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はじめまして、異世界。
休日と小さなお客様
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れんげは何も聞かなかった。
いきなり笑いだしたから何かと思ったら、関西弁に戻ってると言って微笑んだ。
この喋り方、関西弁言うんかいな。
どうやられんげの世界の話し方の一つらしい。
ちっとも知らんかった。
れんげは隣に座って、でも別にワイの方をしげしげ見る訳でもなく、まっすぐ前を見ていた。
「……聞かないですよ、私。」
「…………。」
「誰にでも掘り下げられたくない過去の一つや二つ、あるもんです。」
「せやな……。」
「それに、私の生体認証の関係で、どうしても来なきゃいけなかったんですよね?」
「まぁ…そんなとこや。」
「ありがとうございます。」
「んや?マーメイに頼まれただけやし、レンゲちゃんが気にする事ないで?」
「でも、吐くほど来たくなかった場所なのに、来てくれたんでしょう?だからありがとうございます。」
「……いや、ええんや…。」
少しまた気分が悪るくなって俯いた。
そんなワイを気にするでもなく、れんげは立ち上がって階段を降り、踊り場に立った。
れんげは背を向けたまま振り向かない。
買ってやったばかりのオーバースカートがゆらゆらと柔らかく揺れる。
観賞魚のヒレみたいやと思った。
「これでちょっと、おあいこですね。」
「……何がや??」
「ユーゴさんは『レコードメモリーシステム』に入っている私のデータをいつも見てるでしょ?だからおあいこです。」
そう言ってれんげは笑って振り向いた。
お互いそれを見たけれどあえて何も言わない。
れんげのその笑顔を見て、何かどうでも良くなり苦笑して息を吐く。
その息にいらない過去の感情を全部詰めて、その場に吐き捨てた。
そして立ち上がってれんげに並んだ。
れんげは何事もなかったように、ただいつものようにそこに立っていた。
状況から食事はやめて何かテイクアウトでも買って帰ろうと言う話になった。
テイクアウトできるお店を探しながらバイクのある場所に向かってしばらく歩いていると、口数の少なかったユーゴさんがシッカを吸いながら言った。
「何や落ち着いてきたら、吐いたせいで腹減ってきたねん。何か食って帰ろや、レンゲちゃん。」
「え?!やめときましょうよ?!まだ顔色悪いですよ?!」
「それはエネルギー不足だからやねん。早よ食べんと動けなくなるで~??」
「え?!とりあえず座りましょう!!」
そう言って私はユーゴさんをガードレールに座らせた。
持ってるのは、マーメイにもらったシッカタブレットとグミだけだ。
クッキーとかチョコとかキャラメルとか、もう少し血糖値を上げられる物を持っておけばよかったとため息をつく。
「グミ、食べます??」
「それネチョネチョするさかい、好きやないねん……。」
「ならココアか何か買ってくるので……。」
私はそう言いながら、何気なく車道の向こうを見た。
そして目を丸くした。
「え?!マーメイ?!」
私の言葉にユーゴさんは億劫そうに振り返り、あぁと小さく呟く。
私は驚きすぎて口をぽかんと開けてガン見していた。
マーメイがいた。
でもマーメイじゃなかった。
そこにいたのはビシッとパンツスーツを着込み、高いパンプスをカツカツ鳴らすスタイリッシュで知的な美女。
髪はキュッとアップにまとめられ、誰かと通信しながら電子データを弄くり、周りの部下らしき人に指示を出している。
そしてそのまま、運転手が恭しく開けて待っていた高級送迎車に慌しく乗り込んでいく。
自分の見ているものが信じられなかった。
瞬きをするのも忘れて凝視している私の目を、ユーゴさんが手で覆った。
「わっ!!何するんですか?!」
「……あんま見んといてやってや。」
「え??」
「レンゲちゃんも言うとったやん。誰にだって掘り下げられたくない部分があるんやて。」
「……あ…。」
「マーメイはレンゲちゃんには、いつものあのマーメイを見てて欲しいんや。だから、あんま見んといてやってや。」
「……はい。」
そう言われ、ちょっと反省する。
マーメイは店を出る時はスーツも着ていなかったし、髪だってアップにしてなかった。
でも今はそうしているという事は、「マーメイド」ではあの姿を見せたくなかったと言う事だ。
そう思うと、じろじろと見てしまった事が申し訳なくなる。
そんな私の頭をユーゴさんがグリグリ撫でた。
「んな顔すんなや。別に見たかて、怒らへんよ。」
「はい……。」
「あ~!とにかく腹減った~!頭に血が回らんからグラグラすんねん。」
「え?!大丈夫ですか?!」
「このままバイク乗んのは危ないさかい、飯食って帰ろうな?レンゲちゃん??」
ワシャワシャ撫でられ、顔をのぞき込まれる。
悔しいけど、多分、今日一、ユーゴさんがカッコよく見えた。
「……ズルい…。」
「何がやねん??」
「もういいです!!」
「したら、近くにボロくて汚くて、安くて旨い飯屋があるさかい、そこ行ってもええか??」
「いいですよ??」
「見たらメチャクチャひくと思うねんけど、味は保証するで?……ま、デートで行く店、ちゃうけどな?!」
そしてニヤッと笑う。
いつもの掴みどころのない笑みだった。
それを見て妙に安心した。
「元々、デートじゃないじゃないですか!!」
「デートやん??」
「も~、そうやってからかって……。私もそのノリ、流石にもう疲れてきたんで、ここからはいつも通りで行きましょう!!」
「せやな。肩凝ったわ。」
「私のせいみたいに言わないでくれますか?!」
私がムスッとすると、ユーゴさんはニヤニヤといつものように笑った。
本当、今日のユーゴさんは何だったんだろう??
