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エピローグ その後の話
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結婚して2年になる頃、体調が悪いと思っていたら、妊娠が発覚した。
前はあんなに毒の後遺症を心配していたのにね。特に何事もなく元気に過ごせていたので、毒のことをすっかり忘れていた。アマリアさん達の治癒魔法がよく効いたのかな?今更だけど感謝だよね。
不安はあるけど、妊娠できたのは嬉しかった。
ただ、悪阻が酷くて寝込む日が続く。食べ物は吐いてしまうし、ニオイに敏感になるし。とにかく気分が悪い。
なぜか、この世界にはないオニギリが食べたくなって困った。違う日には、マッ○のポテトが食べたくなり、更に違う日には、ラーメンが食べたくなって困った。
悪阻で痩せて寝込む私を見て、将軍閣下は更に具合が悪そうになっていた。
「ソフィア…。私は子供より君が大切なんだ。こんなに弱ってしまって…。」
心配してくれるのは嬉しいが、悪阻でイライラしているから、放っておいて欲しかった。
「旦那様、一人で静かに寝てますから。旦那様もどうか自室でのんびり過ごして下さいませ。」
「私はソフィアと一緒にいたい。」
あー!イライラがー。
「一人になりたいのです!うっ、うっ…。お願いですから…。」
悪阻で情緒が不安定な私は泣いてしまった。
「………分かった。何かあれば、すぐに呼んでくれ。」
死にそうな顔で、将軍閣下は部屋から出て行った。
そんな妊婦生活をして、無事に男の子が産まれてきた。将軍閣下と同じ色を持つ男の子はサイラスと名付けた。
嬉しかった…。子供はできると思ってなかったから。健康な子に育って欲しいな。
将軍閣下は、出産を終えた私の体調が戻った頃から、鬱陶しいくらいベタベタするようになってきた。
閨でも抱き潰されてしまう日が続く。こんな人だった?体がキツいんだけど。まだ授乳も大変なのに。
「旦那様、何かあったのですか?最近、前と変わったような気がしますが。」
「……実は、ソフィアに子供ができたから、私から離れてしまうのではと不安で、寂しくなってしまったんだ。」
はあ?いい歳した父親が赤ちゃん返りしてんの?
アンタ、荒くれの騎士達の上に立つ将軍だろ?…と、叫びたくなったが我慢だ、我慢!
顔が引きつりそうになるのも我慢!
「あのー?どうしてそんな風に思ったのです?」
「今更こんなことを話すのは良くないとは思うのだが……。
元々君は自分の体を気にして、出産が出来ないかもしれないと、あんなに想い合っていたエドワーズ公爵閣下から身を引いただろう?でも、実際には毒の後遺症は見られてないし、悪阻は酷かったが、元気なサイラスを産んでくれた。出産に問題がないから、エドワーズ公爵閣下とよりを戻したいと言われて、離縁されたらどうしようかと不安になってしまった…。」
おい、泣くなー!!
バツイチ子持ちの公爵夫人なんて有り得ないし…、そんなに私は信用ないのかよ!
「………。」
「私から契約結婚を申し出て、余計な欲は持たぬようにと気を付けてきたつもりだった。でも私はソフィアを愛してるし、離縁はしたくない。ソフィアがいなくなったら生きていく自信もない。
結婚前は、一緒にいれるだけで幸せだろうと考えていたのに、今は離縁されたらと不安になって、こんなに辛い思いをするとは思ってもみなかった…。」
もうこの人は!
「旦那様。エドワーズ公爵様とは、すでに終わっているのです。旦那様のお陰で!
