64 / 109
第63話 襲撃5
しおりを挟む
「ファム!!ここはどこなのだ!?」
馬車の中から少女の声で呼びかけられる。
どうやらお姫様が目を覚ました様だ。
「お嬢様。しばしお待ち下さい!また野盗どもと戦闘になりそうなので中に居て下さい!!」
「え!?」
するとお嬢様は馬車の窓から外に顔を出して後ろを振り返ると同時に目の前を弓矢が通り過ぎる。
「ヒッ!!…………う~ん……。」バタッ。
あらら、また気絶しちゃったよ。お姫様は白目を剥いて馬車の中で仰向けに倒れてしまった。
「どうします?ボス?(キリッ)」
「どうしますって、私は御者なのだからお主が相手する他ないだろう!?そもそも護衛として雇ったんだぞ!?」
ですよね。知ってた。
でも言ってみたかったんだ。
『どうします?ボス?』って。出来る部下っぽいじゃん?
「さて、お仕事の時間か。」
俺は御者台から馬車の上部へ移動する。
すると馬に乗った野盗どもが弓を射かけながらこちらに近づいてくるのが視えた。
遠距離攻撃か……。
俺は腕組み少し思案する。
その間にも弓矢が馬車に降り注ぐ。
アブねッ!!
「パンツ殿!!どうするのだ!!止まって相手するのか!?」
「いえ!止まらないで下さい!少し試したい事があるので!」
試したい事。
先日、太陽の風のエチルさんに教えて貰った土魔法だ。
エチルさんは補助的な役割で土魔法を使っていたが、これを攻撃魔法として使えないかと思っていた。
しかも、昨日、俺のイメージする土魔法をガガンさんに伝えるとそれに近いイメージに合う土魔法を教えて貰ったのだ。
勿論、ガガンさんは土魔法を使えないのでイメージと魔法名を教えて貰っただけだが、恐らく俺の想像する通りになる筈!
「イメージ通りいけよぉ!!……成形土槍!!!!」
俺は野盗どもに向けて手を翳すと目前に黄色の魔法陣が浮かび上がり野盗が走り込むタイミングを見計らい魔法を発動させる。
すると『ドン!』と言う音が辺りに響き渡る。
「な、何だぁこりゃぁ!!地面がぁぁぁあぎゃ!!」
野盗の一味は絶叫する。
俺の魔法により地面の真下から夥(おびただ)しい剣山状に変化した土の槍が突出し、先頭付近を走っていた野盗ども十数人を馬ごと串刺しにした。
どうやら上手くいった様だ。
この魔法を時間差で発動させて罠にしてもいいかもな。
ちなみにこの土魔法、第5位階魔法。
「な!?ぱ、パンツ殿!!何をしたのだ!」
「え?ちょっと魔法でちょちょいと。」
「ちょ、ちょちょいと?お主!魔法も使えるのか!?武闘家では無かったのか!?」
「あ~、少しだけ魔法を使えるだけですよ。」
「……少し……だと!?……ん……今は何も言うまい。」
困惑の表情で俺を見るファムさんはそう呟くと直ぐに前方に視線を移し、ピシリと手に握る馬の手綱を振るい馬車を更に加速させる。
流石騎士様。
今は自分の感情よりも自分の出来る役割を優先するとは。
状況判断優秀ですな。
さて、残りの野盗はっと……。
再び後続を確認すると、魔法で築かれた土の槍の脇を抜けて野盗どもは尚も追撃して来ている。
残りは8人程度か……。
さてもう一つ試してみるか。
俺は追って来る野盗へ両手を翳すと、右手赤い魔法陣、左手に白い魔法陣が浮かび上がる。
「威力を抑えて抑えて……魔力を抑えて……イメージイメージ……。またファイアソール(か○はめ波)みたいな事になったら面倒だ。」
そして俺は魔法を放つ。
右手からは炎、左手からは氷塊を含んだ冷気が飛び出し絡み合うように野盗の集団の目掛けて向かって行く。
「「「「ぎゃぁぁぁぁあああぁあ!!」」」」
威力を抑えて放った魔法だが、野盗達は一部の者は落馬し火達磨で地面を転げまわり、またある者は馬ごと全身凍り付いたりしていた。
試したかった事。
それは複数の魔法を並行で使用出来るかと言う事だ。
取りあえずは2属性同時での使用は問題無いみたいだな。
今後は6属性全てでの魔法発動もやってみたいな。
空間転移(ワープ)しながら他の攻撃魔法を3つ4つ同時に発動とか。
ま、それはおいおい試して行こう。
「くそがぁぁぁあぁ!!!」
「え?」
炎と冷気の魔法を放った先から一騎抜けてこちらに猛然と駆けてくる野盗がいる。
確かあいつ……野盗のリーダーだった奴か。
名前しらんけど。
鑑定してみるか?