あそこに行くつもりだったから、朝から気を張ってたのかもしれない。
だとしたら今日一日の変な態度も納得だ。
でも本当、私の方もデートデート言われて疲れてしまった。
本当、人の気も知らないでデリカシーがない人だ。
そう考えると、いつも通りのユーゴさんだったのかもしれない。
その後、連れて行ってくれたのはガード下を無理やり店にした屋台の様な、確かにボロくて汚い店だった。
そこの外に設置された油まみれのテーブルに座り、料理を食べた。
メニューを見てもよくわからず、何を頼んだらいいかわからなかったのでユーゴさんにお任せした。
言わなくても「レコードメモリーシステム」で私が食べれないものや苦手なものを知っているので、運ばれてきた料理は好みの味だった。
「凄い美味しい!!これ!メチャクチャ美味しいですよ!!ユーゴさん!!毎日でも食べられそう!!」
「せやろ?!せやろ?!メチャクチャ汚いけど、アホみたいに旨いねん。」
「ユーゴさんが言うほど、気になりませんけどねぇ、私。」
「マジで??ワイ、一回、女の子連れてきたら、食べる前にひっぱたかれてフラレたで?!」
「まぁ……普通の女の子がデートでここに連れて来られたら基本そうなるでしょうねぇ~。」
「ここ来てうまいうまい言うて食べてくれたん、レンゲちゃんとマーメイだけやで?!」
「う~ん、ユーゴさんが狙う女の子のタイプがわからないので何とも言えませんが……。まぁ、平気なタイプも少ないですがいるって事です。」
「なるほどなるほど。」
そう言ってユーゴさんは、具だくさんのあんかけに中華パンみたいのを絡めて美味しそうに頬張った。
食欲はあるみたいで良かったとホッとする。
「ここってテイクアウトできるんですか??」
「何やねん、今日はよく食うやん??レンゲちゃん??」
「違います!!マーメイが帰ってきたら食べるかなぁと思って!!あの様子じゃちゃんと食べてなさそうじゃないですか!!」
「なるほどなぁ~。ええ子やな、レンゲちゃん。」
ニマァと笑われ、頭を撫でられる。
完全に子供扱いされてる!!
腹立たしいけれど、昼間のユーゴさんより、こっちのいつも通りの捻くれた物言いの方がいい。
そんな感じでマーメイが好きだと言う料理と、デサートっぽいあげ饅頭みたいのと、えびせんみたいのを買って帰った。
何か、大荷物になったなぁ。
バイクに乗りながら揺れるテイクアウトのビニール袋を見つめる。
えびせんみたいなのかかさばるから大きく見えるだけとも言うが、とてもデート帰りという感じではない。
でもその方がしっくり来たし、安心した。
朝はバイクに乗るのにユーゴさんにしがみつかなきゃならないのが恥ずかしかったのだが、ユーゴさんの運転を知ってからは恥ずかしいもクソもなくなった。
死ぬ気でしがみついてないと、死ぬ。
本人は全く気にしていない辺りが怖い。
もしもまたユーゴさんと出かけなければならない事があっても、バイクだけは遠慮したいと思っていた。
もしくは三人で出かけてマーメイの後ろに乗る。
店舗兼住居のボロ雑居ビルに着き、バイクを止める。
マーメイのバイクはない。
まだそこまで遅い時間ではないけれど、ちゃんと今日中に帰ってこれるだろうかと心配になった。
階段を上がり、店の通用口の鍵を開けようとしたら、店舗入口の方からひょこっと誰かがこちらを見た。
すぐにユーゴさんが私を引っ張って後ろに隠す。
「誰や?!」
「あ、あの……ごめんなさい!!」
「子供?!」
「すみません……ここってお話を作ってくれるお店ですか??」
私達は顔を見合わせた。
ユーゴさんが私に目配せをして、中に入れと合図する。
子供で気を引いて行われる犯罪もあるからだ。
そんな風には見えないし可哀想な気もしたが、私はやっと生体認証がついたばかりの異世界から来た人間だ。
何かに巻き込まれて調べられたら、まずい事になりかねない。
だからおとなしく、ユーゴさんの指示通りにした。
ユーゴさんが子供と背後を気にしているうちに通用口を入り、鍵を閉める。
ちょっと罪悪感を感じるが、匿ってもらっている身の上だ。
おかしな事に巻き込まれてはマーメイとユーゴさんにも迷惑がかかるので仕方がない。
どうなったのか気がかりで、そのまま受付の椅子に座って待っていた。
しばらくするとガチャリと鍵が開けられ、ユーゴさんが入ってくる。
その脇には小さな男の子。
私は咄嗟に駆け寄った。
「お客さんや、レンゲ。」
「え??」
「すみません、僕、今日が定休日って知らなくて……。」
「ええええ。それよか腹減っとるやろ?レンゲ、温かいお茶入れてやってや。」
「は、はい!!」
そう言われ、すぐさま受付用電気ポットでお湯を沸かす。
お茶の準備をしながら、ちらりとその子を観察した。
歳は小学生高学年くらいだろうか?
