10 / 107
第10話 変容の始まり
しおりを挟む
何のきっかけもなく目が覚めた。
身体の痛みや疲れは感じない。
実に良い睡眠だった。
そこで気付く。
あまりにも痛みが無さすぎる。
オークとの戦いで数カ所を骨折し、内臓破裂の疑いもあった。
最低限にも満たない応急処置を施した程度で治るはずもない。
だからおかしいのだ。
ひとまず横になっていたソファから立ち上がる。
問題なく立ち上がることができた。
足腰はしっかりとしており、このまま走り回ることもできそうだった。
いや、他の部位も同様だ。
スーツはボロボロで汚れているが、肉体は絶好調である。
傷も疲労が跡形もなく消え去っている。
全治数カ月は下らない怪我が、元から存在しなかったように治癒していた。
不気味すぎる現象だ。
もっとも、世界各地を跋扈するモンスターに比べれば些細なことかもしれない。
自分にとって悪いことでもないし、考えたところで原因が分かるはずもなかった。
寝起きで推察を深めるのも面倒だったので、とりあえず食事をとることにした。
やたらと空腹で倒れそうなのだ。
お湯を沸かす間にシャワーを浴びて私服に着替える。
安物のシャツにジーパンだ。
スーツはもう着れたものではない。
近所に販売店があるので、いずれ見に行こうと思う。
その後、カップ麺をすすりながらパソコンで情報を集めた。
驚くことに、オークとの戦闘から四日が経過していた。
体感的には半日くらいだったが、思った以上に眠り込んでいたようである。
それだけ消耗していたということだろう。
死ななかった自分のしぶとさに感心してしまう。
いくつかのサイトを見て回るうちに、気になる情報を得た。
それは真偽不明という立ち位置にありながら、無視できない内容だった。
心当たりと思しき現象を知ったばかりだからである。
――モンスターを殺した人間は強くなれる。
曰く、身体能力が高まる。
曰く、五感が研ぎ澄まされる。
曰く、若返った。
曰く、目が見えるようになった。
曰く、空を飛べた。
荒唐無稽な話が大半だが、共通してモンスターの殺害がきっかけだという。
殺害数に比例して力も上がる傾向にあるらしい。
モンスターの種類によって得られる力が変わるそうだ。
誰が作成したのか知らないが、図説した画像がネット上に出回っていた。
普段ならガセだと断ずるだろう。
しかし、現在の私はこの身で味わっている。
たった四日で怪我が治ったのは、オークを殺して強くなったからではないか。
自然治癒の範疇を超えているのだ。
原因と言えばこれしか思い当たるものがなかった。
身体の痛みや疲れは感じない。
実に良い睡眠だった。
そこで気付く。
あまりにも痛みが無さすぎる。
オークとの戦いで数カ所を骨折し、内臓破裂の疑いもあった。
最低限にも満たない応急処置を施した程度で治るはずもない。
だからおかしいのだ。
ひとまず横になっていたソファから立ち上がる。
問題なく立ち上がることができた。
足腰はしっかりとしており、このまま走り回ることもできそうだった。
いや、他の部位も同様だ。
スーツはボロボロで汚れているが、肉体は絶好調である。
傷も疲労が跡形もなく消え去っている。
全治数カ月は下らない怪我が、元から存在しなかったように治癒していた。
不気味すぎる現象だ。
もっとも、世界各地を跋扈するモンスターに比べれば些細なことかもしれない。
自分にとって悪いことでもないし、考えたところで原因が分かるはずもなかった。
寝起きで推察を深めるのも面倒だったので、とりあえず食事をとることにした。
やたらと空腹で倒れそうなのだ。
お湯を沸かす間にシャワーを浴びて私服に着替える。
安物のシャツにジーパンだ。
スーツはもう着れたものではない。
近所に販売店があるので、いずれ見に行こうと思う。
その後、カップ麺をすすりながらパソコンで情報を集めた。
驚くことに、オークとの戦闘から四日が経過していた。
体感的には半日くらいだったが、思った以上に眠り込んでいたようである。
それだけ消耗していたということだろう。
死ななかった自分のしぶとさに感心してしまう。
いくつかのサイトを見て回るうちに、気になる情報を得た。
それは真偽不明という立ち位置にありながら、無視できない内容だった。
心当たりと思しき現象を知ったばかりだからである。
――モンスターを殺した人間は強くなれる。
曰く、身体能力が高まる。
曰く、五感が研ぎ澄まされる。
曰く、若返った。
曰く、目が見えるようになった。
曰く、空を飛べた。
荒唐無稽な話が大半だが、共通してモンスターの殺害がきっかけだという。
殺害数に比例して力も上がる傾向にあるらしい。
モンスターの種類によって得られる力が変わるそうだ。
誰が作成したのか知らないが、図説した画像がネット上に出回っていた。
普段ならガセだと断ずるだろう。
しかし、現在の私はこの身で味わっている。
たった四日で怪我が治ったのは、オークを殺して強くなったからではないか。
自然治癒の範疇を超えているのだ。
原因と言えばこれしか思い当たるものがなかった。
0
お気に入りに追加
38
あなたにおすすめの小説
スライム10,000体討伐から始まるハーレム生活
昼寝部
ファンタジー
この世界は12歳になったら神からスキルを授かることができ、俺も12歳になった時にスキルを授かった。
しかし、俺のスキルは【@&¥#%】と正しく表記されず、役に立たないスキルということが判明した。
