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新人魔女とわがまま師匠(5)

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 リッカがリゼとエルナの幸せを願って出した条件が、リゼに突拍子もない案を思いつかせたようだった。

「それでエルナさんを我が家の養女にしようと考えたのですね。でも、そんなに上手く事が運ぶと思ったのですか? そもそもわたしの両親が了承すると思っていたのですか?」

 リッカはリゼに問いかけたが、リゼは不敵に笑った。

「もちろんだ。宰相は、君を私の元になどやりたくはないだろうからな」

 リゼは自信満々に言い切る。リッカは訝しげにリゼの次の言葉を待った。リゼはニヤリと笑みを浮かべると、堂々と言い切る。

「危険視されて幽閉されていたような皇子など、厄介ごと以外の何ものでもない。私が父親ならば、娘をそんな輩に嫁がせたくはないさ。それに、宰相家の跡取りは君一人なのだ。それを王家に嫁がせるとなると、宰相家には跡取り問題が浮上する。家長からすれば頭の痛い問題だろう。だから、回避案があるならば、便乗するだろうと見当はつけていた」

 リッカはリゼの言葉に目を丸くした。確かに、リッカが王族へ嫁げば、宰相家の跡取り問題にも発展する可能性があった。そんなことには全く考えの至らなかったリッカは改めて自分の浅慮に落胆した。

 しかし、いくらリゼの思惑通り事が進もうとも、話はそう簡単ではない。一体どのようにしてエルナとの婚姻に漕ぎ着けるつもりなのか。リッカはリゼに疑問を投げかけた。

「でも、マリアンヌ様は、わたしとリゼさんの婚姻をお望みなのでしょう? どのようにしてエルナさんと婚姻されるおつもりなのですか?」

 リッカの言葉に、リゼはニヤリと不敵な笑みを浮かべる。その笑みは、一目で何かを企んでいると分かる笑みで、リッカは思わず頬をひくつかせた。そんなリッカに構うことなく、リゼは一つ咳払いをすると語り始める。

「姉上が望まれているのは、宰相家の娘であって、君とは言っていない。先日までは、宰相家の娘は君以外にありえなかったが、エルナさんが宰相家へ入れば、エルナさんも宰相家の娘ということになる。姉上のご意志を汲むことになるではないか」

 リゼの言葉に一瞬目が点になったリッカだったが、すぐに正気に戻ると慌てて反論する。

「マリアンヌ様は、そんなつもりで婚姻の話をされたわけでは……」

 しかし、リゼはリッカの反論をばっさりと切り捨てた。

「君は、皆を幸せにしたいと言っていたではないか。この方法なら万事解決するというのに、何をそんなに反対する理由があるのだ?」
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