身なりも悪い訳じゃないし、言葉遣いも丁寧だった。
受付の一部の電気をつけ、ユーゴさんが使い捨ておしぼりで手を拭かせ、テイクアウトを食べさせ始める。
何か意外だった。
時間外に仕事なんかしたくないといつも突っぱねようとしてマーメイにドヤされているのに、定休日なのにその子を迎え入れ、しかも食事をさせている。
受付の機械を起動させ、本当に受付をして話を聞いている。
私がお茶を持っていくと、ユーゴさんからメモを渡された。
『ここに連絡、親父さんに迎え。』
私は少し裏手に周り、メモの連絡先にアクセスする。
父親らしき人はすぐに出た。
仕事中らしく、はじめは企業名を名乗っていた。
息子さんが店に来ている事、時間が時間なのでできれば迎えに来て欲しい事を伝えると、30分ほどで来るとの事だった。
忙しそうにしていたので淡々としていたが、一応謝罪とお礼を言われた。
時間に追われ少し苛立ってはいたが、男の子を怒ってはいなかった。
むしろ戸惑ったような、複雑な声だった。
何かしら事情があるのだろうが、深入りする部分ではない。
私はメモを書き、聞き取り作業をしているユーゴさんの邪魔をしないようにそれを見せた。
ユーゴさんはこちらをチラ見し、頷く。
私は店のドアの鍵を開け、自動の電源は入れずに置いた。
「~~~~って感じやな?それでええん??」
「はい、お願いします。」
「とりあえず口拭けや~。おもろい顔になっとるで?」
ティッシュを渡しながら、ユーゴさんが笑う。
…………意外だ。
ユーゴさんが子供に優しいなんて意外だ。
そんな事を思っていると、バタバタと誰かが階段を駆け上がってくる音がする。
「レンゲ、お茶淹れて。」
「はい。」
さり気なく私を奥にやるユーゴさん。
入れ替わるようにドアの方に行く。
来たのはやはり男の子のお父さんで、何度も頭を下げられた。
私は父親に冷たいお茶を出す。
彼はそれを一気に飲み干した。
「息子がご迷惑をかけました。」
「いえいえ、お客さんですから、何も迷惑はかかってまへんがな。」
「はぁ……。」
男の子の父親はとても怪訝そうな顔をしていた。
インサイドビルドはピンキリあれどもメジャーな仕事ではあるが、そうやって話を作ってもらう事にお金を払う意味を感じない人もいる。
おそらくこのお父さんはそういうタイプで、インサイドビルドをインチキ商売だと思っているのだろう。
そんな印象を受けた。
ユーゴさんが私に目配せをした。
父親の方は私が対応した方がいいと判断したのだろう。
私はデスクの下から書類を取り出し、にこやかにお父さんの前に座った。
「お忙しい中および立てしてしまい、申し訳ございませんでした。流石にこの時間ですと、ご子息をお一人でお帰しするのはいかがなものかと思いまして、こちらの判断で勝手ながらご連絡させて頂きました。」
営業スマイルでそう告げると、父親は申し訳なさそうに頭を掻いて俯いた。
「いえ、ご連絡頂けて助かりました。」
「それは良かったです。せっかくご来店頂きましたので、よろしければこちらの書類のご記入をお願いしてもよろしいでしょうか?」
「書類、ですか?」
「はい。一応、未成年のお客様の場合、親御さんに一筆頂かなければならない決まりとなっております。またご要望があれば、お子様にお渡しする前に、内容のご確認をいただく事も可能です。」
私が話している間に、ユーゴさんは依頼内容の起承転結等の要望部分などをプリントアウトしてくれた。
それを男の子には見せないように父親に見せる。
「こちらの内容でお受けしております。」
「!!」
その内容を見て、父親は固まった。
そして何も言わずに書類にサインをしていく。
「確認させて頂きます。」
記入漏れがないか目を通す。
その際、出来上がったデータの確認が必要か否かのチェックには、しなくていいと言う方に丸がしてあった。
「記入漏れはございませんので、お帰りになって大丈夫です。受け渡しは1週間後に店舗受け取りと伺っておりますが、3週間しても取りに見られない場合は着払いでお届けする処理の終了を契約完了とさせて頂きます。運搬業者引き渡し後の事故・紛失等の責任は負いかねますのでご了承下さい。この度はご利用、ありがとうございました。」
「いえ……よろしく…お願いします……。」
父親はそう言うと、男の子の手を引いて帰って行った。
私は男の子の依頼内容の書かれたプリントアウトを手に取って眺める。
