの杖を取り出した。
既に完成していた様だ。
「…………え?え!?これ!?これが私の剣なの?」
「…………ゲボォオ!!これ私の杖ぇ?カッコいいー!!」
「アイルの剣は魔導石を嵌めこむ加工だけじゃなく、剣の刃も手入れしといてやったぞ。」
「う、うん。ありがとう……。でも、これ……。」
2人はゲボォオから加工された剣と杖をそれぞれ受け取ったが、アイルは絶句、ソフィちゃんは喜んでいる。
リアクションが対照的だな……。
それもその筈、二人の剣と杖の形状に問題があった……。
ガガンさんの体調が整うと、アイルがソフィちゃんに尋ねる。
1階に降りたがコフィさんの姿が見えない。
「お父さんが寝ちゃったから1人で買い物に行っちゃったよ。お姉ちゃん何してたの?」
「え?私?わたし……何で寝ちゃったんだろう?ここに来てお父さんとお母さんとステフが飲んでる所までは記憶あるんだけど……。」
酒気だけで酔っぱらえるなんて、何て安上がりなお方なんでしょう。
羨ましいです。
「お!おめぇ達やっと起きてきたか。」
「おおう。ステフ。ワシどうしたんじゃ?」
「ガガン、おめぇさんは酒盛り初めてから直ぐに寝ちまったんだよ。村長の仕事、大変みたいだなぁ。コフィからも聞いたぜ。」
寝言でも『コフィたぁん……ワシ、もう疲れたぁあん。』って言ってたし。
村長職も大変なんだろうな。
「あら!やっと起きたの!あんた達だらしないわねぇ!」
丁度その時、コフィさんが買い物から帰って来た。
と言うか、両手一杯に新品のフライパンや鍋などの生活用品を抱えている。
「な、なんじゃ母さん、そりゃぁ……。」
「だぁって、安かったんだもの。やっぱり都会は物価が安くていいわねぇ!村の皆へのお土産と食料品もたんまり買ってきたわよぉ!」
コフィさんはそう言うと、外を見る。
そこには大量の土産物と思われる雑貨類や食料品が置いてあった。
「母さん……これどうやって持ち帰るんじゃ。」
「どうって、パンツ君がいるじゃない。魔法でちょちょいっとすればメリッサ村に帰れるわよ!だから余計に買っちゃったわぁ!アハハハハ!」
嬉しそうなコフィさん。
女の人が買い物好きなのはこの世界でも変わらない様だ。
「お姉ちゃん!お兄ちゃん!早く帰らないとゲボォオのお店閉まっちゃうよぉ!!」
「アッ!そうだった!!パンツ!早く取りに行かないと!!」
「明日でもいいんじゃないか?」
「何言ってるの!明日からお父さん、仕事に行っちゃうから時間ないんだよ?属性付与の魔法、見れなくていいの?」
「それは困る。よし、直ぐに戻るか。」
俺達はイソイソと帰り支度を始める。
コフィさんが購入し大量の生活用品と食料品もせっせと空間移動の穴に入れていく。出口は勿論、ガガンさんの家だ。
「おいおい、どうしたんだ。もう帰るのか?」
ステフさんが慌ただしい俺達を見てキッチンから出て来て話しかけてくる。
「何だ、夕食でも一緒にと思ってたのに。」
「すまんなぁ。ステフ。また来るぞ。パンツ君がいればひょひょいっと来れるしのぉ?ガッハッハッハッハ!!」
ガガンさんはそう言いながら俺の背中をバンバン叩く。
俺、言いように使われてるなぁ。まぁ散々お世話になってるからいいけどね。
そして俺達はステフさんと短めの別れの挨拶をして、メリッサ村へ空間移動する。
「はぁ~本当に便利ねぇ。パンツ君!ずっとこの家にいなさいな!そうすれば買い物するの助かるわぁ」
「何言ってるのお母さん!パンツは私とギルド調査隊で働くんだからダメ!!」
「もう分かってるわよぉ。冗談よぉ。」
「そんな事より、お姉ちゃん!お兄ちゃん!早く早く!!」
「パンツ!早くゲボォオ工房に行くわよ!!」
「あぁ分かった!」
俺は再び空間移動を開き、ゲイブルさんの工房へ移動した。
前日にアイルとソフィちゃんの剣と杖に魔導石を取り付ける為、加工依頼をしたゲイブルさんの工房へ移動する。
もう辺りはすっかり陽も落ちて暗くなっている。
工房の扉付近に明かりもなく、真っ暗だ。
「あらら、遅かったかな?」
「大丈夫。裏口に回ろう。」
アイルに連れられて裏口に回り込むとランタンの薄明りの中、まだゲイブルさんが仕事をしていた。
1人で残業していた様だ。働き者だな。
と言うか、ゲイブルさんを照らしているランタンの明かり……蝋燭かと思ったら魔石が光ってるのか。
どうなってるんだ?あれ?
そう思っていると、こちらに気付いたゲイブルさんが近づいてくる。
「おお、来たか!今日は来ないのかと思ってたぞ。」
「ゴメンね。ゲボォオ。お詫びじゃないけど、はい。これ、お父さんとお母さんからのお土産だよ。」
アイルはそう言うと、持って来ていた袋の中から瓶を一本取り出し、ゲイブルさんは満面の笑みでそれを受け取る。
「おいおい!いいのかぁ!こんな高い物貰っちまって!ありがたく頂いておくよ!」
それはプリンタイ帝国特産品の葡萄酒だった。
いつのまにそんな物を持って来てたんだ……。
「さて、早速だがこれがお前達の得物だ。」
ゲイブルさんはそう言いながら、収納魔法を使って手の平から魔導石が埋め込まれたアイルの剣と、ソフィちゃんの杖を取り出した。
既に完成していた様だ。
「…………え?え!?これ!?これが私の剣なの?」
「…………ゲボォオ!!これ私の杖ぇ?カッコいいー!!」
「アイルの剣は魔導石を嵌めこむ加工だけじゃなく、剣の刃も手入れしといてやったぞ。」
「う、うん。ありがとう……。でも、これ……。」
2人はゲボォオから加工された剣と杖をそれぞれ受け取ったが、アイルは絶句、ソフィちゃんは喜んでいる。
リアクションが対照的だな……。
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