===================================
【 名 前 】ハッナン・ゲーヴォルグ
【 種 族 】人族
【 職 種 】斥候 :風 適正
【 体 力 】217
【 魔 力 】57
【 攻撃力 】216
【 防御力 】259
【 俊敏性 】254
===================================
ステータス的にはファムさんといい勝負って所だな。
名前は……ハッナン・ゲーヴォルグ……鼻毛さんか。
馬車の中から少女の声で呼びかけられる。
どうやらお姫様が目を覚ました様だ。
「お嬢様。しばしお待ち下さい!また野盗どもと戦闘になりそうなので中に居て下さい!!」
「え!?」
するとお嬢様は馬車の窓から外に顔を出して後ろを振り返ると同時に目の前を弓矢が通り過ぎる。
「ヒッ!!…………う~ん……。」バタッ。
あらら、また気絶しちゃったよ。お姫様は白目を剥いて馬車の中で仰向けに倒れてしまった。
「どうします?ボス?(キリッ)」
「どうしますって、私は御者なのだからお主が相手する他ないだろう!?そもそも護衛として雇ったんだぞ!?」
ですよね。知ってた。
でも言ってみたかったんだ。
『どうします?ボス?』って。出来る部下っぽいじゃん?
「さて、お仕事の時間か。」
俺は御者台から馬車の上部へ移動する。
すると馬に乗った野盗どもが弓を射かけながらこちらに近づいてくるのが視えた。
遠距離攻撃か……。
俺は腕組み少し思案する。
その間にも弓矢が馬車に降り注ぐ。
アブねッ!!
「パンツ殿!!どうするのだ!!止まって相手するのか!?」
「いえ!止まらないで下さい!少し試したい事があるので!」
試したい事。
先日、太陽の風のエチルさんに教えて貰った土魔法だ。
エチルさんは補助的な役割で土魔法を使っていたが、これを攻撃魔法として使えないかと思っていた。
しかも、昨日、俺のイメージする土魔法をガガンさんに伝えるとそれに近いイメージに合う土魔法を教えて貰ったのだ。
勿論、ガガンさんは土魔法を使えないのでイメージと魔法名を教えて貰っただけだが、恐らく俺の想像する通りになる筈!