「……何か、複雑やな。」
「そうですね。」
しばらく無言になる。
ユーゴさんがジャラリと貨幣を受付に置いた。
「電子貨幣以外、うち、受け付けないんじゃなかったんですか??」
私は笑ってそう言った。
ユーゴさんがちょっとムスッとして頬杖をつく。
「ずっと溜め込んどった小遣い出されて、電子貨幣やないから受け付けへんなんて言えるほど、ワイ、冷血漢やないで??レンゲちゃん。」
「マーメイのテイクアウトもあげちゃいましたしね。」
「んなもん、チビ助が話してる間グーグー腹鳴らしとんのに、無視して話せるほど集中力高くないねん。笑い堪えんの大変だったねんで?!」
「ふふっ、そういう事にしておきます。」
何か今日はユーゴさんの意外な一面ばかり見ている。
何だかんだで、いい一日だった気がする。
そんな時、ガチャっと通用口の鍵が開いた。
顔を向けると、いつものマーメイが満面の笑みで入ってくる。
服装も髪型もここを出かけた時と同じ。
いつものマーメイだ。
それが少し泣けてきてしまう。
「ただいま~……って、あれ?!何で二人とも受付にいる訳?!」
「お帰り~。」
「お帰り、マーメイ。」
「ただいま、レンゲ♡」
私はいつものように笑って、大荷物のマーメイとハグをする。
ギュッと抱きしめられたマーメイの体からは、微かに香水と知らない化粧品の匂いがした。
でも何も言う必要はないのだ。
私のマーメイは今、ちゃんとここにいる。
ジャーンとばかりに屈託なく笑って、マーメイは手に持っているサンドイッチなどの軽食を見せてくる。
私は両手に持っていたそれを半分持ってあげた。
「二人ともご飯は食べて来たんでしょ?」
「うん。」
私の返事に、マーメイはニヤッと笑ってもう一度抱きつく。
そして「次は私とデートね♡」と耳元で囁いて、耳たぶにチュッとしてくる。
本当にこのセクシー美女は油断も好きもない。
赤くなった私を見て、マーメイは満足げに笑う。
「ならこれは明日の朝ごはんね~。最後に食事会というか立食パーティーみたいなのがあってね~、適当に時間見て会場を離れたらさ~、優しいスタッフさんが食事がまただろうからこちらをお持ち帰りくださいって言ってくれてね~。冷蔵庫に入れとくわ~。……って言うか、お客さん来てたの?!」
受付に散らばる書類と貨幣を手に取り、マーメイがササッと目を通す。
「……なるほどねぇ。こりゃ断れないわ~。」
マーメイも内容を見て苦笑した。
本当に何だかんだ、ここの人達は優しくて情に厚い。
私は嬉しくなって笑ってしまった。
「現金でもらっちゃったんだけど、大丈夫?」
「ん~何とかするから大丈夫!!……って言うか、え?!このテイクアウト容器!!もしかして!ガード下の汚い店に行ったの?!やだ!狡くない?!行くなら誘ってよ!!私も!!」
「あはは!あそこ美味しいよね!!今度三人で行こう?!」
「ちなみにまだ、えびせんとあげ饅頭ならあるで~。」
「やった!食べる食べる!!」
今日はたくさんの事があった。
でもこうして心から3人で笑い合える。
私達は皆、それぞれ何かを抱えている。
でもそれにむやみに踏み込む事なく、寄り添うように私達はここにいる。
ここ、インサイドビルド「マーメイド」に。
私が来てもうすぐ1ヶ月。
それぞれ何かを抱えながら、それでもここで3人、きっとこれからも共に過ごしていくのだとそう思えた。
いきなり笑いだしたから何かと思ったら、関西弁に戻ってると言って微笑んだ。
この喋り方、関西弁言うんかいな。
どうやられんげの世界の話し方の一つらしい。
ちっとも知らんかった。
れんげは隣に座って、でも別にワイの方をしげしげ見る訳でもなく、まっすぐ前を見ていた。
「……聞かないですよ、私。」
「…………。」
「誰にでも掘り下げられたくない過去の一つや二つ、あるもんです。」
「せやな……。」
「それに、私の生体認証の関係で、どうしても来なきゃいけなかったんですよね?」
「まぁ…そんなとこや。」
「ありがとうございます。」
「んや?マーメイに頼まれただけやし、レンゲちゃんが気にする事ないで?」
「でも、吐くほど来たくなかった場所なのに、来てくれたんでしょう?だからありがとうございます。」
「……いや、ええんや…。」
少しまた気分が悪るくなって俯いた。
そんなワイを気にするでもなく、れんげは立ち上がって階段を降り、踊り場に立った。
れんげは背を向けたまま振り向かない。
