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第37話 新たな時代

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 帰宅して眠り、目覚めると昼過ぎだった。
 思ったより寝てしまった。

 とは言え、別に予定があるわけでもない。
 スマホを触りながらベッドで時間を潰す。
 その間で世間の情勢もチェックした。

 たとえ一日単位でも、狂った世界は目まぐるしく変動する。
 国外のある国では、変容した人間による犯罪が多発しているらしい。
 既にモンスターが狩り尽された地域では、特に人間狩りが流行っているそうだ。
 コンビニにいたような人種が続出しているのだろう。
 もはや秩序など皆無に等しく、人間同士の生存競争に突入していた。

 他の国も混沌の第一段階を越えて、新たな状況を迎えようとしている。
 日本も例外ではない。
 今後は人間との殺し合いも増えていくはずだ。

 手に入れた能力を試したいと考える者は、きっと少なくない。
 その時に備えて、色々と準備を進めておくべきだった。

 まずは近隣のモンスターを殺し続けて、肉体の変容を進めるのが良いだろう。
 拠点の安全確保になり、戦いにも慣れることができる。
 今の状態でも複数人を相手取れることは判明したが、あれは変容で有利だったから勝てた。
 そこに慢心していると、いずれ足元をすくわれることになる。

 せっかく愉快な時代が到来したのだ。
 なるべく満喫したい。
 命は惜しくないものの、まだ死ぬ時期ではないと思っている。
 生存の努力を怠るべきではないだろう。

 起床から二時間後。
 ようやくベッドから出てシャワーを浴びた。
 クロスボウに貫かれた傷は、ほとんど治癒している。
 その箇所だけが皮膚がざらついているが、動いて痛むこともない。

 相変わらず凄まじい回復力だ。
 変容の恩恵をまた実感した瞬間だった。

 簡単に装備を整えてからマンションを出発する。
 今日は自転車に乗っての移動だ。
 これで効率よく離れた場所へ行くことができる。
 リュックサックを背負って軽快に漕ぎ進めていく。

 今日の目的地は決まっている。
 自宅から車で十分ほどの場所にある商店街である。
 そこで日用品を揃える予定だった。

 別にマンションの他の部屋を巡れば事足りるものの、こういった時でないと商店街に赴く機会がない。
 興味が湧いてしまったのだから、我慢することもないだろう。
 移動ついでにモンスターを倒せば効率面も悪くない。

 もし生存者が占拠していたら、大人しく離れるつもりだ。
 攻撃してくるのならば反撃する。

 何にしろ、一度は覗いてみたい。
 偵察も兼ねて確認してみようと思う。
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