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閑話 キャンベル公爵令嬢 5
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「リサ!この前、久しぶりにエドワーズ公爵にお会いしたぞ。」
「エドワーズ公爵様?あまり、社交の場には出てこない方ですわよね。どのような方なのです?」
「エドワーズ公爵は陛下の従兄弟になる方だ。亡くなられた王太子殿下に雰囲気が似ているんだよ。しかも、まだ独身らしいのだ。」
亡くなられた王太子殿下の従兄弟で、雰囲気が似ている。そして独身。お会いしたいと思ってしまった。
「お父様。エドワーズ公爵様にはどこに行けばお会い出来るのでしょうか?」
「時々、登城しているらしいが、滅多に会わないな。国王陛下主催のパーティーなら来るだろうから、その時に紹介するよ。」
国王陛下の従兄弟で筆頭公爵家。そして国王派の中心であるエドワーズ公爵には、キャンベル公爵家でも、そう簡単に縁談の話は出来ないようだ。だから、エドワーズ公爵様に会うのを、私は楽しみにしていた。
その機会はしばらくしてから訪れる。
国王陛下の誕生日パーティーだった。
「リサ。今、陛下と話をしている、黒い騎士服を着ている方がエドワーズ公爵だ。」
エドワーズ公爵様は、黒髪に紫の瞳の美丈夫だった。確かにお顔立ちが、亡くなられた王太子殿下に似ているかも。落ち着いた知的な雰囲気の方だわ。
陛下との話を終えた後のエドワーズ公爵様に挨拶に行くことになった。
「エドワーズ公爵、ご機嫌麗しゅうございます。」
「これはキャンベル公爵。ご機嫌麗しゅうございます。」
「エドワーズ公爵、こちらはうちの娘のリサにございます。挨拶をしてもよろしいですか?」
「勿論です。」
「キャンベル公爵家、長女のリサ・キャンベルでございます。どうそよろしくお願い致します。」
「イーサン・エドワーズだ。よろしく。」
「エドワーズ公爵様、私のことはリサとお呼び下さいませ。」
私は、エドワーズ公爵様と親しくなりたいと思ったのだが…
「悪いが、私は噂や勘違いが嫌なので、御令嬢を名前で呼ぶのは遠慮させてもらっているのだ。申し訳ない。それでは、失礼させて頂くよ。また!」
エドワーズ公爵様は最低限の会話だけすると、すぐに行ってしまった。
「リサ、気にしなくていい。あのお方は、いつも令嬢にはあんな感じで興味を持つことはないそうだ。結婚もする気はないとか聞いたことがある。残念だが、縁がないと思った方がいい。」
筆頭公爵家で、素敵な方なのに。私に釣り合う独身男性は、あの方しかいないと思ったのに。王族で高貴な身分の、エドワーズ公爵様に釣り合いがとれるのも、私しかいないはずなのに。どうして…?
とても残念だった。でも、公爵という立場なのだから、いずれ跡取りは必要になるわよね。結婚だって、気が変わればしたいと思うはず。まだ諦められない!
しかし、数ヶ月後に驚くことを耳にすることになる。
それは、エドワーズ公爵様が婚約したという話であった。
エドワーズ公爵がクラーク侯爵令嬢を溺愛し、国王陛下を黙らせてまで、急いで婚約を結んだという話だった。婚約期間を出来るだけ短くして、早く結婚したいとまで言っているという。
どういうことなの?あのお方に釣り合うのは私しかいないのよ。
クラーク侯爵令嬢、許さない……!
「エドワーズ公爵様?あまり、社交の場には出てこない方ですわよね。どのような方なのです?」
「エドワーズ公爵は陛下の従兄弟になる方だ。亡くなられた王太子殿下に雰囲気が似ているんだよ。しかも、まだ独身らしいのだ。」
亡くなられた王太子殿下の従兄弟で、雰囲気が似ている。そして独身。お会いしたいと思ってしまった。
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その機会はしばらくしてから訪れる。
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エドワーズ公爵様は、黒髪に紫の瞳の美丈夫だった。確かにお顔立ちが、亡くなられた王太子殿下に似ているかも。落ち着いた知的な雰囲気の方だわ。
陛下との話を終えた後のエドワーズ公爵様に挨拶に行くことになった。
「エドワーズ公爵、ご機嫌麗しゅうございます。」
「これはキャンベル公爵。ご機嫌麗しゅうございます。」
「エドワーズ公爵、こちらはうちの娘のリサにございます。挨拶をしてもよろしいですか?」
「勿論です。」
「キャンベル公爵家、長女のリサ・キャンベルでございます。どうそよろしくお願い致します。」
「イーサン・エドワーズだ。よろしく。」
「エドワーズ公爵様、私のことはリサとお呼び下さいませ。」
私は、エドワーズ公爵様と親しくなりたいと思ったのだが…
「悪いが、私は噂や勘違いが嫌なので、御令嬢を名前で呼ぶのは遠慮させてもらっているのだ。申し訳ない。それでは、失礼させて頂くよ。また!」
エドワーズ公爵様は最低限の会話だけすると、すぐに行ってしまった。
「リサ、気にしなくていい。あのお方は、いつも令嬢にはあんな感じで興味を持つことはないそうだ。結婚もする気はないとか聞いたことがある。残念だが、縁がないと思った方がいい。」
筆頭公爵家で、素敵な方なのに。私に釣り合う独身男性は、あの方しかいないと思ったのに。王族で高貴な身分の、エドワーズ公爵様に釣り合いがとれるのも、私しかいないはずなのに。どうして…?
とても残念だった。でも、公爵という立場なのだから、いずれ跡取りは必要になるわよね。結婚だって、気が変わればしたいと思うはず。まだ諦められない!
しかし、数ヶ月後に驚くことを耳にすることになる。
それは、エドワーズ公爵様が婚約したという話であった。
エドワーズ公爵がクラーク侯爵令嬢を溺愛し、国王陛下を黙らせてまで、急いで婚約を結んだという話だった。婚約期間を出来るだけ短くして、早く結婚したいとまで言っているという。
どういうことなの?あのお方に釣り合うのは私しかいないのよ。
クラーク侯爵令嬢、許さない……!
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