買ってやったばかりのオーバースカートがゆらゆらと柔らかく揺れる。
観賞魚のヒレみたいやと思った。
「これでちょっと、おあいこですね。」
「……何がや??」
「ユーゴさんは『レコードメモリーシステム』に入っている私のデータをいつも見てるでしょ?だからおあいこです。」
そう言ってれんげは笑って振り向いた。
お互いそれを見たけれどあえて何も言わない。
れんげのその笑顔を見て、何かどうでも良くなり苦笑して息を吐く。
その息にいらない過去の感情を全部詰めて、その場に吐き捨てた。
そして立ち上がってれんげに並んだ。
れんげは何事もなかったように、ただいつものようにそこに立っていた。
状況から食事はやめて何かテイクアウトでも買って帰ろうと言う話になった。
テイクアウトできるお店を探しながらバイクのある場所に向かってしばらく歩いていると、口数の少なかったユーゴさんがシッカを吸いながら言った。
「何や落ち着いてきたら、吐いたせいで腹減ってきたねん。何か食って帰ろや、レンゲちゃん。」
「え?!やめときましょうよ?!まだ顔色悪いですよ?!」
「それはエネルギー不足だからやねん。早よ食べんと動けなくなるで~??」
「え?!とりあえず座りましょう!!」
そう言って私はユーゴさんをガードレールに座らせた。
持ってるのは、マーメイにもらったシッカタブレットとグミだけだ。
クッキーとかチョコとかキャラメルとか、もう少し血糖値を上げられる物を持っておけばよかったとため息をつく。
「グミ、食べます??」
「それネチョネチョするさかい、好きやないねん……。」
「ならココアか何か買ってくるので……。」
私はそう言いながら、何気なく車道の向こうを見た。
そして目を丸くした。
「え?!マーメイ?!」
私の言葉にユーゴさんは億劫そうに振り返り、あぁと小さく呟く。
私は驚きすぎて口をぽかんと開けてガン見していた。
マーメイがいた。
でもマーメイじゃなかった。
そこにいたのはビシッとパンツスーツを着込み、高いパンプスをカツカツ鳴らすスタイリッシュで知的な美女。
髪はキュッとアップにまとめられ、誰かと通信しながら電子データを弄くり、周りの部下らしき人に指示を出している。
そしてそのまま、運転手が恭しく開けて待っていた高級送迎車に慌しく乗り込んでいく。
自分の見ているものが信じられなかった。
瞬きをするのも忘れて凝視している私の目を、ユーゴさんが手で覆った。
「わっ!!何するんですか?!」
「……あんま見んといてやってや。」
「え??」
「レンゲちゃんも言うとったやん。誰にだって掘り下げられたくない部分があるんやて。」
「……あ…。」
「マーメイはレンゲちゃんには、いつものあのマーメイを見てて欲しいんや。だから、あんま見んといてやってや。」
「……はい。」
そう言われ、ちょっと反省する。
マーメイは店を出る時はスーツも着ていなかったし、髪だってアップにしてなかった。
でも今はそうしているという事は、「マーメイド」ではあの姿を見せたくなかったと言う事だ。
そう思うと、じろじろと見てしまった事が申し訳なくなる。
そんな私の頭をユーゴさんがグリグリ撫でた。
「んな顔すんなや。別に見たかて、怒らへんよ。」
「はい……。」
「あ~!とにかく腹減った~!頭に血が回らんからグラグラすんねん。」
「え?!大丈夫ですか?!」
「このままバイク乗んのは危ないさかい、飯食って帰ろうな?レンゲちゃん??」
ワシャワシャ撫でられ、顔をのぞき込まれる。
悔しいけど、多分、今日一、ユーゴさんがカッコよく見えた。
「……ズルい…。」
「何がやねん??」
「もういいです!!」
「したら、近くにボロくて汚くて、安くて旨い飯屋があるさかい、そこ行ってもええか??」
「いいですよ??」
「見たらメチャクチャひくと思うねんけど、味は保証するで?……ま、デートで行く店、ちゃうけどな?!」
そしてニヤッと笑う。
いつもの掴みどころのない笑みだった。
それを見て妙に安心した。
「元々、デートじゃないじゃないですか!!」
「デートやん??」
「も~、そうやってからかって……。私もそのノリ、流石にもう疲れてきたんで、ここからはいつも通りで行きましょう!!」
「せやな。肩凝ったわ。」
「私のせいみたいに言わないでくれますか?!」
私がムスッとすると、ユーゴさんはニヤニヤといつものように笑った。
本当、今日のユーゴさんは何だったんだろう??
