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第36話 軽快な帰路

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 数分後。
 生存者の皆殺しが完了した。
 スタッフ用の区画にいた者を始末した後、店内を入念に探索した。
 そしてトイレに閉じこもる者を発見した。
 扉を破壊して引きずり出して、首を掻き切っておいた。

 これで店内の制圧が済んだ。
 長居は無用なので、持ち帰る物資を集め始める。
 袋入りの菓子や酒類、冷凍食品は優先的に確保する。
 ペットボトルの飲料も大事だろう。
 自宅で映画でも観ながら味わいたいと思う。

 死体から武器も奪っておいた。
 クロスボウと矢を全部で四セットだ。
 銃と違って発射音が静かだが、連続で撃てないのが難点だろう。

 ただ、持っておいて損はない。
 使い方はネットで調べれば分かる。
 やり方次第でモンスターにも通用するはずだ。
 とりあえず見つかった分は残らず貰うことに決めた。

 他にも剣鉈やサバイバルナイフ、手斧があった。
 生存者の予備の武器だ。
 刃物はやはり使い勝手が良いので欲しい。
 残念ながら銃火器はなかった。
 金属バットや包丁は一般家庭でも見つかるため、今回はスルーする。

 荷物が多すぎるので、無駄な物は持ち帰れない。
 本当に惜しければ、後ほど回収に来ればいいだろう。
 リュックサックに入り切らない分は、ゴミ袋を何枚か重ねて物資を詰め込んでいく。
 それなりの重量だが持てないほどではない。

 コンビニを出たところで、ふと閃いて駐車場に注目する。
 そこには自転車があった。
 所謂ママチャリだ。
 鍵が破壊されて、前カゴの側面に鞘のような物が括り付けられている。
 剣鉈を差し込んでみると、ぴたりと収まるサイズだった。

 どうやら生存者が盗んできた自転車らしい。
 これを移動手段にしていたようだ。
 実に合理的な判断である。
 自転車は走行音が小さく、乗り捨てても惜しくない。
 荷物もそれなりに載せることができる。

 せっかくなので自転車も貰うことにした。
 今回の成果をビニール紐で前カゴと後ろの荷台に結んで固定すると、軽く地面を蹴ってからペダルを漕ぎ始める。
 そこから軽快に帰路を辿っていく。

 久々に乗る自転車はなかなかに快適だった。
 緩やかに荒廃の始まった住宅街を進むのも楽しい。
 さすがにベルを鳴らすのだけは遠慮しておいた。
 そのままモンスターに遭遇することなくマンションに到着した。
 自転車を駐車場の端に停めて、エレベーターを使って悠々と自宅に戻った。
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