「イメージ通りいけよぉ!!……成形土槍!!!!」
俺は野盗どもに向けて手を翳すと目前に黄色の魔法陣が浮かび上がり野盗が走り込むタイミングを見計らい魔法を発動させる。
すると『ドン!』と言う音が辺りに響き渡る。
「な、何だぁこりゃぁ!!地面がぁぁぁあぎゃ!!」
野盗の一味は絶叫する。
俺の魔法により地面の真下から夥(おびただ)しい剣山状に変化した土の槍が突出し、先頭付近を走っていた野盗ども十数人を馬ごと串刺しにした。
どうやら上手くいった様だ。
この魔法を時間差で発動させて罠にしてもいいかもな。
ちなみにこの土魔法、第5位階魔法。
「な!?ぱ、パンツ殿!!何をしたのだ!」
「え?ちょっと魔法でちょちょいと。」
「ちょ、ちょちょいと?お主!魔法も使えるのか!?武闘家では無かったのか!?」
「あ~、少しだけ魔法を使えるだけですよ。」
「……少し……だと!?……ん……今は何も言うまい。」
困惑の表情で俺を見るファムさんはそう呟くと直ぐに前方に視線を移し、ピシリと手に握る馬の手綱を振るい馬車を更に加速させる。
流石騎士様。
今は自分の感情よりも自分の出来る役割を優先するとは。
状況判断優秀ですな。
さて、残りの野盗はっと……。
再び後続を確認すると、魔法で築かれた土の槍の脇を抜けて野盗どもは尚も追撃して来ている。
残りは8人程度か……。
さてもう一つ試してみるか。
俺は追って来る野盗へ両手を翳すと、右手赤い魔法陣、左手に白い魔法陣が浮かび上がる。
「威力を抑えて抑えて……魔力を抑えて……イメージイメージ……。またファイアソール(か○はめ波)みたいな事になったら面倒だ。」
そして俺は魔法を放つ。
右手からは炎、左手からは氷塊を含んだ冷気が飛び出し絡み合うように野盗の集団の目掛けて向かって行く。
「「「「ぎゃぁぁぁぁあああぁあ!!」」」」
威力を抑えて放った魔法だが、野盗達は一部の者は落馬し火達磨で地面を転げまわり、またある者は馬ごと全身凍り付いたりしていた。
試したかった事。
それは複数の魔法を並行で使用出来るかと言う事だ。
取りあえずは2属性同時での使用は問題無いみたいだな。
今後は6属性全てでの魔法発動もやってみたいな。
空間転移(ワープ)しながら他の攻撃魔法を3つ4つ同時に発動とか。
ま、それはおいおい試して行こう。
「くそがぁぁぁあぁ!!!」
「え?」
炎と冷気の魔法を放った先から一騎抜けてこちらに猛然と駆けてくる野盗がいる。
確かあいつ……野盗のリーダーだった奴か。
名前しらんけど。
鑑定してみるか?
===================================
【 名 前 】ハッナン・ゲーヴォルグ
【 種 族 】人族
【 職 種 】斥候 :風 適正
【 体 力 】217
【 魔 力 】57
【 攻撃力 】216
【 防御力 】259
【 俊敏性 】254
===================================
ステータス的にはファムさんといい勝負って所だな。
名前は……ハッナン・ゲーヴォルグ……鼻毛さんか。
1
お気に入りに追加
450
あなたにおすすめの小説
神様との賭けに勝ったので異世界で無双したいと思います。
猫丸
ファンタジー
ある日の放課後。
突然足元に魔法陣が現れる。
そして、気付けば神様が異世界に送るからスキルを1つ選べと言ってくる。
もっとスキルが欲しいと欲をかいた悠斗は神様に賭けをしないかと提案した。
神様とゲームをすることになった悠斗はその結果―――
※チートな主人公が異世界無双する話です。小説家になろう、ノベルバの方にも投稿しています。
チートスキルで無自覚無双 ~ゴミスキルばかり入手したと思ってましたが実は最強でした~
Tamaki Yoshigae
ファンタジー
北野悠人は世界に突如現れたスキルガチャを引いたが、外れスキルしか手に入らなかった……と思っていた。
が、実は彼が引いていたのは世界最強のスキルばかりだった。
災厄級魔物の討伐、その素材を用いてチートアイテムを作る錬金術、アイテムを更に規格外なものに昇華させる付与術。
何でも全て自分でできてしまう彼は、自分でも気づかないうちに圧倒的存在に成り上がってしまう。
※小説家になろうでも連載してます(最高ジャンル別1位)
神様との賭けに勝ったので、スキルを沢山貰えた件。
猫丸
ファンタジー
ある日の放課後。突然足元に魔法陣が現れると、気付けば目の前には神を名乗る存在が居た。
そこで神は異世界に送るからスキルを1つ選べと言ってくる。
あれ?これもしかして頑張ったらもっと貰えるパターンでは?
そこで彼は思った――もっと欲しい!