契約結婚が始まりでしたが、優しい旦那様と結婚できて、私は幸せだと思っていましたわ。
泣き虫で心配性で困った旦那様ですが、私はちゃんと愛していますし、旦那様に良く似たサイラスも可愛いので、離縁はしません。
だから生きていく自信を持って、サイラスと私のために、しっかりと仕事をして養って下さいね!!」
「…ソフィア、その話は本当か?」
「はい。本当ですわ。ですから旦那様、(いい加減に)泣かないでくださいね。」
将軍閣下を優しく抱きしめてあげる私。
私も親になって性格が丸くなったなぁ。
「ソフィア、愛してる。ずっと離さない…。」
「私も愛してますよ。旦那様。」
ハァー。この人、私に何かあったらすぐに死にそうだな。……息子より、面倒見が良さそうな娘が必要か?サイラスも私達に何かあったら1人になってしまうし。
決めた!落ち着いたら、2人目を計画しよう。できれば娘。将軍閣下には娘がいた方がいいな。
そんな風に心の中で考えた私だったが…。将軍閣下が毎日激しく求めてくるので、計画とか関係なく、すぐに2人目を妊娠してしまった。
そしてまた辛い悪阻を乗り越えて、産まれてきたのは私の待望の女の子だった。
シャーロットと名付けた娘は、髪も目も私と一緒で、クラーク侯爵家の顔立ちだと思う。両親は私の小さい頃にそっくりだと言っていた。お義兄様は、ウザかった…。
将軍閣下は女の子だと知って、すぐに娘を溺愛するパパになってくれたようだったが、相変わらずベタベタと纏わりつく困った旦那様だった。
サイラスが8歳、シャーロットが7歳になる頃に、エドワーズ公爵様が、養子に迎えた甥っ子を一緒に連れて遊びに来るようになる。
そう!公爵様のムカつく弟の息子だ。
公爵様は結婚する気はないようだ…。金持ちなのだから、いくらでも若い嫁が望めるだろうに。勿体ない。
公爵様の甥は、シャーロットと同じ歳らしく、まだ友達がいないから遊んで欲しいと、王宮で会った時に将軍閣下が頼まれたらしい。
3人で遊んだり剣術の練習をしたり、楽しそうに過ごしているようだからまあいいか。
シャーロットがサイラス達と一緒になって木剣を振り回しているのが若干気になるが、元気な証拠だからいいよね…?
子供達は元気に育ってくれてるし、夫婦仲も普通に良いと思う。
元クソ旦那と呼んでいた、ヘタレな旦那様に何の期待もしてなかった結婚だったけど、今は普通に幸せな家庭だからいいよね…。うん。
何十年後かの、私と将軍閣下亡き後。
私の遺産整理をしていたシャーロットが、アレを見つけてしまった。
それは契約結婚のサイン入りの書類と、システィーナ国の大公様からもらった豪華なネックレスに、大公様からの〝永遠に愛している〟と書かれたメモである。
軽くパニックになったシャーロットが兄のサイラスを呼びつけ、孫達を巻き込んで大騒ぎになるのであった……。
おしまい
これでやっと完結です。
最後まで読んで下さった方々、ありがとうございました。
完結から時間の経った作品であるにも関わらず、エールを下さった読者の方に感謝致します!
前はあんなに毒の後遺症を心配していたのにね。特に何事もなく元気に過ごせていたので、毒のことをすっかり忘れていた。アマリアさん達の治癒魔法がよく効いたのかな?今更だけど感謝だよね。
不安はあるけど、妊娠できたのは嬉しかった。
ただ、悪阻が酷くて寝込む日が続く。食べ物は吐いてしまうし、ニオイに敏感になるし。とにかく気分が悪い。
なぜか、この世界にはないオニギリが食べたくなって困った。違う日には、マッ○のポテトが食べたくなり、更に違う日には、ラーメンが食べたくなって困った。
悪阻で痩せて寝込む私を見て、将軍閣下は更に具合が悪そうになっていた。
「ソフィア…。私は子供より君が大切なんだ。こんなに弱ってしまって…。」
心配してくれるのは嬉しいが、悪阻でイライラしているから、放っておいて欲しかった。
「旦那様、一人で静かに寝てますから。旦那様もどうか自室でのんびり過ごして下さいませ。」
「私はソフィアと一緒にいたい。」
あー!イライラがー。
「一人になりたいのです!うっ、うっ…。お願いですから…。」
悪阻で情緒が不安定な私は泣いてしまった。
「………分かった。何かあれば、すぐに呼んでくれ。」
死にそうな顔で、将軍閣下は部屋から出て行った。
そんな妊婦生活をして、無事に男の子が産まれてきた。将軍閣下と同じ色を持つ男の子はサイラスと名付けた。
嬉しかった…。子供はできると思ってなかったから。健康な子に育って欲しいな。
将軍閣下は、出産を終えた私の体調が戻った頃から、鬱陶しいくらいベタベタするようになってきた。
閨でも抱き潰されてしまう日が続く。こんな人だった?体がキツいんだけど。まだ授乳も大変なのに。
「旦那様、何かあったのですか?最近、前と変わったような気がしますが。」
「……実は、ソフィアに子供ができたから、私から離れてしまうのではと不安で、寂しくなってしまったんだ。」
はあ?いい歳した父親が赤ちゃん返りしてんの?
アンタ、荒くれの騎士達の上に立つ将軍だろ?…と、叫びたくなったが我慢だ、我慢!
顔が引きつりそうになるのも我慢!
「あのー?どうしてそんな風に思ったのです?」
「今更こんなことを話すのは良くないとは思うのだが……。
元々君は自分の体を気にして、出産が出来ないかもしれないと、あんなに想い合っていたエドワーズ公爵閣下から身を引いただろう?でも、実際には毒の後遺症は見られてないし、悪阻は酷かったが、元気なサイラスを産んでくれた。出産に問題がないから、エドワーズ公爵閣下とよりを戻したいと言われて、離縁されたらどうしようかと不安になってしまった…。」
おい、泣くなー!!
バツイチ子持ちの公爵夫人なんて有り得ないし…、そんなに私は信用ないのかよ!
「………。」
「私から契約結婚を申し出て、余計な欲は持たぬようにと気を付けてきたつもりだった。でも私はソフィアを愛してるし、離縁はしたくない。ソフィアがいなくなったら生きていく自信もない。
結婚前は、一緒にいれるだけで幸せだろうと考えていたのに、今は離縁されたらと不安になって、こんなに辛い思いをするとは思ってもみなかった…。」
もうこの人は!
「旦那様。エドワーズ公爵様とは、すでに終わっているのです。旦那様のお陰で!
契約結婚が始まりでしたが、優しい旦那様と結婚できて、私は幸せだと思っていましたわ。
泣き虫で心配性で困った旦那様ですが、私はちゃんと愛していますし、旦那様に良く似たサイラスも可愛いので、離縁はしません。
だから生きていく自信を持って、サイラスと私のために、しっかりと仕事をして養って下さいね!!」
「…ソフィア、その話は本当か?」
「はい。本当ですわ。ですから旦那様、(いい加減に)泣かないでくださいね。」
将軍閣下を優しく抱きしめてあげる私。
私も親になって性格が丸くなったなぁ。
「ソフィア、愛してる。ずっと離さない…。」
「私も愛してますよ。旦那様。」
ハァー。この人、私に何かあったらすぐに死にそうだな。……息子より、面倒見が良さそうな娘が必要か?サイラスも私達に何かあったら1人になってしまうし。
決めた!落ち着いたら、2人目を計画しよう。できれば娘。将軍閣下には娘がいた方がいいな。
そんな風に心の中で考えた私だったが…。将軍閣下が毎日激しく求めてくるので、計画とか関係なく、すぐに2人目を妊娠してしまった。
そしてまた辛い悪阻を乗り越えて、産まれてきたのは私の待望の女の子だった。
シャーロットと名付けた娘は、髪も目も私と一緒で、クラーク侯爵家の顔立ちだと思う。両親は私の小さい頃にそっくりだと言っていた。お義兄様は、ウザかった…。
将軍閣下は女の子だと知って、すぐに娘を溺愛するパパになってくれたようだったが、相変わらずベタベタと纏わりつく困った旦那様だった。
サイラスが8歳、シャーロットが7歳になる頃に、エドワーズ公爵様が、養子に迎えた甥っ子を一緒に連れて遊びに来るようになる。
そう!公爵様のムカつく弟の息子だ。
公爵様は結婚する気はないようだ…。金持ちなのだから、いくらでも若い嫁が望めるだろうに。勿体ない。
公爵様の甥は、シャーロットと同じ歳らしく、まだ友達がいないから遊んで欲しいと、王宮で会った時に将軍閣下が頼まれたらしい。
3人で遊んだり剣術の練習をしたり、楽しそうに過ごしているようだからまあいいか。
シャーロットがサイラス達と一緒になって木剣を振り回しているのが若干気になるが、元気な証拠だからいいよね…?
子供達は元気に育ってくれてるし、夫婦仲も普通に良いと思う。
元クソ旦那と呼んでいた、ヘタレな旦那様に何の期待もしてなかった結婚だったけど、今は普通に幸せな家庭だからいいよね…。うん。
何十年後かの、私と将軍閣下亡き後。
私の遺産整理をしていたシャーロットが、アレを見つけてしまった。
それは契約結婚のサイン入りの書類と、システィーナ国の大公様からもらった豪華なネックレスに、大公様からの〝永遠に愛している〟と書かれたメモである。
軽くパニックになったシャーロットが兄のサイラスを呼びつけ、孫達を巻き込んで大騒ぎになるのであった……。
おしまい
これでやっと完結です。
最後まで読んで下さった方々、ありがとうございました。
完結から時間の経った作品であるにも関わらず、エールを下さった読者の方に感謝致します!
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