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さすがお母様

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 あの日、大公様と関係を持ってしまった私は、非常に落ち込んでいた。

 とにかく、絶倫過ぎて体が大変。
 愛されるのは素晴らしいことだと思う。いつまでも、エドワーズ公爵様のことで落ち込んでいられないし、新しい恋だっていいとは思う。
 でも、やはり毒の後遺症が気になる私としては、もっと自由なお付き合いが出来そうな相手が良かった。いずれ時期を見て、貴族生活が辛いとか言って、どこか遠くに引っ越して、平民の生活でもしようかと考えていたのに。
 大国の大公様では、自由なお付き合いにならないじゃん。むしろ、色々と大変そう。


 そんな私の気持ちに気付かないメイド達は、お泊まりしてグッタリして帰って来た私を、キラキラした目で見ていた。
 大公様としてきたことがバレてるわね…。ああ、恥ずかしい。

 いや、もうバレているなら開き直る?どうせ着替えの時に、体中に付けられた大公様の痕を見られてしまうのだし。
 大公様は、宗教の関係で避妊薬はダメだって言ってたけど、私は国籍も宗教もまだ関係ないんだから。

「あの、避妊薬はあるかしら?」

 仲良しメイドにコソっと聞く。彼女はニコっと微笑むと、

「お嬢様、心配なさらないで下さい。実は奥様からの指示で、お嬢様がもし殿方とお会いになることがあるようなら、出かける前に必ず飲ませるようにと、避妊効果のあるハーブティーを預かっていたのです。すごい効果らしくて、かなりお高いのです。
 そのようなものを準備して下さっている奥様は、本当にお嬢様を大切に思われてますわよね。」

 ええっ?避妊効果のあるハーブティー?

「それは本当なのかしら?」

「勿論でございます。あの日の朝食後に、お嬢様がリラックスしてデートが出来るようにとお出しした、あのハーブティーですわ。2日くらいは効果が続くと聞いていますから、大丈夫です!」

 お母様…!やっぱりお母様はすごい。

「ありがとう!」

「…まあ、お嬢様ったら!」

 嬉し過ぎて、仲良しメイドにハグしてしまった。
 お母様は、私の中で絶対的な存在になった。


 妊娠の心配が無くなった私は、次の日に熱を出してしまった。

「発熱に咳、喉の痛み…、風邪でしょう。
 お薬をしっかり飲んで、安静にしてください。」

 診察に来てくれたのは、あの港の診療所にいた若い医師だった。

「…はい。ありがとうございました。」

 医師はじっと私を見て、何か言いたそうだった。

「えっと…、何か?」

「あっ、失礼しました。その…、患者さんを前に助けて頂いてありがとうございました。ずっとお礼をお伝えしたかったのですが、クラーク侯爵家の御令嬢だったのですね。」

「…気になさらないで下さい。」

 あー、頭痛い。早く横になりたいのだけど。

「体、辛そうですね。また3日後に診に来ます。
 お大事にして下さい。」

「…あっ、はい。」

 そのまま、安静にして1日が終わる。

 次の日。

「お嬢様。公女様から、遊びに行きたいとの先触れがありましたが、風邪で臥せっていることをお話して、訪問は遠慮して欲しいことを伝えてもらいましたわ。」

「そうね。まだ体の調子が悪いし、風邪をうつしたら悪いから、しょうがないわね。」

 その日も、まだ熱があったので寝て過ごした。

 そして、午後になる。

「お嬢様、大変です。大公様がお見舞いにいらっしゃいました。」

 眠っていたので、ボーっとしている私。
 えっ!今、お見舞いって言った?

「誰がお見舞いに来たの?」

「大公様です。どうしてもお嬢様の顔が見たいと言ってまして、今、部屋の外で待ってます。急いでお髪を直しますね。」

 えっ、大公様がこの部屋に来るのー?
 寝起きなんだけど。
 

 
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