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閑話 大公アルバート・エヴァン 7

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「大公様!どうか、おやめ下さ…んっ。」

 ソフィアが何も言えないように、キスで口を封じた。
 抵抗し、涙を流すソフィアが更に私を煽る。
 泣く姿ですら美しい。私以外の誰にも見せたくない。
 
 亡くなった妻との閨は嫌ではなかったが、義務感みたいなものがあった。それに、性欲がある方でもなかったはずなのに。
 ソフィアのことは無意識に抱き潰していた。こんなの初めてだ。

 ソフィアがグッタリして眠ってる姿を見て、申し訳ない気持ちになるが、もっと彼女を求めている自分もいる。
 ハァー。私はソフィアを本気で愛しているようだ。
 権力を使ってでも、泣かせてしまったとしても、強引に自分のモノにしたいと思ってしまっている。
 これは重症だな…。ここまで溺れるとは。

 ソフィアが私との婚姻を断れないように、早めに手を打つ必要があると考えた私は、すぐに側近に命じて、ソフィアの実家のクラーク侯爵家と、この国の国王陛下に婚姻の許可が欲しいと文を出してもらうことにした。


 目覚めたソフィアは、すぐに帰ろうとして、私との体の関係をなかったことにしたかったようだ。しかし、そんなの許さない。私はまたソフィアを抱き潰し、逃げられないようにした。
 
 再び目覚めると、今度は避妊薬を欲しがり、私から逃げることを諦めていないようだが、宗教でダメだとか適当に誤魔化した。
 もしかしたら孕んでいるかもしれないから、責任を取りたい。すでに婚姻の申し込みの文を出したこと、毒のことも全て知っていることを伝えた。

 涙を流すソフィア。

 私はソフィアに酷いことをしている自覚はある。泣くソフィアを見て心も痛む。だが、そこまでしてでも欲しいのだ。

「泣くな…。強引にこんなことをしたのは悪いと思う。でもここまでしないと、君とは結婚出来ないだろう?絶対に幸せにすると誓う。だから、少しずつでいいから、私を受け入れて欲しい。
 愛してるんだ、ソフィア…。」

 今すぐに私を愛することが出来なくても、いつか私を愛してくれる時が来るまで、いくらでも待ちたいと思う。

 私は涙を流すソフィアを抱きしめ、そのまま朝を迎えたのであった。
 

 次の日。

 目覚めると腕の中にいるソフィアが愛しくて、ベッドから出たくなくなってしまった。
 
 スヤスヤ寝ているソフィアは可愛い。昨夜は泣き疲れて、眠ってしまったようだった。

「…んっ。」

 無意識にキスをしてしまった。

「んっ。…た、大公様?」

 目覚めたな。また慌てて帰ろうとするだろう。でも、まだ離したくない。

 気づくと、またソフィアを抱いてしまっていた。




「…大公様、そろそろ帰りたいと思います。大公様もお仕事があるでしょうし、公女様がお待ちですよね?」

 まだ一緒にいたいし、もっと抱きたいが…。
 確かにアンリも仕事も私を待ってる。

「ああ。じゃあ帰る前に、一緒に湯浴みしよう。」

「えっ!それは、大丈夫です。」

 恥ずかしがるソフィアを抱いて、浴室に連れて行く。
 ソフィアには、何でもしてあげたいのだ。仕事がないなら、まだまだ2人きりで部屋に閉じこもっていたいのに。

 浴室で恥じらう彼女が愛しくて…。浴室でもしてしまった。
 ソフィアにはもう無理だと言われたが、ソフィアが可愛すぎて、私の理性はどこかに行ってしまったようだ。



 後日。

「殿下。アンリ様がクラーク侯爵令嬢の所に行きたいと話されておりましたので、先触れを出したらしいのですが、風邪で臥せっているので遠慮すると連絡があったようです。」

「ソフィアが風邪で臥せってるだって?」

 あの時に無理をさせてしまったからか?
 幸せにするとか言いながら、酷い男だと思う。今更だが後悔した。

「殿下。何か見舞いの物を送りましょうか?」

「いや。後で直接届けようと思う。花とお菓子でも用意してくれ。」

「畏まりました。」

 臥せっているなら、側にいてあげたい。

 本当は、一緒に住みたい。
 


 

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