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新人魔女と不思議な花(4)

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「水の中?」

 その時ようやくリッカは自身がずぶ濡れであることに気がついた。リッカは必死に考える。自分は一体何をしていたのか。そして、途中で記憶が途切れていることに気がつく。

「わたし、何かした?」

 リッカの不安気な問いかけにフェンは困ったように頷いた。それを見てリッカはさらに不安になる。まさかと思い恐る恐る口を開く。

「ま、まさか、フェンに攻撃を……?」

 自身の行動に自信が持てない様子のリッカにフェンがそっと寄り添うとリッカの頬に顔を寄せる。

「大丈夫です。そのようなことはされていません。ただ、あの花は危険だと思います」
「花?」

 訳が分からず首を傾げるリッカに、フェンは優しく言い聞かせるように話す。

「あの花には何か不思議な力があるようです。リッカ様は夢中であの花を食べられて……その後もあの花を求めて水の中へ」

 フェンの説明を聞いた瞬間、リッカはサーッと青ざめる。

「わたし、なんてことを」

 自分が取った行動が信じられないとリッカは愕然とした表情で頭を抱えた。フェンの必死の制止がなければ自分は水の中で溺れて命を落としていたかもしれないのだ。

「ごめんなさい! フェンに心配をかけてしまって」
「大丈夫ですよ。しっかり正気に戻っていらっしゃいますから」

 フェンは落ち込むリッカを元気づけるように優しく声をかける。

「だったら、どうしてフェンはそんなに弱っているの?」

 リッカの問いかけにフェンは困った様子で答えた。

「リッカ様の体内魔力が一時的に濃くなったので、ちょっと魔力酔いを起こしました。でも、リッカ様の魔力はもう落ち着かれているので、しばらくすれば僕も大丈夫だと思います」

 リッカはフェンが魔力酔いを起こしている理由を聞いて肩を落とす。

「わたしのせいで、フェンに辛い思いをさせているのね」

 リッカは申し訳なさそうに俯く。自分の魔力の影響を抑えることができればとあれこれ考えるが良い方法が思いつかない。そんな様子を見てフェンは口を開く。

「心配いりません。一時のことです。しばらく休めば良くなりますから」

 そう言ってフェンは、リッカを元気づけるようにニカッと笑った。その様子にリッカも力無く笑う。

 それでもフェンのことが心配でリッカがソワソワとしていると、休憩がてら体を乾かした方が良いだろうと使い魔に助言をされた。

 リッカは慌てて焚き火の準備を始める。それから自身の周りに暖かい空気の膜を張るようなイメージで弱い風魔法を巡らせた。
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