あそこに行くつもりだったから、朝から気を張ってたのかもしれない。
だとしたら今日一日の変な態度も納得だ。
でも本当、私の方もデートデート言われて疲れてしまった。
本当、人の気も知らないでデリカシーがない人だ。
そう考えると、いつも通りのユーゴさんだったのかもしれない。
その後、連れて行ってくれたのはガード下を無理やり店にした屋台の様な、確かにボロくて汚い店だった。
そこの外に設置された油まみれのテーブルに座り、料理を食べた。
メニューを見てもよくわからず、何を頼んだらいいかわからなかったのでユーゴさんにお任せした。
言わなくても「レコードメモリーシステム」で私が食べれないものや苦手なものを知っているので、運ばれてきた料理は好みの味だった。
「凄い美味しい!!これ!メチャクチャ美味しいですよ!!ユーゴさん!!毎日でも食べられそう!!」
「せやろ?!せやろ?!メチャクチャ汚いけど、アホみたいに旨いねん。」
「ユーゴさんが言うほど、気になりませんけどねぇ、私。」
「マジで??ワイ、一回、女の子連れてきたら、食べる前にひっぱたかれてフラレたで?!」
「まぁ……普通の女の子がデートでここに連れて来られたら基本そうなるでしょうねぇ~。」
「ここ来てうまいうまい言うて食べてくれたん、レンゲちゃんとマーメイだけやで?!」
「う~ん、ユーゴさんが狙う女の子のタイプがわからないので何とも言えませんが……。まぁ、平気なタイプも少ないですがいるって事です。」
「なるほどなるほど。」
そう言ってユーゴさんは、具だくさんのあんかけに中華パンみたいのを絡めて美味しそうに頬張った。
食欲はあるみたいで良かったとホッとする。
「ここってテイクアウトできるんですか??」
「何やねん、今日はよく食うやん??レンゲちゃん??」
「違います!!マーメイが帰ってきたら食べるかなぁと思って!!あの様子じゃちゃんと食べてなさそうじゃないですか!!」
「なるほどなぁ~。ええ子やな、レンゲちゃん。」
ニマァと笑われ、頭を撫でられる。
完全に子供扱いされてる!!
腹立たしいけれど、昼間のユーゴさんより、こっちのいつも通りの捻くれた物言いの方がいい。
そんな感じでマーメイが好きだと言う料理と、デサートっぽいあげ饅頭みたいのと、えびせんみたいのを買って帰った。
何か、大荷物になったなぁ。
バイクに乗りながら揺れるテイクアウトのビニール袋を見つめる。
えびせんみたいなのかかさばるから大きく見えるだけとも言うが、とてもデート帰りという感じではない。
でもその方がしっくり来たし、安心した。
朝はバイクに乗るのにユーゴさんにしがみつかなきゃならないのが恥ずかしかったのだが、ユーゴさんの運転を知ってからは恥ずかしいもクソもなくなった。
死ぬ気でしがみついてないと、死ぬ。
本人は全く気にしていない辺りが怖い。
もしもまたユーゴさんと出かけなければならない事があっても、バイクだけは遠慮したいと思っていた。
もしくは三人で出かけてマーメイの後ろに乗る。
店舗兼住居のボロ雑居ビルに着き、バイクを止める。
マーメイのバイクはない。
まだそこまで遅い時間ではないけれど、ちゃんと今日中に帰ってこれるだろうかと心配になった。
階段を上がり、店の通用口の鍵を開けようとしたら、店舗入口の方からひょこっと誰かがこちらを見た。
すぐにユーゴさんが私を引っ張って後ろに隠す。
「誰や?!」
「あ、あの……ごめんなさい!!」
「子供?!」
「すみません……ここってお話を作ってくれるお店ですか??」
私達は顔を見合わせた。
ユーゴさんが私に目配せをして、中に入れと合図する。
子供で気を引いて行われる犯罪もあるからだ。
そんな風には見えないし可哀想な気もしたが、私はやっと生体認証がついたばかりの異世界から来た人間だ。
何かに巻き込まれて調べられたら、まずい事になりかねない。
だからおとなしく、ユーゴさんの指示通りにした。
ユーゴさんが子供と背後を気にしているうちに通用口を入り、鍵を閉める。
ちょっと罪悪感を感じるが、匿ってもらっている身の上だ。
おかしな事に巻き込まれてはマーメイとユーゴさんにも迷惑がかかるので仕方がない。
どうなったのか気がかりで、そのまま受付の椅子に座って待っていた。
しばらくするとガチャリと鍵が開けられ、ユーゴさんが入ってくる。
その脇には小さな男の子。
私は咄嗟に駆け寄った。
「お客さんや、レンゲ。」
「え??」
「すみません、僕、今日が定休日って知らなくて……。」
「ええええ。それよか腹減っとるやろ?レンゲ、温かいお茶入れてやってや。」
「は、はい!!」
そう言われ、すぐさま受付用電気ポットでお湯を沸かす。
お茶の準備をしながら、ちらりとその子を観察した。
歳は小学生高学年くらいだろうか?
身なりも悪い訳じゃないし、言葉遣いも丁寧だった。
受付の一部の電気をつけ、ユーゴさんが使い捨ておしぼりで手を拭かせ、テイクアウトを食べさせ始める。
何か意外だった。
時間外に仕事なんかしたくないといつも突っぱねようとしてマーメイにドヤされているのに、定休日なのにその子を迎え入れ、しかも食事をさせている。
受付の機械を起動させ、本当に受付をして話を聞いている。
私がお茶を持っていくと、ユーゴさんからメモを渡された。
『ここに連絡、親父さんに迎え。』
私は少し裏手に周り、メモの連絡先にアクセスする。
父親らしき人はすぐに出た。
仕事中らしく、はじめは企業名を名乗っていた。
息子さんが店に来ている事、時間が時間なのでできれば迎えに来て欲しい事を伝えると、30分ほどで来るとの事だった。
忙しそうにしていたので淡々としていたが、一応謝罪とお礼を言われた。
時間に追われ少し苛立ってはいたが、男の子を怒ってはいなかった。
むしろ戸惑ったような、複雑な声だった。
何かしら事情があるのだろうが、深入りする部分ではない。
私はメモを書き、聞き取り作業をしているユーゴさんの邪魔をしないようにそれを見せた。
ユーゴさんはこちらをチラ見し、頷く。
私は店のドアの鍵を開け、自動の電源は入れずに置いた。
「~~~~って感じやな?それでええん??」
「はい、お願いします。」
「とりあえず口拭けや~。おもろい顔になっとるで?」
ティッシュを渡しながら、ユーゴさんが笑う。
…………意外だ。
ユーゴさんが子供に優しいなんて意外だ。
そんな事を思っていると、バタバタと誰かが階段を駆け上がってくる音がする。
「レンゲ、お茶淹れて。」
「はい。」
さり気なく私を奥にやるユーゴさん。
入れ替わるようにドアの方に行く。
来たのはやはり男の子のお父さんで、何度も頭を下げられた。
私は父親に冷たいお茶を出す。
彼はそれを一気に飲み干した。
「息子がご迷惑をかけました。」
「いえいえ、お客さんですから、何も迷惑はかかってまへんがな。」
「はぁ……。」
男の子の父親はとても怪訝そうな顔をしていた。
インサイドビルドはピンキリあれどもメジャーな仕事ではあるが、そうやって話を作ってもらう事にお金を払う意味を感じない人もいる。
おそらくこのお父さんはそういうタイプで、インサイドビルドをインチキ商売だと思っているのだろう。
そんな印象を受けた。
ユーゴさんが私に目配せをした。
父親の方は私が対応した方がいいと判断したのだろう。
私はデスクの下から書類を取り出し、にこやかにお父さんの前に座った。
「お忙しい中および立てしてしまい、申し訳ございませんでした。流石にこの時間ですと、ご子息をお一人でお帰しするのはいかがなものかと思いまして、こちらの判断で勝手ながらご連絡させて頂きました。」
営業スマイルでそう告げると、父親は申し訳なさそうに頭を掻いて俯いた。
「いえ、ご連絡頂けて助かりました。」
「それは良かったです。せっかくご来店頂きましたので、よろしければこちらの書類のご記入をお願いしてもよろしいでしょうか?」
「書類、ですか?」
「はい。一応、未成年のお客様の場合、親御さんに一筆頂かなければならない決まりとなっております。またご要望があれば、お子様にお渡しする前に、内容のご確認をいただく事も可能です。」
私が話している間に、ユーゴさんは依頼内容の起承転結等の要望部分などをプリントアウトしてくれた。
それを男の子には見せないように父親に見せる。
「こちらの内容でお受けしております。」
「!!」
その内容を見て、父親は固まった。
そして何も言わずに書類にサインをしていく。
「確認させて頂きます。」
記入漏れがないか目を通す。
その際、出来上がったデータの確認が必要か否かのチェックには、しなくていいと言う方に丸がしてあった。