欲をかいた少年は神様に賭けをしないかと提案した。
神様とゲームをすることになった悠斗はその結果――
※過去に投稿していたものを大きく加筆修正したものになります。
スキルが全ての世界で無能力者と蔑まれた俺が、《殺奪》のスキルを駆使して世界最強になるまで 〜堕天使の美少女と共に十の塔を巡る冒険譚〜
石八
ファンタジー
スキルが全ての世界で、主人公──レイは、スキルを持たない無能力者であった。
そのせいでレイは周りから蔑まされ、挙句の果てにはパーティーメンバーに見限られ、パーティーを追放させられる。
そんなレイの元にある依頼が届き、その依頼を達成するべくレイは世界に十本ある塔の一本である始まりの塔に挑む。
そこで待っていた魔物に危うく殺されかけるレイだが、なんとかその魔物の討伐に成功する。
そして、そこでレイの中に眠っていた《殺奪》という『スキルを持つ者を殺すとそのスキルを自分のものにできる』という最強のスキルが開花し、レイは始まりの塔で数多のスキルを手にしていく。
この物語は、そんな《殺奪》のスキルによって最強へと駆け上がるレイと、始まりの塔の最上階で出会った謎の堕天使の美少女が力を合わせて十本の塔を巡る冒険譚である。
転生貴族のハーレムチート生活 【400万ポイント突破】
ゼクト
ファンタジー
ファンタジー大賞に応募中です。 ぜひ投票お願いします
ある日、神崎優斗は川でおぼれているおばあちゃんを助けようとして川の中にある岩にあたりおばあちゃんは助けられたが死んでしまったそれをたまたま地球を見ていた創造神が転生をさせてくれることになりいろいろな神の加護をもらい今貴族の子として転生するのであった
【不定期になると思います まだはじめたばかりなのでアドバイスなどどんどんコメントしてください。ノベルバ、小説家になろう、カクヨムにも同じ作品を投稿しているので、気が向いたら、そちらもお願いします。
累計400万ポイント突破しました。
応援ありがとうございます。】
ツイッター始めました→ゼクト @VEUu26CiB0OpjtL
異世界でのんきに冒険始めました!
おむす微
ファンタジー
色々とこじらせた、平凡な三十路を過ぎたオッサンの主人公が(専門知識とか無いです)異世界のお転婆?女神様に拉致されてしまい……勘違いしたあげく何とか頼み込んで異世界に…?。
基本お気楽で、欲望全快?でお届けする。異世界でお気楽ライフ始めるコメディー風のお話しを書いてみます(あくまで、"風"なので期待しないで気軽に読んでネ!)一応15R にしときます。誤字多々ありますが初めてで、学も無いためご勘弁下さい。
ただその場の勢いで妄想を書き込めるだけ詰め込みますので完全にご都合主義でつじつまがとか気にしたら敗けです。チートはあるけど、主人公は一般人になりすましている(つもり)なので、人前で殆んど無双とかしません!思慮が足りないと言うか色々と垂れ流して、バレバレですが気にしません。徐々にハーレムを増やしつつお気楽な冒険を楽しんで行くゆる~い話です。それでも宜しければ暇潰しにどうぞ。
いらないスキル買い取ります!スキル「買取」で異世界最強!
町島航太
ファンタジー
ひょんな事から異世界に召喚された木村哲郎は、救世主として期待されたが、手に入れたスキルはまさかの「買取」。
ハズレと看做され、城を追い出された哲郎だったが、スキル「買取」は他人のスキルを買い取れるという優れ物であった。
~僕の異世界冒険記~異世界冒険始めました。
破滅の女神
ファンタジー
18歳の誕生日…先月死んだ、おじぃちゃんから1冊の本が届いた。
小さい頃の思い出で1ページ目に『この本は異世界冒険記、あなたの物語です。』と書かれてるだけで後は真っ白だった本だと思い出す。
本の表紙にはドラゴンが描かれており、指輪が付属されていた。
お遊び気分で指輪をはめて本を開くと、そこには2ページ目に短い文章が書き加えられていた。
その文章とは『さぁ、あなたの物語の始まりです。』と…。
次の瞬間、僕は気を失い、異世界冒険の旅が始まったのだった…。
本作品は『カクヨム』で掲載している物を『アルファポリス』用に少しだけ修正した物となります。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる