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夏の章
夏の章(16)
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緑は、自身の頬を両手で挟みながら、イヤイヤと首を振った。表情豊に気持ちを表現する緑を可愛いと感じながら、私は苦笑気味に笑う。
「違うの。緑ちゃんのことをそんな風に思ってないから。私があの子に言われたんだ」
「ああ。木本なら、言いそうね。実際、私も言われた事あるし」
緑は、変に納得の声を出す。
緑の話によると、木本徳香と言う女子生徒は、自分以外の女子が、青島くんと仲良くすると、まるで癇癪を起こしたかの様に、私にした様な嫌がらせを相手の女子が青島くんのそばから離れるまで毎日のようにつづけるのだとか。
幼少の頃は、青島くんが他の子と遊んでいたことで、木本さんが癇癪を起こすことはしょっちゅうで、その度に、青島くんは木本さんの相手をしていたそうだ。
しかし、小学生になり、自然と異性の友達と距離ができ始める頃になると、青島くんも木本さんの相手をしなくなった。それなのに、緑ちゃんとだけは、変わらず付かず離れずの距離を保ち、気安く言葉を交わしていた。その事が、木本さんには面白くなく、彼女は、緑ちゃんに対して執拗な嫌がらせをしたのだと言う。
しかし、緑ちゃんのあっけらかんとした性格が功を奏し、また幼少の頃から木本さんの性格を知っていた事で、緑ちゃんは、木本さんから受ける嫌がらせを、面倒臭いと思いつつも、大ごとにせず、上手いこと受け流していたらしい。
中学生になると、木本さんの面倒臭さを知っている子たちは、青島くんと関わることを自重し、時折、事情を知らない女の子だけが、青島くんと交流を持とうとしたという。しかし、すかさず、木本さんからの洗礼を受け、女の子たちは青島くんと関わる事を諦めていったらしい。だから、青島くんはモテないのだとか。
「まぁ、ヒロくん本人も、木本の事を面倒くさいと思ってはいるだろうけれど、モテない事については、あまり気にしてないみたいだけどね~。あいつ、サッカーバカだからさ」
そう言って可笑しそうに笑った緑の話を聞いて、少し納得した。青島くんは、優しい割に、女の子に人気がない事が不思議だったのだ。
「そっか。青島くん、優しくて素敵なのに、どうして女の子に人気が無いのか不思議だったけど、木本さんのせいだったんだね」
「いや~。それはどうかな。まぁ、木本のせいってのはあるけど、そもそもヒロくんって、女子にそんなに優しくないよ。ってか、面倒臭いって言って、あんまり関わろうとしない人だよ」
「違うの。緑ちゃんのことをそんな風に思ってないから。私があの子に言われたんだ」
「ああ。木本なら、言いそうね。実際、私も言われた事あるし」
緑は、変に納得の声を出す。
緑の話によると、木本徳香と言う女子生徒は、自分以外の女子が、青島くんと仲良くすると、まるで癇癪を起こしたかの様に、私にした様な嫌がらせを相手の女子が青島くんのそばから離れるまで毎日のようにつづけるのだとか。
幼少の頃は、青島くんが他の子と遊んでいたことで、木本さんが癇癪を起こすことはしょっちゅうで、その度に、青島くんは木本さんの相手をしていたそうだ。
しかし、小学生になり、自然と異性の友達と距離ができ始める頃になると、青島くんも木本さんの相手をしなくなった。それなのに、緑ちゃんとだけは、変わらず付かず離れずの距離を保ち、気安く言葉を交わしていた。その事が、木本さんには面白くなく、彼女は、緑ちゃんに対して執拗な嫌がらせをしたのだと言う。
しかし、緑ちゃんのあっけらかんとした性格が功を奏し、また幼少の頃から木本さんの性格を知っていた事で、緑ちゃんは、木本さんから受ける嫌がらせを、面倒臭いと思いつつも、大ごとにせず、上手いこと受け流していたらしい。
中学生になると、木本さんの面倒臭さを知っている子たちは、青島くんと関わることを自重し、時折、事情を知らない女の子だけが、青島くんと交流を持とうとしたという。しかし、すかさず、木本さんからの洗礼を受け、女の子たちは青島くんと関わる事を諦めていったらしい。だから、青島くんはモテないのだとか。
「まぁ、ヒロくん本人も、木本の事を面倒くさいと思ってはいるだろうけれど、モテない事については、あまり気にしてないみたいだけどね~。あいつ、サッカーバカだからさ」
そう言って可笑しそうに笑った緑の話を聞いて、少し納得した。青島くんは、優しい割に、女の子に人気がない事が不思議だったのだ。
「そっか。青島くん、優しくて素敵なのに、どうして女の子に人気が無いのか不思議だったけど、木本さんのせいだったんだね」
「いや~。それはどうかな。まぁ、木本のせいってのはあるけど、そもそもヒロくんって、女子にそんなに優しくないよ。ってか、面倒臭いって言って、あんまり関わろうとしない人だよ」
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