「記入漏れはございませんので、お帰りになって大丈夫です。受け渡しは1週間後に店舗受け取りと伺っておりますが、3週間しても取りに見られない場合は着払いでお届けする処理の終了を契約完了とさせて頂きます。運搬業者引き渡し後の事故・紛失等の責任は負いかねますのでご了承下さい。この度はご利用、ありがとうございました。」
「いえ……よろしく…お願いします……。」
父親はそう言うと、男の子の手を引いて帰って行った。
私は男の子の依頼内容の書かれたプリントアウトを手に取って眺める。
「……何か、複雑やな。」
「そうですね。」
しばらく無言になる。
ユーゴさんがジャラリと貨幣を受付に置いた。
「電子貨幣以外、うち、受け付けないんじゃなかったんですか??」
私は笑ってそう言った。
ユーゴさんがちょっとムスッとして頬杖をつく。
「ずっと溜め込んどった小遣い出されて、電子貨幣やないから受け付けへんなんて言えるほど、ワイ、冷血漢やないで??レンゲちゃん。」
「マーメイのテイクアウトもあげちゃいましたしね。」
「んなもん、チビ助が話してる間グーグー腹鳴らしとんのに、無視して話せるほど集中力高くないねん。笑い堪えんの大変だったねんで?!」
「ふふっ、そういう事にしておきます。」
何か今日はユーゴさんの意外な一面ばかり見ている。
何だかんだで、いい一日だった気がする。
そんな時、ガチャっと通用口の鍵が開いた。
顔を向けると、いつものマーメイが満面の笑みで入ってくる。
服装も髪型もここを出かけた時と同じ。
いつものマーメイだ。
それが少し泣けてきてしまう。
「ただいま~……って、あれ?!何で二人とも受付にいる訳?!」
「お帰り~。」
「お帰り、マーメイ。」
「ただいま、レンゲ♡」
私はいつものように笑って、大荷物のマーメイとハグをする。
ギュッと抱きしめられたマーメイの体からは、微かに香水と知らない化粧品の匂いがした。
でも何も言う必要はないのだ。
私のマーメイは今、ちゃんとここにいる。
ジャーンとばかりに屈託なく笑って、マーメイは手に持っているサンドイッチなどの軽食を見せてくる。
私は両手に持っていたそれを半分持ってあげた。
「二人ともご飯は食べて来たんでしょ?」
「うん。」
私の返事に、マーメイはニヤッと笑ってもう一度抱きつく。
そして「次は私とデートね♡」と耳元で囁いて、耳たぶにチュッとしてくる。
本当にこのセクシー美女は油断も好きもない。
赤くなった私を見て、マーメイは満足げに笑う。
「ならこれは明日の朝ごはんね~。最後に食事会というか立食パーティーみたいなのがあってね~、適当に時間見て会場を離れたらさ~、優しいスタッフさんが食事がまただろうからこちらをお持ち帰りくださいって言ってくれてね~。冷蔵庫に入れとくわ~。……って言うか、お客さん来てたの?!」
受付に散らばる書類と貨幣を手に取り、マーメイがササッと目を通す。
「……なるほどねぇ。こりゃ断れないわ~。」
マーメイも内容を見て苦笑した。
本当に何だかんだ、ここの人達は優しくて情に厚い。
私は嬉しくなって笑ってしまった。
「現金でもらっちゃったんだけど、大丈夫?」
「ん~何とかするから大丈夫!!……って言うか、え?!このテイクアウト容器!!もしかして!ガード下の汚い店に行ったの?!やだ!狡くない?!行くなら誘ってよ!!私も!!」
「あはは!あそこ美味しいよね!!今度三人で行こう?!」
「ちなみにまだ、えびせんとあげ饅頭ならあるで~。」
「やった!食べる食べる!!」
今日はたくさんの事があった。
でもこうして心から3人で笑い合える。
私達は皆、それぞれ何かを抱えている。
でもそれにむやみに踏み込む事なく、寄り添うように私達はここにいる。
ここ、インサイドビルド「マーメイド」に。
私が来てもうすぐ1ヶ月。
それぞれ何かを抱えながら、それでもここで3人、きっとこれからも共に過ごしていくのだとそう思えた。
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