そんな中、両親を亡くした俺は妹に不自由のない生活を送ってもらうため、冒険者として活動を始める。
しかし、【@&¥#%】というスキルでは強いモンスターを討伐することができず、3年間冒険者をしてもスライムしか倒せなかった。
そんなある日、俺がスライムを10,000体討伐した瞬間、スキル【@&¥#%】がチートスキルへと変化して……。
これは、ある日突然、最強の冒険者となった主人公が、今まで『スライムしか倒せないゴミ』とバカにしてきた奴らに“ざまぁ”し、美少女たちと幸せな日々を過ごす物語。
神速の成長チート! ~無能だと追い出されましたが、逆転レベルアップで最強異世界ライフ始めました~
雪華慧太
ファンタジー
高校生の裕樹はある日、意地の悪いクラスメートたちと異世界に勇者として召喚された。勇者に相応しい力を与えられたクラスメートとは違い、裕樹が持っていたのは自分のレベルを一つ下げるという使えないにも程があるスキル。皆に嘲笑われ、さらには国王の命令で命を狙われる。絶体絶命の状況の中、唯一のスキルを使った裕樹はなんとレベル1からレベル0に。絶望する裕樹だったが、実はそれがあり得ない程の神速成長チートの始まりだった! その力を使って裕樹は様々な職業を極め、異世界最強に上り詰めると共に、極めた生産職で快適な異世界ライフを目指していく。
性的に襲われそうだったので、男であることを隠していたのに、女性の本能か男であることがバレたんですが。
狼狼3
ファンタジー
男女比1:1000という男が極端に少ない魔物や魔法のある異世界に、彼は転生してしまう。
街中を歩くのは女性、女性、女性、女性。街中を歩く男は滅多に居ない。森へ冒険に行こうとしても、襲われるのは魔物ではなく女性。女性は男が居ないか、いつも目を光らせている。
彼はそんな世界な為、男であることを隠して女として生きる。(フラグ)
若返ったおっさん、第2の人生は異世界無双
たまゆら
ファンタジー
事故で死んだネトゲ廃人のおっさん主人公が、ネトゲと酷似した異世界に転移。
ゲームの知識を活かして成り上がります。
圧倒的効率で金を稼ぎ、レベルを上げ、無双します。
【超速爆速レベルアップ】~俺だけ入れるダンジョンはゴールドメタルスライムの狩り場でした~
シオヤマ琴@『最強最速』発売中
ファンタジー
ダンジョンが出現し20年。
木崎賢吾、22歳は子どもの頃からダンジョンに憧れていた。
しかし、ダンジョンは最初に足を踏み入れた者の所有物となるため、もうこの世界にはどこを探しても未発見のダンジョンなどないと思われていた。
そんな矢先、バイト帰りに彼が目にしたものは――。
【自分だけのダンジョンを夢見ていた青年のレベリング冒険譚が今幕を開ける!】
集団転移した商社マン ネットスキルでスローライフしたいです!
七転び早起き
ファンタジー
「望む3つのスキルを付与してあげる」
その天使の言葉は善意からなのか?
異世界に転移する人達は何を選び、何を求めるのか?
そして主人公が○○○が欲しくて望んだスキルの1つがネットスキル。
ただし、その扱いが難しいものだった。
転移者の仲間達、そして新たに出会った仲間達と異世界を駆け巡る物語です。
基本は面白くですが、シリアスも顔を覗かせます。猫ミミ、孤児院、幼女など定番物が登場します。
○○○「これは私とのラブストーリーなの!」
主人公「いや、それは違うな」
剣と魔法の世界で俺だけロボット
神無月 紅
ファンタジー
東北の田舎町に住んでいたロボット好きの宮本荒人は、交通事故に巻き込まれたことにより異世界に転生する。
転生した先は、古代魔法文明の遺跡を探索する探索者の集団……クランに所属する夫婦の子供、アラン。
ただし、アランには武器や魔法の才能はほとんどなく、努力に努力を重ねてもどうにか平均に届くかどうかといった程度でしかなかった。
だがそんな中、古代魔法文明の遺跡に潜った時に強制的に転移させられた先にあったのは、心核。
使用者の根源とも言うべきものをその身に纏うマジックアイテム。
この世界においては稀少で、同時に極めて強力な武器の一つとして知られているそれを、アランは生き延びるために使う。……だが、何故か身に纏ったのはファンタジー世界なのにロボット!?
剣と魔法のファンタジー世界において、何故か全高十八メートルもある人型機動兵器を手に入れた主人公。
当然そのような特別な存在が放っておかれるはずもなく……?
小説家になろう、カクヨムでも公開しています。
転生したら脳筋魔法使い男爵の子供だった。見渡す限り荒野の領地でスローライフを目指します。
克全
ファンタジー
「第3回次世代ファンタジーカップ」参加作。面白いと感じましたらお気に入り登録と感想をくださると作者の励みになります!
辺境も辺境、水一滴手に入れるのも大変なマクネイア男爵家生まれた待望の男子には、誰にも言えない秘密があった。それは前世の記憶がある事だった。姉四人に続いてようやく生まれた嫡男フェルディナンドは、この世界の常識だった『魔法の才能は遺伝しない』を覆す存在だった。だが、五〇年戦争で大活躍したマクネイア男爵インマヌエルは、敵対していた旧教徒から怨敵扱いされ、味方だった新教徒達からも畏れられ、炎竜が砂漠にしてしまったと言う伝説がある地に押し込められたいた。そんな父親達を救うべく、前世の知識と魔法を駆使するのだった。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる